劇場版・少年少女の戦極時代
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ドライブ&鎧武 Movie大戦フルスロットル
遅れて来た彼らは何のために動いていたのか?
タワー跡地に刺さった鋼鉄の花から、メガヘクスが降り立った時と同じ種子が飛び散った。
その色は、緑ではなく金。
ヒトの背丈ほどもある金の種子が地面に突き刺さって開くや、中からインベスの群れ――そして、インベスとは異なる、胸に数字のないプレートのある怪物の群れが現れた。
鎧武と龍玄と斬月・真が背中合わせになりながら武器を構えた。
戦う力さえない碧沙は、ただ舞の後ろにいて、兄たちと紘汰の無事を祈るしかできない。
(誰か。誰でもいい。兄さんたちを助けて。助けてあげてっ)
《 ロック・オン ピーチエナジー 》
聞き覚えのある音声の直後、空から桃色のソニックアローが雨あられと降り注ぎ、怪人の軍団を一掃した。
驚いて空を見上げる前に、ちょうど碧沙と舞の前に、見慣れた赤と黒の男が着地した。
「戒斗っ」
「駆紋さんっ」
次いで、ヒマワリ色の花びらの羽根をしゃらしゃらと揺らめかせながら、アーマードライダー月花が着陸した。
ぽかんとしている碧沙たちの前で、月花はヒマワリとピーチエナジーの錠前を外し、ドラゴンフルーツアームズに換装した。
『あたしと同じロックシードでしかもエナジーのを戦極凌馬にあげたとか。なめた真似してくれちゃって。これはそのおしおきなんだから!』
月花は力強く拳を掲げた。
やはり先ほどのソニックアローは、月花が放ったもので間違いなさそうだ。
碧沙たちの前にいた戒斗が、鎧武たちのもとへ歩いて行った。
「相変わらずだな、葛葉。まだそんなふうに足掻いているのか」
『戒斗……』
――紘汰と舞が連れて行った“ヘルヘイムにまつわるモノ”の中で、唯一、地球に残されたオーバーロードインベス、駆紋戒斗。
かつてこの地球の覇権を懸けて争った、因縁の二人。
「俺はかつての俺とは違う」
ほんのわずかにだが、戒斗の視線が月花に流れたのを、碧沙は見逃さなかった。
(まさかここで再戦、なんてことにならないわよね? まだメガヘクスのことがあるんだし。大丈夫……よね?)
前に立つ月花の背中に視線を送った。
小学校時代なら、ここで咲はふり返り、笑いかけてくれた。
だが今は、月花は前を見据えたまま動こうともしない。
親友が見つめる相手が紘汰と戒斗のどちらであれ、それは碧沙の胸に不安を呼び起こした。
戒斗はぽーいと、虹色の塊を鎧武に向けて放り投げた。
『え?』
「鍵のバックアップ分だけだと足りないだろう。お前が地球に戻った時に飛び散った分を、咲と手分けして集めた。さっさと吸収して元の力を取り戻せ」
『戒斗……お前』
「お前はこの俺に勝ったんだ。あんな機械人形にやられるような無様は二度と曝すな」
その時だった。
まるで図ったように、銀ではなく金のフォルムのメガヘクスが飛来した。
『我、メガヘクスはさらに進化した。脆弱な個よ。メガヘクスに融合せよ』
「何が進化だ。笑わせる」
戒斗は戦極ドライバーを装着し、バナナの錠前をバックルにセットし、カットした。
「変身」
《 カモン バナナアームズ knight of Spear 》
変身したバロンもまた、メガヘクスと対峙する鎧武、龍玄、斬月・真の列に加わった。
『他人が築き上げた力を横から掻っ攫って貪り食うだけの貴様に、俺たちが脆弱と言われる覚えはない』
後書き
原作映画では「俺のやることは変わらない」。
拙作では「俺はかつての俺とは違う」。
どうして「違う」のか、ずばり、旅を通じて見識を深めたからです。
原作からMOVIE大戦の間には最低でも2年の空白があります。その間、戒斗はそりゃーもーあちこちに行ったんです。本当に世界を見て来たんです。
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