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美しき異形達

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第五十話 明かされる真実その五

「凄い美人さんだったらしいわ」
「アイドルみたいな感じか」
「実際そうなれる位だったそうよ」
「そりゃまた凄いな」
「他の先輩も美人さんが多くて」
 その先輩だけでなく、というのだ。
「まさに百花繚乱らしいわよ」
「凄い寮だな」
「それでそうした人達がね」
「将来は教会の奥さんか」
「そうなるの」
「じゃあ天理教の教会の奥さんは美人揃いなんだな」
 薊はここまで聞いてこのことを察した。
「あたしには無理だな」
「そう言うの?」
「あたし美人じゃないからだよ」 
 少し苦笑いでの言葉だった。
「無理だな」
「美人は顔じゃないわよ」
「心ってか。じゃあ余計に無理だな」
「そう言うのね」
「あたしみたいなガサツな女が美人の筈ないだろ」
「薊ちゃん性格いいわよ」
「だといいけれどな」 
 ここでの笑顔はすっきりとしたものだった。
「ガサツでも」
「まあとにかく。結婚はね」
「考えておくべきか」
「将来のことだしね」
「あたしが赤ちゃん産むのか」
 結婚すれば当然ながらこのことも入って来る、そのことを考えると余計にだった。
「想像出来ないな」
「まあ私もそれはね」
「だろ?裕香ちゃんだって」
「お母さんになるとかね」
「ちょっと想像出来ないよな」
「まだまだ遠い先っていうか実際にそうなれるのか」
 わからないというのだ。
「想像出来ないわ」
「だよな」
「けれど結婚したら」
「考えていくことか」
「自然にね」
「世の中のお母さん皆そうなんだな」
 薊の今の口調はしみじみとしたものだった。
「赤ちゃんな」
「産んでね」
「お母さんになったんだな」
「そうなのよ」
「だよな、不思議だな」
 ここで薊は自分の腹を見た、今はすっきりとしている。
 そのすっきりとした腹を見つつだ、こうも言ったのである。
「食って消化するだけのお腹からな」
「赤ちゃんが産まれるのよね」
「その時はあたしのこのお腹もか」
「凄く大きくなるわよ」
「十ヶ月の間」
 新たな生命が宿りそうなるのだ。
「不思議な話だよ」
「そうよね、夢みたいなお話よ」
「全くだな、けれど本当にお母さんになれるんなら」
 それならとも言う薊だった。
「子供五人欲しいな」
「五人?」
「最初は男の子かな」
 嬉しそうにだ、将来を考えての言葉だ。
「そこから女の子でさ」
「女の子もなのね」
「女の子は三人な」
「女の子の方が欲しいの?」
「数はな、ただな」
 それでもとも言うのだった。
「最初は絶対にな」
「男の子なのね」
「そちらが欲しいな」
 こう裕香に話した。 
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