戦国異伝
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第二百十一話 磨上原の合戦その六
「新手を次から次にと出してな」
「そうしてですな」
「徐々に」
「そうじゃ、敵を削れ」
そうせよというのだ。
「いつも通りな」
「では」
「その様に攻めましょうぞ」
「そしてそのうえで」
「この戦も勝ちましょう」
「無論じゃ、では騎馬鉄砲隊には牛助も向けてな」
そして、というのだった。再び。
「足軽達にはそうするぞ」
「そして戦に勝ち」
「そのうえで」
「再び伊達政宗と会うわ」
信長はこの時のことも考えていた、伊達の軍勢に数とそうした工夫で戦うのだった。それを続けていってだった。
伊達の軍勢を疲れさせていった、その伊達の者達はまだ彼等から見て追い風の中にあった。だがそれでもだ。
「風はこちらにあるが」
「それでもな」
「うむ、どうもな」
「敵の数が多い」
「しかも武具もよい」
この二つの要素でだった。
「どうもな」
「うむ、どうしてもじゃ」
「向こうの鉄砲も弓矢も結構届く」
「こちらの鉄砲や弓矢は思ったより効かぬ」
「しかも数はあちらの方が多い」
「疲れてもすぐに新手が出て来る」
「これではな」
戦が続くと、というのだ。
「まずいな」
「一気に決めたいが」
「それも難しいか」
「このままでは」
彼等の士気にも影響が出ていた、それを見てだ。
成実は彼等にだ、強い声でこう言った。
「怯むな、殿も自ら戦っておられるのだぞ」
「鉄砲騎馬隊を率いられて」
「そのうえで」
「そうじゃ、だからじゃ」
それで、というのだ。
「我等もじゃ」
「ここで踏ん張り」
「そのうえで」
「最後は都に行くのじゃ」
そうするというのだ。
「そして天下を治めるぞ」
「我等がですな」
「殿の下で」
「だからじゃ、ここは留まってじゃ」
そうしてというのだ。
「戦い続けるぞ」
「畏まりました」
「ではここは堪え」
「そのうえで」
「最後は勝ちましょう」
「殿のお言葉に従うのじゃ」
政宗のその采配にというのだ。
「わかったな」
「はい、では」
「我等はこのまま」
「そういうことじゃ、踏ん張るのじゃ」
成実自身こう言ってだった、自ら陣頭に立ち片倉と共に采配を執り続けた。それは政宗とて同じであった。
自ら刀を抜き柴田、佐久間の騎馬隊と戦い続ける。最早鉄砲は使えない状況だがそれでも果敢に戦っている。
そうしつつだ、こう兵達に言うのだ。
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