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ソードアート・オンライン~雷皇の狩人と双棍の闘士~

作者:村雲恭夜
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C:黒鉄と略奪王

「……」
「……レイン?」
考え事をしていた俺に、ユウが不思議そうに顔をかしげて言う。
「どうしたの、そんな怖い顔して。スマイルスマイル♪」
「……あの惨状を見て言う言葉か」
俺はぶっきらぼうに言うと、目の前で繰り広げられている戦争を見る。
「ええい!大人しく貴様の力を略奪させよ!!」
主犯、略奪王。ありとあらゆる能力を使い、対象を追い掛ける。狙いは……。
「ざっけんな!!テメェにくれてやる能力なんてねぇよ!!破断!!!」
オリジン。両の手刀で略奪王の鎖を壊していく。
奪うものと喰らうもの、どちらも同じ性格のように見えて、実は非対称の二人の戦争は、周りのMod達をも巻き込み、更地にしていく。
「……止めたら?」
ひくひく、と口を動かしてユウが言う。が、
「断るね。死にたくねぇ」
即座に決断して答える。あの中に入るのはとてもじゃないが苦労する前に死ぬだろう。
「ぬぉおおおおっ!!」
「ぬぉおおおおっ!?」
略奪の雄叫びと、捕喰の雄叫び。異口同音の雄叫びを上げながら彼等は遂に迷宮区の壁を壊した。
ドゴォオオオオオン!と大きな音を立てて壊した壁はすぐに再構築され、もとの壁に戻る。
「……侵食さん、連れてきてくださいよ」
「自分で行きなさいよ」
これだ。全く持って……
「役に経たねぇな牝豚がぁああああっ!!」
「ちょっ!なんかいいんですが!!濡れる!!」
………、もう、嫌だ、このチーム。
「……」
隣では、ユウが悲しそうな目で俺を見ていた。……そりゃ、哀れむよな。























































闇神サイド

「食らうがいい!【我が無限の理想郷】!!」
略奪王が叫ぶと、様々な武器が虚空から打ち出される。それらを、
「発動、【強襲喰い】!!」
認識した能力を破壊する、或いは無効にする能力で対抗、武器が砕け散る。
「ハハハハッ!良いぞ、その力!!それがあれば無敵に近付く!!」
「くれねぇけどな!!」
略奪王の持つツイン・エクスカリバーをクラッシュ・アイズで破壊して無力化し、トランジェントエタニティの須臾の能力を発動し、背後を強襲。
しかし、略奪王は反応し、金の鎖で俺を拘束する。
「聞くかよ」
それを荒業で砕くと、蹴り飛ばす。
右腕で防いだ略奪王は、ロゥアーを取り出し、接近してくる。
「良いぞ!もっと……もっとだ!!」
「……昔の俺みたいだな。悲しいぜ……」
ミラクルメイカーで虹の盾を出すと、それごとロゥアーを弾いて頭を手のひらで攻撃して脳を揺らす。
しかし、もろともせずにロゥアーで俺を切りつける。
「ぐっ……」
デュランダルですぐに傷の修復を終わらせ、二の太刀を左手の平で弾いて回転蹴りを放つ。
頭に直接当たるが、それも意にかさないように、金の鎖を乱射する。
「っ……!しつけぇぞ!!」
エンサイクロペティアでアロンダイトを呼び出すと、それらを叩き折る。
途端、略奪王が接近、最終体のロゥアー・アン・ヒストリアを振るおうとする。
「ドレッドノートバースト!!」
『Dreadnought Burst!!』
叫びと同時に、黒いビットが現れ、一斉射撃を放つ。
ロゥアー・アン・ヒストリアは弾き返され、そのまま俺の回転蹴りで略奪王は武器を落とす。
「ほう……」
「コレで攻撃も、バリアも張れないな!!」
至近距離での射撃に備え、ヘカートをエンサイクロペティアから呼び出し、眉間に構える。
しかし、略奪王は笑う。
「フフッ……フハハハハハハハハハッ!!」
「……何が可笑しい、略奪王」
「……貴様の両の手を見よ!」
「!?」
金の鎖が発動し、エンサイクロペティアが吸収されていく。
「ぐぉ……っ!」
果てしない脱力感に襲われるが、すぐさま強引に金の鎖を破壊。ミラクルメイカーがすぐに能力を修復させる。
「不完全ながら、確かに頂いたぞ、貴様の【百科辞典(エンサイクロペティア)】!!」
「……一番嫌な物を捕られたものだ。が……基本はレッド・ライダーのアレに近いし、別に困ることでもねぇ」
黒楼剣を虚空から呼び出し、その鞘から抜いた黒い刀身は、略奪王を確かに写した。
「コレで気兼ねなくやれるぜ。来な、異世界王(ヤンキー)?」
「それは此方の台詞ぞ、異世界神(イレギュラー)!!」
途端、お互いの剣をぶつけ合い、その衝撃破で地面をクレーター状にする。
片や、哀しみの先にある一つの王の未来、片や、幻想となって忘れ去られた博霊の神の未来。
前者は全多次元宇宙と物語で構成され、後者は幻想となり、最早全ての事象をあらゆる面で効かない神。
両者共に、世界を破壊する程の威力を持つ能力保持者だ。
これがもし、【幻想者によって張られた結界内で行われていなかったら】、既に物語は消滅し、残るのは両者だけとなっていただろう。
そして
「【略奪されしただ一つの物語】!!」
今、
「【忘れ去られし幻想の一撃】!!」
ロゥアー・アン・ヒストリアとロスト・イン・ファントムバーストが、ぶつかり合う。

ズガァアアアアアン!!

中間でぶつかりあった青の斬撃と、白き斬撃は、互いに押さえつけあっていた。
「くっ……、うぉおおおおおおっ!!」
「チィッ………、セイヤァアアアアアアッ!!」
互いが渾身の一撃を放とうとするーーーーーまさにその時だった。

「……下らん事で壊そうとするな」

その声と共に、力が消失。同時に、突風が舞い、両者共に地面に叩き付けられる。
その原因を作ったのはーーーーー
「……レイン!」
神装・三番を装備し、矢の長いエクシード・ブレイブを持ったレインだった。
「迷惑だ。さっさと終わらせて街に帰るぞ」
「レイン……?もしかして怒ってる……?」
「……怒っていないぞ?」
と、口では言うが、感情表現が乏しい彼の顔を見た二人は思う。
(………いや、絶対怒ってるだろ)
第一、二人の攻撃を矢の一本でかき消す自体、最早狂気の沙汰ではない。警戒するべき人間はもしかしたらーーーーー
と、そこまで考えた二人に、レインが言う。
「……街に戻ってメシを食う。食わないなら置いていくぞ」
「お、おう」
二人は頷くと、レインの後を追った。







































完全な余談ではあるが、迷宮区の時にレインがやったあることが切っ掛けで、唯でさえややこしい侵食が、更に面倒になったのは後々新たなる波乱を巻き起こす……かもしれない。 
 

 
後書き
漸くです……お待たせいたしました。
で、今回の台詞の中に、ギャレンの名言があります。ライダーファンなら分かる。断じて言える。
と、言うことで次回は漸く第一層編の最終話。あの黒雷コンビと白黒コンビのチート炸裂です!バースト!フルスロットル!デッドヒート!!です!!
あ、因みに今日はテスト初日で、暇だったので去年の仮面ライダー×仮面ライダー借りて見ました。バナナが物凄く格好いい。「バロンだ!!」
後、メロン兄さんが珍しく主人公然としてて凄かったです。良いなぁ、俺も書きたいよ。
つーことで次回もよろしく!! 
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