Fate/EXTRA〜もう一人のアーサー王〜
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捜索
前書き
どうもお久しぶりです!
前回の投稿から二ヶ月ぐらい開けてしまいすみません!
色々と忙しいもので更新するのが遅くなりますが、よろしくお願いします!
朝食が終えると、俺たちはアリーナに向かっていた。腹ごしらえした後は運動に限る。ジジくさいがなんか体が健康的になっているような気がした。
しかし、健康的なのも良いが俺が何としてもクリアしないといけないのが、セイバーの修行だ。昨日は散々セイバーにボロボロにされたから今日こそは一泡吹かせてやる。そのつもりでいるのだが、あの動きをどう対策するのかが浮かばない。
やはり経験値の差なのだろうか。でなければこんなにも簡単に避けられることもないし、動きが機敏過ぎてついていけない。
どうしたものかと考えていると、アリーナの入り口である用務員室の扉の前に辿り着いてしまった。
グダグダ考えていても仕方ない、と自分で割り切り扉の取っ手に手を掛けた瞬間だった。
パァン!!
「ッ!?」
まるで誰かに叩かれたかのように手が弾かれた。これは…と思いながらセイバーへと視線を向ける。
兜の向こうでどのような表情をしているのか。空気的にセイバーも少し驚いているような気がするが…。
「結界だな。あの小悪党め、やってくれるではないか」
セイバーもこれを仕掛けた相手が分かったようだ。さっきまで候補として上がっていたのだがセイバーの今の一言で確信を持てた。
「慎二……か」
肩に重りを乗せられたかのような気分になった。
なぜ慎二がこんなことをしたのかはなんとなく分かった。言わずもがな俺たちの邪魔をしたいんだろう。どんなことをしているか分からないからとりあえず行動を起こしたというところか……。
「どうするセイバー?」
「この扉を封じたということはその近くに痕跡があるはずだ。それを破壊すればこの忌々しいものは解けるだろう」
解く方法は案外簡単な話だったがここからが問題だった。
「でも、肝心なのがどこにその痕跡があるか……だよな?」
「ああ、その場合はこれを使え」
セイバーはそう言うと、パンッと俺の足を叩いた。
「え?」
この時、セイバーが何を言いたいのかなんとなく察しがついてしまった。
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俺は情報収集をしていた。まず痕跡がどこにあるかまでは分からないので生徒に一人一人話しかけ、慎二がおかしなことをしていなかったかを聞いて回った。しかし有力な手がかりは一向に出てこない。
ちなみに言っておくと教室も1から探している。机の中からロッカーまで念入りに探したが、痕跡どころか形すらない。
作業は急ピッチで行われているとはいえ、これじゃあ効率がわるすぎる。誰かの手を借りたいところだが、ここは皆が敵の戦場だ。手を貸してくれるなんてことはそうそうないだろう。
ハァと溜め息を吐きながら廊下を歩いて行くと気づけば保健室付近にいた。
まだこの付近も探していない。沈む気持ちを抑えながら、近くで立ち話をする生徒に声をかけた。
「なぁここでおかしな行動をしてる奴を見なかったか?ほんの些細なことでも良いから教えてくれ」
「ああ、それならその保健室の前で間桐がなんかやってたな」
「本当か!?」
「ん、ああ」
俺はその生徒に礼を告げ、保健室の前に何かおかしなものがないかを確認する。すると、保健室の窓の下の壁におかしな模様があった。
「これかセイバー?」
「ああ、そうだ」
さて、見つけたのは良いがこれからどうすれば良い。魔術に関しては俺はさっぱりだ。
「これからどうすれば良い?」
「なに、簡単だ。それに触れてみろ」
「……」
俺は言われるがままその模様に触れてみる。その瞬間、ガシャンとガラスが割れるような音が廊下に響き渡った。
そして、それと同時に模様は壁の中へと消えていく。
「これで良いのか?」
「ああ、これで一箇所は解けた。簡単だったろ?」
本当に簡単だった。本当にこれで良いのかと不安になるぐらいに。
「さて、次だ」
セイバーが涼しげに言う。
まだこんな作業があるのか……。かなりの重労働に精神的にも肉体的にも辛い俺。
溜め息が溢れる。
「ほら何してる。行くぞ」
いつの間にかセイバーが先に進んでいた。俺は重たい体を動かしながら後を追う。
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俺は何をしている。なんでこんなことをしている。教室内の机を一つずつ念入りに漁っているのだが、一体何の作業だ。
ああ……前世でこういう似たようなことをしたなぁ……。確か……なんだっけ?
「どこを見据えているのだマスター。早く探せ」
「おっと危ない危ない」
俺は今、2-Aの教室にいる。なぜここにいるのかと言うとこの教室内に慎二が入っていくのを見たという証言があったのだ。聞くからに怪しいので一応調べているのだが……。
「ちっとも見当たらないな」
溜め息混じりに俺はセイバーに声をかける。俺よりさらに後ろの席を調べているセイバーがふんと鼻を鳴らした。
「そんなホイホイと見つかるものでもないだろう。相手も見つかるつもりで置いてあるわけではないのだからな」
「まぁ、そうだよな」
俺は次の席へと移り、また探し始める。
まだここに来てからそんなに時間が経っておらず、調べる机の数はまだまだあった。
さすがの俺でもこの数を調べるのはなかなか辛い。例える砂浜に落ちたコインを一人で探すようなものだ。大げさかもしれないが、今の俺のメンタルではそのぐらいに気が遠くなった。
それから10分程度が経過した。腰を曲げすぎて腰痛がひどい。目を凝らし過ぎて目が疲れた。机というものがよく分からなくなった。
しかし、ようやくそれからも解放される。
「あった………やっと見つけた!」
俺が目にしたのは模様が記された机。さっき保健室で見かけた模様と形状が同じだ。これは間違いない。本物だ。
セイバーがやれやれと言いながら近づいてきた。
「やっと見つかったか……」
セイバーの声がどこか疲れていた。確かにこんな作業をさせられれば気持ち的に疲れる。セイバーの気持ちがよく分かった。
「くそ、もうこんな時間か……。マスター、早くそれを壊せ」
「ああ」
俺は模様に描かれたところを触れる。瞬間、あの時と同じようにガラスが割れる音をたてながら模様は消えた。
2つの痕跡を潰した。しかし、気持ち的にそんな晴れやかなものではなかった。まだ他にもこんな痕跡があると思うと……溜め息しかこぼれない。
「では行くぞ。次はアリーナだ」
そう言いながらセイバーは教室の出入り口に歩いていく。しかし腑に落ちない点があった。
「アリーナって今封印されてるじゃないのか?」
すると、セイバーが足を止め振り向いた。
「今ので封印は解けた。これ以上ここにいても仕方がないだろ」
しかし本当に大丈夫なのだろうか?まだ納得できないところがあるのだが…。
「でも痕跡が2つだけとは限らないかもしれないぞ?」
「安心しろ。アリーナを封鎖するのは簡単ではない。あいつの力量からしたら痕跡を作るのは精々2個が限界だ」
「そうなんだ。なら良いんだけど…」
いまいち納得できていない部分があったがここはセイバーを信じよう。今はとりあえず、アリーナに向かおう。
アリーナにて、昨日と同じ場所で俺はセイバーと剣の稽古をしていた。まだ段階としてはうまく立ち回れず、モタついてくるところもあり、戦いとは言えない状態にある。
だが、失敗だけではない。剣の技術が少しずつだが上がってきた。今まで避けるだけだったセイバーも時折、剣を使って防ぐ素振りを見せ始めたのだ。
剣と剣が交わる中でひたすら刀を持つ手に力を入れる。セイバーもそれに対応するかのように前へ前へと足を進ませ始めた。
「ぐっ!」
伊達にサーヴァントをやっているだけのことはある。力そのものがとても強く、体がどんどん後ろに下がっていく。どんなに体に力を入れても相手はそれ以上の力でねじ伏せてくる。こっちが原付きバイクならあっちは戦車だ。まるで馬力が違う。
ダメだ……限界だ!
体が悲鳴を上げてきたところで、俺は真正面に向かってくる力を横へと促す。そしてそのままセイバーは横へと流され、背中に大きな隙を見せる。今までにない大きなチャンスだ。
「うおぉぉぉぉ!!」
刀を構え、その無防備な背中に攻撃を仕掛ける。
「これで二度目だぞ。マスター」
「ッ!?」
それを聞いた瞬間、昨日の出来事を思い出した。昨日はセイバーの上へと馬乗りし、止めを刺そうとした瞬間に状況を一気に返されたことだ。あの時はセイバーがわざとあの流れにしたと言っていたがまさか今回もそういう流れなのか?
今の言葉から察するにそういう事が考えられる。俺はすぐさま攻撃を止め、セイバーから距離をとろうとした。その時だ。
「なんてな」
そう放たれた言葉は俺を動揺させるのに充分だった。そのわずかな油断もセイバーは見逃さない。
セイバーは ガンッ、と片足をストッパーのように使い、その足を軸に体を回転させこっちに向き始めた。
ヤバイ!
俺は咄嗟の防御態勢に入ろうとしたが、それ以上にセイバーの動きは素早かった。
剣を構えようとした瞬間には物凄い力で剣が飛ばされる。
「このっ!」
一旦距離を取ろうと後ろへと大きくジャンプする。しかし、一瞬だけ飛ばされた剣の方を見たのがいけなかった。
着地して前を見るとそこにはセイバーの姿はない。どこにいったんだ?とキョロキョロ辺りを見渡す。
すると、
「後ろを見ろ」
声のした方へと振り返るといつの間にかセイバーが腕を組んで立っていた。
相変わらずセイバーのスピードはデタラメだ。味方にとっては心強いことこの上ないけど、敵として視点を変えると厄介なことこの上ない。
「どうしたどうした、オレに勝つと言ってどれくらい時間が経ったァ?」
そう言いながらセイバーは俺の襟を掴み、足を蹴り上げた。俺の体は見事に宙に浮き上がり、意識する間も無く地面に叩きつけられた。
「くっ……」
体に伝わる痛みを感じながら、自分を見下ろすセイバーへと視線を向ける。
特に心配する素振りもなく、腕を組んで仁王立ちをする。その姿はまるでどこかの軍人のようだった。
「まったく……少しは手加減して欲しいよ……」
不満そうにそう述べると、セイバーは呆れたように答えた。
「何を言ってる。おもいっきり手加減したじゃないか?」
やはりまだセイバーに対抗するには早いか…。ちょっとした期待で戦ってはいたが現実は非常だということを一気に見せつけられた気分だった。
ここから少し休憩に入った。
俺は地面に尻もちをつき、ほてりきった体を冷ます。景色のせいもあってか体の温度が低くなっていくような気がした。
周りに広がるのは永遠と広がる群青色。ここが水の中と思わせるように気泡がたまに通り過ぎていくのを眺めながら疲れを癒す。
「………はぁ」
溜め息を吐き、視線を手元にある礼装へと向ける。散々手荒く使ったのにまだまだ新品のように刀身が輝いている。
刃こぼれや傷の類など肉眼で確認するが目立ったものはなかった。
さすがは礼装と言うべきなのかそれともさすがはムーンセルと言うべきか、思ったより頑丈に作られているようだ。
その時、ふと疑問に思ったことがあった。
「なぁセイバー!お前の剣少し持たせてくれないか!?」
急になぜそんな事を聞く?と思うかもしれないがそれには理由があった。
と言っても、個人的なものでとてもどうでも良いことなのだが……。
俺の所から若干距離がある場所で大きな岩に持たれるようにして座るセイバーがこちらに顔を向けた。
しかし、ちゃんと聞こえてないのか反応がない。
「なぁ!その剣持たせてくれよ!」
ちゃんと聞こえるように手を添え、さっきより大きな声で呼びかける。
しかし、反応がない。
(どうしたんだ?)
そう思った俺は礼装を引っ込めて立ち上がり、セイバーの元へと近づく。
ここまで近づいても動かないとまるで糸の切れた人形のようだ。
俺はセイバーと同じ目線の高さにまで腰を低くした。
その時だった。
ブワッと前髪が大きく靡き始めたかと思ったら、体全体に大きな風が吹き抜けていった。
「…………」
俺は目を見開き、今起きてる事態にただただ動揺を隠せないでいた。
俺がセイバーに話しかけた時、ピクリとも動かなかった彼女の左手が剣を携え、俺の喉元へと突きつけたのだ。
「誰が警戒するなと言った………ここは戦場だ。全てを敵だと思え」
これも訓練かよ……と内心呟きながら鋭く光るその剣を見る。やっぱり大きさが違う分、重量感や迫力が俺の礼装とはまるで違う。
「で、この剣を持ちたいんだったか?」
セイバーが俺の喉元から剣を離し、それを地面に下ろす。離された後から妙に背中から嫌な汗が噴き出す。
今やっと体が今の危機的状況を察した感じだ。
「あ、ああ。でも、セイバーが嫌なら無理にはお願いしないけど……」
「別に構わない。好きに持つなり、振るなりしてみろ」
「……意外とあっさりしてるんだな」
すると、セイバーは腕を組んで気だるげにこう言った。
「今のお前には過ぎたる武器だ。まともに使うこともできん。オレから言わせてみれば扱えるものなら扱ってみろ」
なぜそう喧嘩腰なのか物凄く聞きたいのだが、とりあえず持たせてくれるのはありがたい。
「じゃあ……遠慮なく!」
俺がそう言いながら剣を持った時だった。
「ッ!?」
まず最初に違和感を感じたのはその重さだった。まるで鉛を大量に敷き詰めた袋を持たされてるかのように重い。
そして、次に違和感を感じたのはその形状だった。刀身がとにかく太い。俺が使う礼装とはタイプが違うせいか何か違和感を感じてしまう。
そして何より解せないのがセイバーは片手でスイスイ振り回してるのに対し俺は両手で持ってやっと振れる程度だということ。
「マジかよ……なんでこんなもん振り回せるんだ?」
「オレが強いからに決まっているからだ」
セイバーはそこから立ち上がると、剣をこっちに寄越せと手で合図する。
相変わらずの自信家に感心しながら、俺はセイバーへと剣を返す。
「こんなに重い武器を使いこなせるなんてよっぽど昔から練習したんだよなぁ…」
「………」
すると、セイバーからさっきのような自信に溢れた雰囲気が消えた。代わりにあるのは少し冷たい雰囲気。
「セイバー?」
そう声をかけると、セイバーは我に返ったがその空気は決して明るいものではなかった。
「この剣は元々オレのではない」
「え?それって……」
しかし、俺が言い終わる前にセイバーは稽古を再開しようと言って歩き始めていった。
どうも引っかかる言い方だったが一体どういう意味だったのだろうか……。
少し思考する俺だったが所詮は俺の脳みそでは分かるはずもない。今は取り敢えず練習だ。
俺はセイバーの元へと向かおうと足を進めた時だった。
「ッ!?」
ガッと足のつま先が地面の何かに引っかかり、転びそうになる。
「あっぶねぇ……」
なんとか体勢を立て直すと、額から出る汗を拭った。俺は何に躓いたんだ?そう思いながら視線を向けると意外な物が落ちていた。
「………これって……本?」
後書き
どうでも良い話ですが、最近友人とufotable カフェに行きました。
ちょうどカフェではFateのイベントをやっていたので作者的にはこれはチャンス!と思い、行きましたw
店内で流れるFateのPVを眺めながら飲んだり食べたりをして非常に満足w
良い思い出になったと思いますw
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