美しき異形達
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第五十話 明かされる真実その十二
「ここでもカリオストロ伯爵がな」
「あたし達を狙ってたのか?」
「力の覚醒までは怪人を差し向けるつもりはなかったが」
「それでもかよ」
「うむ、君達を一度に攫おうとしているのではないかとな」
「サン=ジェルマン伯爵と先輩のお祖父さんが考えてか」
「君達を基本的に一人一人分けてな」
八人を順番に目で見つつだ、博士は語った。
「孤児として信頼出来る人達に預けたのじゃ」
「それはわかったけれどな」
薊はここまで聞いてまた言った。
「鈴蘭ちゃんと黒蘭ちゃん達はやっぱり一緒で」
「二人は分けられなかったのじゃ」
「あんまりにもか」
「うむ、DNAが重なっていてな」
「本当の双子みたいにな」
「文字通り双子じゃよ」
鈴蘭と黒蘭はとだ、博士はその二人を見つつ薊に答えた。
「この娘達はな」
「そうか、それであたし達全員も」
「うむ、基本的にはな」
「姉妹なんだな」
「同じ人達が造ったからな」
だからだというのだ。
「そう思ってもいい」
「そして先輩ともか」
「うむ、親戚となるか」
こうも言ったのだった。
「智和君のお祖父さんが造ったからな」
「そうなんだな」
「しかし。これは縁じゃな」
薊が聞きたいことをだ、博士は事前に察してこうも言った。
「君達はこうして揃ったのは」
「あたしなんて横須賀にいたからな」
薊は自分のことを言った。
「そこからだからな」
「そこにいてもな」
「こうして神戸まで来てな」
「八人全て揃ったのはな、まあこれもじゃ」
「遺伝子でか」
「引き寄せあってじゃな」
「何かすげえ遺伝子なんだな」
薊は腕を組みだ、七人を見た。
そうしてだ、しみじみとした口調で語ったのである。
「あたし達の遺伝子は」
「惹かれ合うな、そして運命じゃな」
「神様の力か」
「それもあるのじゃな」
これが、というのだ。
「どうやらな」
「それはもうあれだよな」
「科学や錬金術ではどうにもならぬ」
人の力では、とだ。博士も語った。
「人の縁だけはな」
「本当に神様の力だからか」
「そうじゃ、最早説明も出来ぬ」
縁というものはだ、それこそ人が知らない知ることの出来ない不思議な力で成り立っている。それでなのだ。
「君達が集まったのもな」
「神様か」
「そうした存在の配剤やものう」
「博士神様信じるんだな」
「わしは宗教学者でもある」
博士は薊にこのことも話した。
「実はな」
「じゃあ神様の存在も信じてるんだな」
「わしは無神論者でjはない」
はっきりと言った言葉だった。
「神は確かに存在するぞ」
「まああたしにしてもな」
薊にしてもだ、そこはしっかりと言った。このことは薊だけでなく他の少女達も同じである。神仏の存在を否定していない。
「神様はいると思ってるよ」
「仏教学の論文も書いていてじゃ」
また言う博士だった。
「神学の博士号も持っておる」
「神学っていうと」
「キリスト教じゃ、僧侶と神主、天理教教会長の資格も持っておる」
「色々持ってるんだな」
「神学は欧州のあらゆる学問の基礎じゃ」
そこから全てがはじまっているのだ、哲学、法学、文学、その他の学問もだ。欧州は学問はまずは神学からなのだ。
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