| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

ドリトル先生と二本尻尾の猫

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第十幕その四

「ようこそ、八条テーマパークに」
「待っていたよ」
「今日は思う存分楽しんでね」
「そうしていってね」
「先生も」
「あれっ、僕のことを知ってるのかな」
 マスコット達に言われてです、先生は目を瞬かせて応えました。
「そうなんだ」
「いやいや、先生有名人ですから」
「八条学園の中でも」
「ここは学園の関係者がいつも出入りしてますんで」
「高校生や大学生の子がアルバイトに来てるんですよ」
「動物園や植物園からヘルプの人も来ます」
 こうしたことをです、先生にお話するのです。
「その人達からお話を聞いてますから」
「先生のことは」
「だからですよ」
「僕達も先生のこと知ってるんです」
「そうなんですよ」
「そうなんだ、僕は有名人なんだ」
 このことも知った先生でした。
「意外というか」
「今日は楽しんでいって下さい」
「いつも一緒のその子達と一緒に」 
 動物の皆も見つつ言うのでした。
「是非共」
「楽しんで下さいね」
「それじゃあこちらも」
 お二人のことは内緒にしてです、先生はマスコットの皆に応えました。
「そうさせてもらうよ。ただ」
「ただ?」
「ただっていいますと」
「僕は普通のお客さんだから」
 このことを言うのでした。
「だからね」
「じゃあこうしてですか」
「特別扱いはですか」
「しないでくれと」
「そんなことをされたら困るよ」
 これまた先生らしいお言葉でした。
「普通にね、お願いするよ」
「わかりました、それじゃあ」
「普通にですね」
「先生と言わないで」
「その様に」
「そうしてね、他の皆にも伝えてね」
 テーマパークの従業員の人達にというのです。
「それに今は隠れたいから」
「あっ、何か事情がですか」
「おありで」
「だから頼むよ」
 こうマスコットの中の人達にお話してでした、先生は特別扱いは止めて欲しいとお願いしてなのでした。そのうえで。
 皆と一緒にです、お二人を探しました。するとです。
 すぐにです、ジップがお鼻をくんくんとさせてそのうえででした。ジャットコースターの方を見て先生に言いました。
「あっちだよ」
「あっ、ジェットコースターだね」
「うん、あっちからね」
「二人の匂いがするんだね」
「お静さんのものもね」
 ジェットコースターの方からというのです。
「するよ」
「それじゃあだね」
「あっちに行こう」
「うん、ただね」
 ここで、なのでした。先生は。
 少し暗いお顔になってです、こう言うのでした。
「僕はジェットコースターとかは」
「ああした場所はなんだ」
「あまりね」
 どうにもというのです。
「好きじゃないから」
「苦手なんだ」
「うん、だからね」 
 それで、というのです。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧