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ドリトル先生と二本尻尾の猫

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第九幕その十

「自分が嫌いな相手には凄く残忍な人になったの」
「それでその人も他人を傷つけてるんだ」
「嫌いな相手にはね」
「悲しい話だね」
「そうしたことにもなるから」
「うん、言わないことだよ」 
 人の失恋の話はです。
「それは絶対にね」
「守らないとね」
「僕もそのことはわかっているつもりだよ」
 恋愛の経験が全くない先生でもです。
「これは人として当然のことだよ」
「心の傷は抉らない」
「それが一番だよ」
「そういうことよね」
「うん、けれどあの子達は」
「お互い好きだからね」
 まさにです、相思相愛だからです。
「いけるわ」
「そうだね」
「デートしてムードを作って」
「告白までいければ」
「後は大丈夫よ」
 お静さんはそこからの流れは大丈夫だと確信しています、それで先生にも言うのです。
「お二人の新たなはじまりを見守ってね」
「そうさせてもらうよ、それでだけれど」
 今度は先生からお静さんに尋ねました。
「その日は何時かな」
「デートのね」
「うん、何時なのかな」
「日曜よ」
 お静さんは先生にはっきりと答えました。
「日曜に行くから」
「そう、日曜なんだ」
「そうなの、日曜に八条テーマパークに行くから」
「あの遊園地だね」
「あそこはいい場所よ」
 その八条テーマパークはというのです。
「日本一の遊園地よ」
「あそこは日曜凄く混んでるらしいね」
「いつも親子やカップルで一杯よ」
「最近日本ではテーマパークは苦戦しているらしいけれど」
「ええ、それでもね」 
 その八条テーマパークはというのです。
「あそこは違うのよ」
「いつも人で一杯なんだね」
「そう、だからね」
「あそこの経営は大丈夫なんだね」
「設備の充実が凄いのよ」
 お静さんは先生に確かな声でお話します。
「もうびっくりする位に」
「そこまでなんだね」
「先生はまだ行ったことがないのね、あそこには」
「うん、動物の皆と行ってもいいけれど」
 ここで、でした。先生はです。
 その動物の皆を見てからです、お静さんに答えました。
「何か違うかなって思って」
「それでなのね」
「妹が言っているんだ、いつも」
「あっ、先生妹さんがいて」
「そうなんだ、結婚して子供もいるね」 
 そのサラがというのです。
「その妹がテーマパークとかはね」
「家族かカップルが行く場所って言ってるのね」
「そうなんだ、だからね」
 独身で交際相手がいない先生はです。
「行っていないんだ」
「そうなのね」
「そうなんだよ、面白そうだとは思うけれど」
「仕方ないわね、それじゃあ」
「けれどだね」
「そう、先生も今回はね」
 日曜のお二人のデートの時はです。
「来てね」
「そのうえで見守らせてもらうよ」
「お二人は私が何とかするから」
 そして、というのです。
「周りはね」
「僕と動物の皆でだね」
「見守ってくれて。何かありそうなら」
「露払いはこっちでするよ」
 先生はお静さんに笑顔で答えました。 
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