極短編集
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短編71「お父さん、これ同じ作者かも!?」
「お父さん、教えて欲しいんだけど」
小5の息子が僕に質問した。
「とんだ藪蛇って何?」
どうやら学校の宿題らしい。
「どっかの誰かさんが、暇だから藪をつついてたら、蛇が出て噛まれたんだよ。だから余計な事はするな!って意味さ」
「じゃあさあ、藪から棒って何?」
「藪の中は見えないだろ?だから中から急に棒を突き出されたらビックリするじゃん!だから、いきなりなんだよ~って感じの意味」
と、僕が答えると……
「ちょっと思ったんだけど、このことわざ作った人って同じ人なんじゃない!?」
「なんで?」
僕は息子に質問した。
「いきなり棒を出して人を驚かせたあと、暇になったから藪を棒でつついたから蛇に噛まれたんでしょ?だから、きっと同じ人だよ!」
それを聞いて僕は驚いた。
「スゴ~イ本当だ!話しがつながってるね」
と、僕は関心した。
「ところで、やぶさかってなに?やぶさかでないって言葉あるけど、もしかして?」
と、息子の頭の中では想像が広がっているのか、顔には笑みがこぼれていた。そして、少ししてから僕に、思い付いた事を話しだした。
「話しをつなげると……いきなり棒を出して人を驚かせたあと、暇になったから藪を棒でつついてたら蛇に噛まれた人がいて、その場所を藪坂って呼んだんだ。で、藪坂は嫌な場所って意味になって、だから、やぶさかは“嫌”って意味になったんだよ。だから、やぶさかでない!だと、嫌じゃないよ~って意味で、やぶさかであるって言うと、嫌だ!って意味なんだよ」
と、息子は自分の仮説に自信満々だ。
「なるほど~!まあ、やぶさかである!なんて言葉は聞いた事ないけどな。でもその仮説は凄いよ!!」
と、僕が本気で言うと……
「え!?なんで凄いの?」
と、息子は身を乗り出した。
「それだと、ヤブ医者の説明も出来るからさ。ちゃんと治せない医者は……
“嫌”だからね!」
おしまい
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