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歌集「春雪花」

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 明けに落つる

   影も侘しき

     魚野地は

 君の居ぬ間に

    緑 深まり



 明け方…朝日が射し込んで影を落とす時間…。私はその影を見るのも侘しいが…ここの景色を眺めると、山波の緑が一層深まって夏を告げている…。
 彼が居ない間に、こんなにも緑が深まった…。

 雪の在りし日に去った彼…。あぁ…この緑さえ忘れてしまうものなのか…。



 君を待つ

  この身ぞ侘しき

   知りにける

 想いぞ触れる

    こともなきにし



 彼を待つ自分の侘しさも…彼の想いになぞ触れることが叶わないことも…そんなことはもう…疾っくに知っているのだ…。

 ただただ…諦めることも出来ずに…ひたすらに待つのみなのだ…。

 私に出来ることなど…何一つないのだから…。



 
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