リリカルアドベンチャーGT~奇跡と優しさの軌跡~
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第百五十八話 格の違いというものを知れ
前書き
ブイモンVS暗黒デジモン軍団
ニューヨークに着いた大輔達。
賢がパリに降りたためにアルフォースブイドラモンに乗って此処まで来たのだ。
大輔「ありがとうなフェイト、アルフォースブイドラモン」
アリサ「流石は神速のロイヤルナイツ、ニューヨークにあっという間に着いちゃったわ」
大輔「さてと、行くか」
ブイモンもマグナモンに進化し、コロナモンもアポロモンに進化すると、デジモンの気配がする方に向かうのだった。
サム「もうすぐ、セントラルパークだ!!」
アメリカの選ばれし子供であるサムはパートナーのフレアリザモンと一緒に迷いデジモン達を集めていた。
暴れているデジモンがいなくて助かった。
思えば彼らも突然知らない世界に放り出されて戸惑っていただけだからだ。
そんな事を考えながら道路を歩いていると、不意に傍のクリスマスツリーが点灯する。
歩行者が通りかかると、電気が点く仕組みになっているようだ。
サム「うわあ……」
デジモン達も美しいイルミネーションに目を奪われ、感嘆の声を洩らした。
すると、今まで大人しくしていたジュレイモンがいきなり走り出し、輝くモミの木に掴みかかった。
サム「ああっ!!」
ジュレイモンが滅茶苦茶にツリーを殴り、コードが切れたのかライトは消えてしまった。
サム「違うよ、それは敵じゃない!!ただのクリスマスツリー!!」
サムの制止の声も届かない。
フレアリザモンが飛びかかるが、すぐビルに叩きつけられてしまう。
ミミ「そんな…どうすればいいの…?」
パルモン[超進化出来れば…]
どうすればいいのか分からず途方に暮れる子供達に3体の究極体が降臨した。
マグナモン[随分と暴れてくれたな]
絶対零度の視線と圧倒的な威圧感を浴びるジュレイモンの身体は震えていた。
マグナモン[まさか…手間をかけさせて無事に帰れると思っているんじゃないだろうな]
指の関節を鳴らしながら、ジュレイモンに一歩ずつ歩み寄るマグナモン。
一歩ずつ後退していたジュレイモンだが、行き止まりになる後退出来なくなった。
マグナモン[よし、いい子だ。物分かりのいい奴だ]
パルモン[違う…絶対違う…]
ただ行き止まりのせいで動けないだけだとツッコミたい。
しかしツッコんだらツッコんだで今度は自分がああなりそうな気がする。
マグナモン[お仕置きのプラズマシュート]
ズドオオオオオン!!
ミミ「ご愁傷様…」
両手を合わせて念仏を唱えるミミ。
デジタルワールドからの迷いデジモン達もあまりの惨状にドン引きしている。
訳の分からないまま、デジモン達は逆らったら自分がああなると見せつけられ、デジタルワールドに戻るまでビクビクしていた。
多分デジタルワールドに帰った後は今頃歓喜していることだろう。
ちなみにジュレイモンはマグナモンが強制的に送還した。
アリサ「終わったわ。アッサリとね」
フェイト「ちょっとやり方に問題があったような気がするけどね。」
ブイモン[何処が?]
全員【出たよ無意識】
全員のツッコミがとうとう炸裂したのだった。
大輔「まあ、とにかくこれで終わりだ。帰るとしようぜ」
大輔達が日本に帰ろうとした瞬間、見覚えのある短剣が大輔の足元付近に突き刺さる。
アリサ「この短剣は…」
ピエモン[あの程度で図に乗るんじゃないですよ皆さん!!]
パルモン[あ、あいつ!!]
ミミ「ピエモン!?そんな、どうして!?」
ピエモン[ふふふ、驚いているようですね。いいでしょう、冥土の土産に教えて差し上げましょう。これは私にとっても嬉しい誤算でした。私は確かにあの時、ホーリーエンジェモンの技により異空間に封じ込められましたが、デーモン様の偉大なお力のおかげ、戻ってきたのですよ!!更なるパワーを身につけてね!!]
ブイモン[んで?]
半眼でピエモンの話を聞いていたブイモン。
ピエモン[何ですあなたは?]
ブイモン[確かにお前が戻れた理由は分かった。ただ単純に運が良かっただけだな。更なるパワーとか言ってるけど大してパワーアップしてないじゃないか]
[あら?随分と強気な坊やね?]
[小僧は恐れを知らんようだな]
レディーデビモンとマリンデビモンがブイモンを嘲笑うが、ブイモンはどこ吹く風である。
ブイモン[まあ、戦いたいなら相手してやるけどさ。前もって言っとく。俺はとんでもなく強いぜ]
ピエモン[ほう?では…]
スカルサタモン[その強さを見せてもらおうか]
パワーを放出する暗黒デジモン。
サムやミミ、アメリカの選ばれし子供達とデジモン達は吹き飛ばされそうになる。
ブイモン[何だそんなもんか。キメラモンカオスと比べればカスみたいもんじゃないか]
ブイモンは呆れたように笑うと自身のデジコアと同化している奇跡のデジメンタルのエネルギーを同調させ、放出する。
ブイモン[どりゃああああああああ!!!!]
成長期の状態でも究極体級の力を引き出すブイモン。
因みにこれはデジコアと奇跡のデジメンタルを同化させたブイモンにしか出来なかったりする。
ブイモン[ぶっ飛びやがれえええええ!!!!]
ドゴオオオオオオオオン!!!!
凄まじいエネルギーの放出により、レディーデビモンとマリンデビモンが塵も残さず消滅。
スカルサタモンとピエモンも勢いよく吹き飛ばされた。
コロナモン[ブイモーン!!やりすぎだ馬鹿野郎!!]
チビモン[お兄ちゃーん!!]
瓦礫から出て来た2匹にブイモンは舌を出しながら笑った。
ブイモン[ははは、悪い悪い。試しだからつい力加減が…]
ピエモン[ふ、ふふふ…や、やりますね。選ばれし子供のパートナーデジモンにしては腕が立つようで]
スカルサタモン[壊してやる…]
ブイモン[おお、生きてたか。そうこなくちゃ面白くねえや]
ピエモン[成長期風情が調子に乗るな!!]
スカルサタモン[殺してやる!!]
ブイモン[行っくぜー!!]
ぶつかり合う両者。
ピエモンとスカルサタモンの攻撃を捌きながら、地面にひらりと着地した。
ピエモン[エンディングスペル!!]
着地したブイモンに向けてピエモン最大の技を放つ。
衝撃波がブイモンに炸裂した。
ミミ「ブイモン!?」
パルモン[や、やられちゃったの!?]
ピエモン[やったあ…]
土煙が消えるが、ブイモンの姿はどこにもない。
ピエモン[ほーっほっほっほ!!成長期風情が調子に乗るからです!!愚か者め!!]
チビモン[ねえフェイト。ああいう常識で量れる人って幸せだよね]
フェイト「そ、そうだね」
チビモンの言葉にフェイトも苦笑しながら頷いた。
スカルサタモン[馬鹿が!!あいつは喰らう寸前に避けたぞ!!]
ピエモン[何!?]
スカルサタモン[…かつてはダークマスターズ最強と恐れられ続けたピエモンが成長期にも勝てないとは呆れたな]
ピエモン[ぐっ…なっ!?…呆れたのはこっちの方です。あなたの後ろの足元を御覧なさい!!]
スカルサタモン[!!?]
チュ~、ズズズ…。
モグモグモグ…。
パラパラパラ…。
動いて身体が暖まったからかどうかは不明だが、生クリームをこんもりと入れたアイスココアをストローで飲みながらチョコチップクッキーを食べ、漫画を読んでいるブイモンがいた。
スカルサタモン[い、いつの間に!!?]
ブイモン[ん?ようやく気付いたのか…。“かつてはダークマスターズ最強と恐れられ続けたピエモンが成長期にも勝てないとは呆れたな”…ねえ?]
馬鹿にするように笑いながらアイスココアを啜るブイモン。
スカルサタモン[ぐっ、舐めやがって!!ネイルボーン!!]
ブイモン[おっと、そんな単純な攻撃が当たるもんかよ]
ピエモン[トランプソード!!]
ブイモンに向けて放たれる複数の短剣。
かつての戦いでは太一達を苦しめた技。
しかし、ブイモンには簡単に見切られてしまい通用しない。
それどころか飛んできた短剣に片足を付け、残った手に取った短剣でジャグリングをしながらあっちこっちに。
ブイモン[馬~鹿馬~鹿。ベロベロバ~]
スカルサタモン[あ、あの野郎…俺達で完全に遊んでやがる。]
ピエモン[ぐっ…]
完全に馬鹿にされて、しかも格下のはずの成長期にいいようにされているという事実がピエモンを苛立たせる。
ブイモンはジャグリングしていた短剣を投げ捨てると、背中の鞘からロングソードを抜き放つ。
ブイモン[そろそろお遊びは終わりにするか!!]
スカルサタモン[舐めやがって!!ネイルボーン!!]
ブイモンに伸びる閃光。
喰らえばデータを破壊されてしまうが、ブイモンはまるで野球のバッターと同じようにロングソードを持つ。
ブイモン[必殺!!ピッチャー返し!!]
グゥワキィィィン!!
弾き返された閃光はピッチャー返しの名に相応しく、スカルサタモンに炸裂した。
そしてブイモンを乗せた短剣はピエモンのコントロールを受け付けず、ピエモンの顔面に迫る。
屈んでかわすが、ブイモンのベロベロバ~という顔がドアップで見せつけられ、そのままヒュ~という音と共に何処かに。
ピエモン[くっ…調子に乗るのも、いい加減にしろ!!]
再びトランプソードを繰り出すピエモンだが、ブイモンはロングソードでそれを弾いて、ゴールドブイドラモンにアーマー進化。
ゴールドブイドラモン[お前はこれでお終いだ。井の中の蛙の癖に調子に乗りやがって]
必殺技のブイブレスアローがピエモンとデータを破壊され、動けないスカルサタモンに炸裂。
2体は成長期のブイモンにすらまともな勝負も出来ずに消滅した。
いや、反則技に近いのを使ったけれど。
フェイト「これがインフレって奴?」
アリサ「流石にここまで軽く一蹴されるといくら敵でも哀れだわ」
ブイモン[よーし片付いた。皆、早く帰ろう。思いっ切り食べてたっぷり寝たいし。ああ、そうそう。メぇぇ~~リぃぃぃぃクリっスマぁぁぁーーースぅ!!!!!!!!]
ブイモンの叫び声がニューヨークに響き渡るのであった。
おまけ
アインス「どうした?」
ゲンナイ「いや…確かに私はピエモンにあまりいい感情を抱いてはいない。しかしあそこまでコケにされた挙げ句倒されるのを見ると…」
あまりにも哀れに思えるのは気のせいだろうか?
アインス「まあ仕方あるまい。自分の実力を考えずに格上に挑んでしまうような馬鹿ではいずれやられるのがオチだ」
ピエモンとは何の因縁もないアインスからも冷徹なお言葉を頂戴した。
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