サロン
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第四章
筒状のスカートで脇にひだを寄せて穿いてだ、ベルトで締めている。赤い鮮やかな色の下地に南方の花や蝶が描かれ奇麗な模様も入っている。スカートの丈は長くくるぶし近くまであり足は靴だ。
上着は衿の部分にレースをあしらった白いカバヤだ、ウエストのラインを締めている。
そのサロンとカバヤのウェイトレスは小柄で楚々とした感じの白い肌の女性だった、黒髪を奇麗に後ろで束ね黒い大きな瞳に細い眉が印象的だ。
その女性を見てだ、ポッターは。
思わず息を飲んでだ、こんな言葉を漏らした。
「ここに来て一番の名花だよ」
「そう言われますか」
「言うよ、こんな美人は見たことがないよ」
それこそというのだ。
「本当にね」
「お気に召された様で」
「いや、いいね」
しみじみとして言うポッターだった。
「美人だね」
「そうですね、ただ」
「ただ?」
「今ポッターさん英語ですけれど」
その言葉で喋っているというのだ。
「私もですけれどね」
「うん、それで」
「ここのお店アメリカからのお客さんも多いですよね」
「このバンタイ自体がね」
「そうです、ですからこちらの人も」
そのウェイトレスもというのだ。
「英語わかりますよ」
「えっ、そうなんだ」
「セクハラはお断りですよ」
そのウェイトレスが笑って言って来た。
「生憎ですが」
「私の妹でしてね」
バーテンダーがカクテルをシェイクして作りつつポッターに言って来た。
「交際相手いますから」
「おっと、そうなんだ」
「お気をつけを」
「わかったよ、それじゃあね」
「いや、マレー人ですがね」
バーテンダーもウェイトレスもというのだ、
「お酒を扱ってます」
「イスラムでもかな」
「いえ、実は宗教はイスラムじゃなくてキリスト教で」
「そうなんだ」
「はい、それで何を飲まれますか?」
「そうだね、いいサロンを見たから」
それでとだ、ポッターはバーテンダーに笑って応えた。
「マレーシアオリジナルのカクテルを貰おうかな」
「では今から作りますね」
「じゃあ私も」
チンもだ、バーテンダーに注文した。
「オリジナルを」
「それを二つですね」
「頼むよ」
こう話してだった、二人はこの夜はマレーシアオリジナルのカクテルを楽しんだ。そして次の日午前中はというと。
買いものを楽しんだ、すると。
その入った土産ものを扱っている店の店員もだ、サロンとカバヤでだ。この店の店員のサロンは緑で模様は貝に波だった。カバヤは同じく白だった。
そのサロンも見てだ、ポッターは目を瞠ってチンに言った。
「僕の仕事のことは話していたね」
「ロンドンの美大で先生をしてるんですよね」
「うん、絵画のね」
「ではここで」
「いや、サロンを観てね」
そしてというのだ。
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