FAIRY TAIL~水の滅竜魔導士~
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エドラス
「エドラス?」
「そう。こことは別の世界、エドラス。そこでは今、魔法が失われ始めている」
「魔法が失われる?」
「なんだよそりゃあ」
「どういうこと?」
「よくわかんないよ~?」
シャルルの説明でウェンディたちは魔法が失われるっと言うところに疑問を持つ。
「こっちの世界と違って、エドラスでは魔法は有限。使い続けてしまえばいずれ世界からなくなるのよ」
ウェンディたちはそれを聞いて固まってしまう。シャルルは四人に背を向けたまま話を続ける。
「その枯渇してきた魔力を救うためにエドラスの王は別世界・・・つまりはこの世界から魔力を吸収する魔法を開発した。それが超亜空間魔法[アニマ]・・・さっきの空に空いた穴よ」
「あれが・・・アニマ・・・」
ウェンディはミストガンが探してきたアニマの存在を知り表情を曇らせる。
「6年前に始まったこの計画は、この世界の至るところにアニマを展開したけど、思うような成果は上げられなかった。何者かがアニマを閉じて回っていたの」
(誰かが閉じていた・・・まさかジェラールはアニマを閉じるために旅をしていたの・・・?)
シャルルの話を聞いてウェンディはそう考える。
「だけど、今回のアニマは巨大すぎた。誰にも防ぐ術などなく、ギルドは吸収された」
「なんで妖精の尻尾を吸収したんだよ」
「言ったでしょ。エドラスの魔力とするためよ」
「妖精の尻尾には強大な魔導士がいっはいいる。だから狙われたってこと?」
「そうよ」
ウェンディの言ったことにシャルルはうなずく。
「ずいぶん勝手な奴らだなぁオイ!!みんなを返せやこのやろう!!!」
ナツが空に向かって叫ぶがそこにはすでに穴もなく、ただ雷がなっているだけである。
「そ・・・それが・・・オイラとシャルルとセシリーのせい・・・なの?」
「間接的にね」
「間接的~?」
シャルルの言葉をおうむ返しするセシリー。シャルルは腰に手を当て答える。
「私たちはエドラスの王国からある別の任務を与えられ、この世界に送り込まれたのよ」
シャルルの言葉に呆然とするハッピーとセシリー。しかしそれに対してウェンディとナツが反論する。
「そんなはずない!!あなた、卵から生まれたのよ!!この世界で!!セシリーだってそう!!」
「ハッピーもだ!!俺が見つけたんだ!! 」
「・・・そうね。先に言っておくけど、私はエドラスに言ったことはないわ」
シャルルの言葉をみんな理解できずに固まる。
「ウェンディが言う通り、この世界で生まれ、この世界で育った・・・でも私たちにはエドラスの知識や自分の使命が刷り込まれてる。生まれた時から・・・全部知ってるはずなのよ。なのに・・・」
シャルルは振り返りハッピーを指さす。
「あんたはなんで何も知らないの!!」
「オイラ・・・」
指を指されたハッピーは下を向いてしまう。シャルルは再びハッピーたちに背を向けて話す。
「とにかくそういうこと。私たちがエドラスの者である以上、今回のことは私たちのせい」
「さっき別の使命って言わなかった?シャルル」
「・・・それは、言えない・・・」
少しの沈黙のあと、ハッピーが背を向けているシャルルに話す。
「教えてシャルル。オイラ、自分が何者か知りたいんだ」
「言えないって言ってんでしょ!!自分で思い出しなさいよ!!」
そう言われハッピーはがっかりと肩を落とす。すると今度はセシリーに話しかける。
「・・・セシリーは知ってるの?」
「えぇ!?えっと・・・」
「言っちゃダメよ、セシリー」
「ううんと・・・言っちゃダメと言うか言えないと言うか~・・・」
セシリーはあたふたとして周りを挙動不審に見回しながらそう言う。それを見てウェンディはこう思った・・・
[セシリー・・・実は何の任務か知らないのに知ってるとか言っちゃったのね]と。
それを見たナツは一度ため息をついてから話し出す。
「おーし。そんじゃ、話も纏まったことだし、いっちょ行くか!エドラスってとこに!」
「纏まってないわよ!!」
ナツの突然の提案にシャルルが突っ込む。
「てか、あんた全く理解してないでしょ・・・」
「ナツさん・・・」
「どこをどう聞いたらあれで話が纏まったって思うのかな~?」
シャルルとウェンディとセシリーがナツを見ながらそう言う。
ぐぅ~
するとハッピーがお腹を鳴らすので、ウェンディたちはハッピーを見て脱力してしまう・・・
「ナツ・・・オイラ・・・不安でお腹すいてきた」
「へへっ。それは元気な証だろ?」
緊張感のないナツとハッピー。ウェンディはシャルルの方を見つめている。
「エドラスにみんながいるんだろ?だったら、助けに行かなきゃな」
「どうなのシャルル?」
「おそらく・・・いるとは思う。だけど助けられるかわからない。そもそも、私たちがエドラスから帰って来れるかどうかさえ・・・」
「シャルル~・・・」
シャルルは不安そうにそう答える。それを見てセシリーも不安な表情をする。ナツはそんな二人に笑いかける。
「まぁ、仲間がいねぇんじゃ、こっちの世界には未練はねぇけどな。イグニールのこと以外は」
「私も!」
ナツとウェンディがそう言う。するとまたハッピーがお腹を鳴らす。
「みんなを助けられるんだよね・・・オイラたち・・・」
「僕も・・・すごく心配~・・・」
ハッピーとセシリーがそう言うのを聞いてシャルルは何かを決意する。
「私だって、曲がりなりにも妖精の尻尾一員の訳だし・・・母国の責任でこうなったってやましさもあるわけだし、連れてってあげないこともないけど・・・いくつか約束して」
シャルルはそういって四人に約束事を伝える。
「私がエドラスに帰るということは使命を放棄するということ。向こうで王国の者に見つかるわけにはいかない・・・全員変装すること!!」
「俺もか?」
「シャルルはそれでいいの?」
「いいの。もう決めたから」
そう言ったシャルルは次にハッピーを指さす。
「そしてオスネコ。私たちの使命については検索しないこと」
「あい・・・」
ハッピーはシャルルに向かってうなずく。シャルルはハッピーに向けていた視線をウェンディたちに移す。
「3つ目。私も情報以外エドラスについて何も知らない。ナビゲートはできないわよ」
「うん!」
「わかった!」
ウェンディとナツが返事をする。
「最後に・・・私たちがあなたたちを裏切るようなことなことがあったら、躊躇わずに殺しなさい!」
シャルルの言葉にウェンディたちは言葉を失う。
「オイラ・・・そんなことしないよ・・・」
「ぼ・・・僕もそんなこと・・・」
ハッピーとセシリーがシャルルにそう言う。するとハッピーのお腹が・・・
ぐぅ~
「てか、オスネコ腹うるさい!!」
ウェンディとナツは互いを見てうなずく。
シャルルはそれを見て背中から翼を出す。
「行くわよ。オスネコもナツをつかんで、セシリーは一人でいいけど。」
「あれ?」
「飛んでいくの?」
「私たちの翼は、エドラスに帰るための翼なのよ」
「・・・」
ウェンディの問いにシャルルがそう答えるとハッピーはボーッとシャルルを見ている。
「行こうぜハッピー!お前の故郷だ!!」
「・・・あい!!」
ナツが親指をたてハッピーに言うとハッピーは手をあげて返事をする。
「行くわよ!!」
「あ・・・ちょっと~!!」
シャルルはウェンディをハッピーはナツをつかみ空に飛び立つ。セシリーは何かを言おうとしたがシャルルたちが空に飛び上がってしまったためすぐに後を追う。
「セシリー!!オスネコ!!魔力を解放しなさい!!」
「うん!!」
「あいさー!!」
「きゃあああああ!!」
「わああああああ!!」
シャルルたちは一気に加速して空へと飛んでいく。
「アニマの残痕から、エドラスに入れるわ!私たちの翼、エーラで突き抜けるの!!」
四人はどんどん加速していき、
「今よ!!」
シャルルがそういうとウェンディたちはまるで穴に吸い込まれるかのように加速し、エドラスへと旅立った
「まぶし・・・あっ!!」
ナツが目を開けるとそこにはさっきまでとは全く違う光景が広がっていた。
そこにはたくさんの浮遊島や見たことのない植物がたくさんあり、ウェンディたちはそれに思わず見とれてしまう。
「ここが・・・エドラス・・・」
「オイラたちの・・・ルーツ!」
「すごい~・・・」
シャルルたちがエドラスを見てそう言う。
「島が浮いてますね」
「ここがお前の故郷か!ハッピー!」
「ここがエドラス・・・」
ウェンディとナツは見たこともないような光景に笑みをこぼし、ハッピーは周りを見ると見たことのない生き物を見つける。
「本当に・・・別世界・・・」
「不思議な木や植物がたくさん!!」
「すげぇ!!見ろよハッピー!!あれ!!」
するとナツが何かを見つけて騒ぎ出す。そこには空を流れる巨大な川があった。
「川が空を流れ出てんぞ!!どうなってんだ?」
「あんなの見たことないよ~!!」
四人が初めて見るエドラスに興奮しているとシャルルが注意する。
「ちょっとあんたたち!!気持ちはわかるけど、観光に来たわけじゃないんだから、そんなにはしゃがないの!!」
「あははっ・・・そうだね」
「悪ぃ悪ぃ」
ウェンディとナツがシャルルに謝ると、突然ハッピーたちの翼が消えてしまい、五人は落下を始める。
「「「うわあああああ!!」」」
「「きゃあああああ!!」」
落下したウェンディたちは綿のようなキノコの上に落ちていき、それがクッションになってなんとか助かる。
「急に翼が・・・」
「どうなってるの?」
「言ったでしょ?こっちじゃ魔法は自由に使えないって」
「あれ?本当だ!なんか変な感じがする!」
「翼が全然出せないよう~!!」
ウェンディたちがそんな話をしていると頭からキノコに突っ込んでいたナツがようやく、抜け出す。
「ぶはぁ!!さ~て、みんなを探しに行くか!!」
「あの~・・・いまさらなんだけど一つ言っていい?」
気合い十分のナツの脇からセシリーが手をあげて言う。
「何よセシリー」
「どうしたの?」
「僕たちさ~・・・一人忘れてきたよね?」
「「「「?」」」」
セシリーの発言に全員が?マークを浮かべる。セシリーはため息をついてから説明する。
「滅竜魔導士だけが残されたってことはさ~・・・」
「あ!!」
「なんだよハッピー?」
セシリーにそこまで言われてハッピーが誰のことかようやく気づく。
「もう一人って?」
「シリルだよ!!シリル!!」
「シリルを忘れて来ちゃったよ~!!」
「「「あ・・・」」」
ウェンディたちも名前を言われ、もう一人の滅竜魔導士であるシリルを忘れてきたことに気づく・・・しかし
「まぁ、ここまで来ちまったんだからしょうがねぇ!!俺たちだけで行くぞ!!」
「あい!!」
「シリルを連れてくる手だてがないし・・・しょうがないわよ」
「後でシリルに謝ればきっと許してくれるよ」
「そうだね~。行こう行こう~!!」
五人は気を取り直してギルドのみんなを探しに向かった。
その頃、忘れられたシリルはというと・・・シリルside
「・・・ル・・・リル・・・」
「んん・・・」
誰かが呼んでる声がするけど・・・この声・・・誰だったっけ?
「・・・リル!!シリル!!」
徐々に鮮明になっていく声・・・なんかこの声懐かしいぞ?
「おいシリル!!いい加減に起きろ!!」
「んん?」
俺は目を開けるとそこには懐かしい人がいた。
「あ!ジェラール!久し振り!!」
「あ・・・あぁ・・・久し振りだな」
ジェラールは少し困惑した顔をしてるけど、どうしたんだ?いや・・・というかまだ眠たいな・・・
「まぁいいや・・・あと5分寝かせて・・・」
「おい!!シリル!!」
俺はもう一度寝ようと横になる。いやぁ、ジェラール元気そうで何より・・・あれ?
俺は体を起こしジェラールを見る。
「・・・ジェラール?」
「あぁ」
「なんでここにいるの!?評議院に捕まったんじゃ・・・」
確かジェラールは評議院のラハールさんにつれていかれたはず・・・もう二度と外の世界には出れないって言ってたのに・・・
「それは私とは別人だ」
「え?クンクン・・・確かに少し匂いが違うような・・・」
本当に少しだけどね。
俺がそう言うとジェラールが立ち上がるので俺も立つ。
「私の名前はミストガン。妖精の尻尾の魔導士
だ」
「ミストガン?」
「詳しい話は後だ。これを食べておけ」
ジェラ・・・ミストガンはそう言うと俺に赤色の飴のようなものを食べさせる。なんだこれ?
「これ何?」
「これはエクスボール。向こうの世界、エドラスで魔法を使えるようにする薬だ」
「向こうの世界?エドラス?って何・・・」
俺は質問をしかけて一つ気づいたことがある。ミストガンの後ろに広がっている真っ白な景色・・・いや、俺たちの周り全体が真っ白になっている。
「やっと気づいたか」
「これって・・・何?」
「ここはマグノリア、お前のいる場所はギルドがあった場所だ」
「・・・は?」
ミストガンにそう言われ俺は変な声を出してしまう・・・ここが、マグノリア?
「向こうの世界、エドラスにマグノリアは吸収されてしまったのだ」
「吸収された!?それってどういうこと!?」
「詳しく話している余裕はない。エドラスへの門が閉じてしまう」
ミストガンは心配そうに空を見上げる。なんか全然話がわからない・・・
「エドラスにはナツとウェンディが先に行ったようだ。私は他にも無事なものがいないか探す。だからお前だけでもエドラスに向かってくれ」
ナツさんとウェンディもエドラスとやらに行ったのか・・・じゃあ二人に合流すれば・・・え?
「ウェンディとナツが!?二人で!?ラブラブで!?」
「いや、ラブラブとは言ってないぞ・・・(汗)」
「いやいやいやいや」
ナツさんとウェンディが二人きりなんて・・・ウェンディはナツさんに憧れてるところがあるからもしかしたら・・・
「ナツさん!!大好き!!」
「俺もだ。ウェンディ!!」
そう言って抱き合う二人・・・
「そ・・・阻止せねば!!」
「・・・ハッピーたちも一緒に向かったようだからたぶん大丈夫だと思うぞ・・・?」
頭を抱えながら言うミストガン。いや~、万が一ということがある。もしかしたら・・・
「って!もしかしてセシリー俺のこと置いてったのか!?」
俺なんか自分がかわいそうになってきた・・・
「・・・もういいか?」
「・・・うん。落ち着いた」
「そうか。ならよかった。実はお前に頼みが二つほどあるのだ」
「何?」
俺は顔をあげてミストガンと視線を合わす。
「一つはエドラスのどこかにある魔水晶にされたみんなを元に戻してくれ」
「どうやって?」
てか魔水晶にされたってなんだよ。
「お前の滅竜魔法で魔水晶を砕くんだ。そうすれば元に戻る」
「そうなんだ。わかった」
「そしてもう一つ・・・」
ミストガンは人差し指を立てて言う。
「向こうの世界に行ったら、シリル・ブランドという男に会ってほしい」
「シリル・ブランド?」
俺と同じ名前だ・・・一体・・・
「シリル・ブランドは、エドラスの世界のお前だ」
「え?」
エドラスの世界の俺?何?どういうこと?
俺が頭を抱えて悩んでいるとミストガンは話を続ける。
「エドラスとはこの世界の平行世界。つまり、向こうの世界には向こうの世界のお前やウェンディがいるんだ。お前のいう評議院に捕まった私はこちらの世界の私。私は本来、向こうの世界の住民なのだ」
「ほ・・・ほう・・・」
ミストガンの言葉になんとなく俺はうなずく。よくわかってないけどな。
「向こうのシリルとは友だ・・・奴は頭脳明晰、身体能力もかなり高い。私に頼まれたといえばきっと力を貸してくれるはずだ」
「なるほど・・・わかった!!」
俺は体の前で手を握りしめ返事する。ミストガンはそれを見てうなずくと背中の杖を一本俺に向ける。
「それじゃ・・・頼むぞ!!」
「うん!!任せて!!」
ミストガンがそう言うと、杖が光り出し、俺は空へと飛ばされていく。
エドラスにて・・・
「ここがエドラスか・・・」
俺がミストガンに送られたエドラスという世界は確かにアースランドとはどことなく違っていた。
空にはたくさんの島が浮いていて、見たことのない生き物や植物がたくさんあった。
「なんかすげぇな・・・」
俺は周りを見ながらそう声を漏らす・・・さて、それじゃあ俺もやるべきことをやりますか。
俺のやるべきこと・・・それはもちろん
「ウェンディとナツさんのラブラブ阻止だ!!」
俺は匂いを頼りにウェンディたちを探すため走り出した。
「探すとは言ったけど・・・こうも知らない匂いが多いと、なかなか大変だなぁ・・・」
俺はウェンディたちの匂いを頼りに探そうとしていたのだが、初めて嗅ぐ匂いばかりでちょっと鼻が変な感じがする。ウェンディたちの匂いが微かにするからこっちだとは思うんだけど・・・
「ぎぃゃあああああ!!」
「ん?」
すると前から青い髪のおじさんが叫びながら走ってくる。どうしたんだ?
おじさんは疲れたのか、木に手をついて息を切らせている。ちょっと聞いてみるか。
「あの・・・」
「ハァハァ・・・な・・・なんだい?」
「どうしたんですか?」
「いやぁ・・・変な植物に話しかけられてね・・・フェアリーテイル・・・とかいう奴を探してるって・・・」
妖精の尻尾?もしかしてそれウェンディたち?なぜに植物に間違えられたのかは知らないけど。
「その植物、どこで見かけました?」
「あっちだよ。全く気味が悪い」
おじさんは自分が走ってきた方向を指さす。よかった。方向は間違ってなかったんだ。
「わかりました。ありがとうございます!!」
俺はそちらの方向に再びかけていく。しかし・・・なんで植物に間違えられたんだ?ウェンディたち何してるんだ?
しばらく走っていると何か音が聞こえてくる。
「ん?」
ザバァ
何の音だ?何かが水から出てきたみたいな音だ。
俺はそう思って音のした方向に向かう。湖の上にかけられた大きな木でできた橋の向こう側で聞き覚えのある声が聞こえる。
「ぬああああ!!」
「ナツさんの声だ!!あっちか!!」
俺はその声のした方にかけていく。そうだ!!あれやってみよう!!ナツさんが耐久ロードレースでやってたあれ!!
「名付けて!水竜の鉄拳ブースター!!」
炎と違ってただ水を手から出して加速してるだけだけど・・・普通に走るより全然速いぞこれ!!これなら二人に速く追いつけ・・・ん?
俺が二人を追いかけていると最初に見えてきたのは・・・巨大ナマズ!?
「いくら森の中でもまずいんじゃないですか!?」
「んなのあのデカナマズに聞けっての!!」
そのナマズの前からウェンディとナツさんの声が聞こえる。あの二人この巨大ナマズに追いかけられてるのかよ!?早く助けないと!!
俺がさらに加速して追いかけるといつのまにかウェンディたちは崖の淵に追い詰められていた。
「「「うわあああああ!!」」」
「「きゃあああああ!!」」
ウェンディたちに襲いかかる巨大ナマズ。俺はギリギリでそのナマズに追い付く。
「水竜の咆哮!!」
「ぐががががが!!」
俺の咆哮は巨大ナマズに見事に命中してウェンディたちを間一髪で助けることができた・・・よかった~・・・
「みんな!!大丈夫!?」
「シリル!!」
「シリル~!!」
「おお!!」
「シリルが助けてくれたんだ!!」
「ありがとう。助かったわ」
俺がウェンディたちの前に来るとウェンディ、セシリー、ナツさん、ハッピー、シャルルの順でそう言う。
いやぁ・・・よかったよかった。みんな無事みたい。
「というかナツさん!!ウェンディを守っててくださいよ!!俺より全然強いんだから!!」
「ちょっと。なんでお前魔法使えるんだ?」
「え?」
俺がナツさんに怒った風に言うと、ナツさんは俺にそう返してくる。何言ってるんだナツさんは・・・
「私たち。こっちの世界じゃ魔法が使えないんだよ!?」
「どうしてシリルは魔法が使えるの~?」
「俺はミストガンに薬をもらったんだけど・・・」
もしかして・・・ウェンディたちは薬もらってなかったのか?だったらミストガン・・・ウェンディたちの薬もくれればよかったのに・・・
「あんた・・・いい加減にしなさいよ・・・」
「はぁ?」
するとシャルルが怒ったような声でナツさんに話しかける。どうした?
「変装もしてないのにこれ以上騒ぎを起こさないで!!」
「シャルル!!」
「お・・・俺のせいなのか・・・マジで!?」
「全部じゃないけどほぼそうでしょ!?王国の連中が私たちの存在に気づいたら、何をするかわからないのよ!?そうなったら、みんなを救出するどころか、私たちだってどうなるかわからないんだから!!」
シャルルにそう言われるとナツさんはあからさまにふくれる。
「そ・・・そっか・・・なんかよくわかんないけど俺が悪いんだな・・・」
「逆になんでよくわかんないのよ・・・!!」
「シャルル、言い過ぎだよ。ナツさんだって悪気があってやったわけじゃないんだから」
「悪気があったらなおたちが悪い!!」
シャルルは怒って叫び出す。ちなみに俺は全然話についていけなかったりする・・・
「セシリー・・・分かりやすく説明して。できるだけ短く」
「ナツくんが大半悪いよ~?」
「いや・・・それはもういいから・・・(汗)」
ナツさんが悪いのはおおよそわかるから・・・変装とか王国とかの説明がほしいんだけど・・・
森の中にて・・・
俺はさっき事情を説明してもらい、なんとなくだけど理解することができた。要は王国に見つからずにみんなを助ければいいってことだろ?簡単簡単!!
「「「あ!!」」」
「「「ん?」」」
俺が考えているとウェンディとシャルルとセシリーが何かに気づく。俺たちもそっちを見るとそこには二人の人がいた。なぜかこっちを見て固まってるけど・・・
「また見られた」
「それもがっつりね~」
「どうしよう・・・」
やっぱり人に見つからずにみんなを助け出すなんて無理っぽいな・・・誰だよ簡単とか言った奴!!
「えっと・・・オイラたちは道に迷っただけの旅の者です」
「どうかお許しくださいませ!!」
ハッピーがそう言うとなぜかエドラスの人は正座して頭を深々と下げる。なんだ?
「エクシード様!!どうか命だけはご勘弁を!!」
「エクシード?」
「誰のことだろう?」
「さぁ?」
エクシードと言われて俺たちはよくわからずに顔を見合わせる。その時シャルルの表情が曇ったような気がするけど・・・気のせいかな?
「あのよぉ」
「うわ!!ダメだよナツ!!」
「学習能力なさすぎ~!!」
「いまさら取り繕っても無駄だろ?」
人に話しかけようとするナツさんをハッピーとセシリーが止めようとするが・・・確かにナツさんの言う通りもう何をしても無駄な気がする。
「あのよぉ!!ちょっと聞きたいことがあんだけど!!俺たちの仲間がこのエドラスに・・・」
「「ひいいいいい!!お助けを~!!」」
ナツさんが話しかけると二人組はそう叫びながら走っていってしまった。というか今の人たちハッピーとセシリーを見てあわてて逃げたような気が・・・
「おいおい・・・」
さすがにナツさんも唖然としてますね・・・
「さっき人たち、シャルルとセシリーとハッピーを見て怯えてたような・・・」
「俺にもそう見えたよ」
「ほれ!!俺のせいじゃねぇじゃん!!」
「オイラ、そんなにこわい顔してたかな?」
「別に普通にしてただけなのに~」
「喰われると思ったとか?」
「そりゃないでしょ!」
「こんなお口でどうやって人を食べるのさ~」
俺たちは少し笑いながらそんな話をしているとシャルルだけは暗い表情のままである。そんなに自分が怖いと思われたのかショックなのかな?
そんなことを思っているとナツさんが何かを踏んでしまう。
「おろぉ?」
「今度は何よ・・・」
「嫌な予感がします」
「僕もそんな気がするよ~」
その時足場が急に盛り上がって俺たちは空へと投げ出された!!
「「「「わああああああ!!」」」」
「「きゃあああああ!!」」
飛ばされた俺たちは巨大キノコにぶつかっては飛ばされ、ぶつかっては飛ばされを繰り返してカボチャ型の家に落っこちる。
「オエ・・・」
「また落ちた・・・」
「いったい・・・」
「まったくもう・・・」
「もうやだよ~・・・」
俺たちは起き上がって周りを見回すと・・・そこは倉庫みたいだった。
「なんだここ?」
「どこかの倉庫みたいだね」
「色々なものがあるね~」
「そりゃ倉庫だからな」
俺たちは倉庫の中を見回しながらそんな話をしている。するとシャルルは腰に手を当てて話し出す。
「いまさらどれくらい役に立つかはわからないけど・・・とにかくここで、変装用の服を拝借しましょ」
「だね~!!」
俺たちはそういうことになり、おもむろに服を探し始める。
「おお!!おもしれぇ服がたくさんあんぞ!!」
「面白さよりかっこいい服の方がいいんですが・・・」
「ナツさん。シリル。こっち向かないでくださいね?」
後ろでウェンディが着替えているだと!?なんか妙な緊張感があるような・・・
それぞれが着替え終わる頃に、ナツさんが窓の外で何かを見つける。
「んん!!」
「どうかしました?」
「なんですか?」
ウェンディと俺がナツさんに着替えながら話しかける。ちなみに俺の服装は上はウェンディと色違いの紺の服に、下は白っぽいジーンズ系のズボンにしてみた。
というかウェンディの今つけてる髪飾り・・・俺がこの間あげた奴だ!!つけてくれてるなんてめっちゃうれしい!!
「妖精の尻尾だ!!」
「「「「「ええっ!?」」」」」
ナツさんはそう言って倉庫から飛び出す。俺たちもあわてて飛び出すとそこには確かに妖精の尻尾のギルドマークのある建物がある。あれ?魔水晶にされたんじゃなかったのか?
「なんか形変わってるけど妖精の尻尾だ!間違いねぇ!!」
「ナツさん!!」
「待ってくださいよ!!」
俺たちはギルドの扉の前まで来る。なんか木みたいな形してるけど、確かに妖精の尻尾だ!!俺たちはすぐにその中に入る。
そこにはギルドの皆さんがそのままの姿でいた。
「みんな無事だ!!」
「あっけなく見つかりましたね」
「ミストガン・・・魔水晶なんかになってないじゃん・・・」
せっかく活躍するチャンスだと思ったのに~・・・まぁみんな無事でよかったけどね。
「でもずいぶんギルドの雰囲気違うね」
「なんか別のギルドみたい~」
「細けぇこと気にすんなよ」
「気にしませんか?そこ」
「みんな無事ならそれが一番だよ」
ナツさんは感極まって少し目に涙浮かべてる、やっぱりナツさんは仲間思いの人なんだなぁ。
「ちょっと待って。様子がおかしいわ」
シャルルがそう言うので俺たちはテーブルの下に隠れる。なぜにテーブルの下?
「ねぇあれ。ギルドのリクエストボードだよね?」
「なんもおかしくねぇじゃん」
「でもなんか違和感はありますよ?」
「よーく見て」
俺も何か違和感は感じるけどそれが何かわからない。俺たちはそのままリクエストボードを見ていると、ボードを見ていた女の人がボードから振り返る。
「ん?あいつは・・・」
「ジュビア、これから仕事に行くから」
「気を付けてな」
あれジュビアさん!?なんか髪型いつもと違ぇ!!
するとそのジュビアさんに一人の男が声をかける。
「ま・・・待ってよジュビアちゃん!」
「なっ!?」
「ウソ!?」
その男の人を見てナツさんと俺は驚いてしまう。
「俺も一緒にいきてぇな~、なんて」
「暑苦しい。何枚着てんの服」
「なっ!?」
男の人はグレイさんだった・・・かなり厚着してるけど!!
「もっと薄着になってから声かけて」
「ひ・・・冷え性なんだよ~・・・」
「グレイの奴、ベタベタしすぎなんだよ」
「恋する男ってのは、熱心なもんだね~」
「なんだこりゃあ!!」
グレイさんがジュビアさんに声をかけてジュビアさんがそれに喜ばないなんて!!どうなってんだこれ!?
「情けねぇなエルフマン」
「また仕事失敗かよ!」
「恥ずかしいっす」
「おい見ろよ。ギルド最強候補のジェットとドロイがまたエルフマンに説教してるぞ」
「ほどほどになぁ」
「仕事仕事~!!」
「ナブは働きすぎだろ?」
「だよな」
またあるところではジェットさんとドロイさんがエルフマンさんを説教している。いつも仕事に行かないナブさんが働きすぎとか言われてるし・・・逆でしょ逆!!
「カナさん、たまには一緒に飲みませんか?」
「こっちにきてくださいよ~」
「何度も申しているでしょう?私、アルコールは苦手でございますの」
「ふほぉっ!?」
今度は丁寧な感じのマカオさんとワカバさん!?カナさんがアルコール苦手って・・・じゃあカナさん何が飲めるんですか!?
「ピスピス~」
「な~に?アルアル~」
「きゃああ!!」
あっちではアルザックさんとピスカさんがイチャイチャしてる!!ウェンディはそれを見て顔真っ赤にしちゃってるし・・・
「だいたいおめぇはよ」
「でも・・・だって・・・」
「いちいち泣くなよ!?」
エルフマンさんが泣いてるし漢と言わないなんて!!
「俺は、ジュビアちゃんが好きなんだーー!!!!」
「うっせぇぞグレイ!!てか暑苦しい!!」
ジュビアさんが好きなグレイさんだと!!ジュビアさんが泣いて喜びますよ!!
リーダスさんなんか怖いし痩せてるし・・・なんかあべこべ~!
「ど・・・どうなってんだこりゃあ?」
「みんなおかしくなっちゃったの!?」
「おかしいのは前からだったけどもっとおかしくなっちゃった~!!」
「・・・!?」
俺たちがみんながおかしくなったのに唖然としていると
「おい!誰だてめぇら」
「「「「「「!?」」」」」」
一人の女の人が俺たちの前に不良みたいな座り方をし、その声を聞いたギルドの皆さんがこちらを向く。
はっきり言おう。めっちゃ怖い!!
「うそ!?」
「あい!?」
「まさか!?」
「マジ!?」
「えぇ~!?」
俺たちの前に座っている女の人を見て俺たちは驚く。
「ここで隠れて何こそこそしてやがる」
「ルーシィ!?」
「さん~!?」
いつもと雰囲気の全然違う怖いルーシィさんだった!!
「な・・・な・・・な・・・え?」
「お前は落ち着けウェンディ」
「これはいったい・・・」
「どうなってるの~!?」
俺たちはあまりの変化に驚き、ルーシィさんはそんな俺たちにガンを飛ばしていた
後書き
いかがだったでしょうか。
シリルに少し活躍させようと思っているので先にエクスボールを飲んで魔法を使えるようにしました。
ちなみにシャルルとセシリーが仲が良いのは、別にセシリーが嘘をついていたからではなくて違う理由がちゃんとあります。
今回はハッピー一人をシャルルが責めるためにセシリーは知ってるフリをしてるということにしました。
次回もよろしくお願いします
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