美しき異形達
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第五十話 明かされる真実その十一
「それは」
「うむ、君のお祖父さんは科学の権威じゃったな」
「はい」
「しかしそれだけではなかったのじゃ」
「そういえばお祖父さんは」
智和も博士に言われて気付いた、それが顔にも出ている。
「科学以外にも」
「そうじゃな、わしも君のお祖父ちゃんには教えたことがあるが」
「それで博士とも知己でしたね」
「共に魔術や錬金術も学びな」
「そしてですか」
「そうじゃ、このことはわしも知らなかったが」
博士は智和にさらに話していく。
「お祖父さんはサン=ジェルマン伯爵とも知己じゃったのじゃ、いや」
「知己どころかですか」
「うむ、そうじゃ」
まさにというのだった。
「共に研究をする間柄にもなっておった」
「そうだったのですか」
「どうしてお祖父さんと伯爵が知り合ったのか」
それはというと。
「あるパーティーの場で伯爵が目の前に現れてじゃ」
「それで、ですか」
「そうじゃ、知己になりな」
「そして」
「共に科学、魔術、錬金術。それに仙術等も加えてな」
そうした様々な学問を混同したものを使いそしてというのだ。
「そのうえでじゃ」
「あたし達をか」
「その様じゃ」
博士は薊の言葉にも彼女に顔を向けて答えた。
「新たな生命、自分達の手で造る」
「そうしたいからか」
「それもあった、じゃが」
「だが?」
「実はサン=ジェルマン伯爵とカリオストロ伯爵は敵対関係にあったのじゃ」
ここでこのことも語られた。
「今もな」
「じゃあお互いにか」
「代理戦争かというとそうではない、サン=ジェルマン伯爵が智和君のお祖父さんと共に君達を造ろうとした時にな」
まさにその時にというのだ。
「カリオストロ伯爵もそれを察してな」
「怪人達を生み出してか」
「それで君達を殺そうと決めたのじゃ、君達のことを察知出来る、遺伝子レベルでな」
それが出来るものをというのだ。
「怪人達に備えさせてな」
「だから連中はいつもあたし達の前に出るんだな」
「君達が何処にいてもな」
「そのこともわかったな」
薊も他の面々もあらためて頷いた。
「そういうことなんだな」
「そうじゃ、調べていてわかった」
「そうしたこともか」
「うむ、しかもな」
さらに言う博士だった。
「サン=ジェルマン伯爵と智和君のお祖父さんもそのことを察知してじゃ」
「カリオストロ伯爵の考えをか」
「君達に力を備えさせたのじゃ」
「気を火とかに変えたり身体の潜在能力を引き出せる」
「最初はじゃ」
「普通の女の子として造るつもりだったんだな」
「そしてじゃ」
博士はさらに言うのだった。
「実はサン=ジェルマン伯爵とお祖父さんは君達を姉妹としてな」
「鈴蘭ちゃんと黒蘭ちゃんみたいにか」
「二人はそれぞれのDNAが特に似ておったからな」
それで、というのだ。
「姉妹となったが」
「それでもか」
「本来は君達八人全員じゃ」
「姉妹として育てられる筈だったのか」
「そうなる筈じゃったが」
本来はとだ、博士は複雑な顔で話した。
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