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エターナルトラベラー

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第二十話

数日後。

本試験まで後一ヶ月。

俺とソラは当主に一月の休みを貰い本戦の準備に取り掛かる。

ヒナタは当主自らこの一ヶ月修行を付けてくれるそうだ。

俺達も誘われたが、柔拳が訓練の基本では俺達には余り有意義な修行ではない為、丁重に辞退した。


一応本戦に向けての訓練をする為、俺とソラは今演習場に来ていた。

…のだが。

「「お願いします!!」」

俺達の前に土下座をしている全身タイツの師弟コンビ。

「あ…あの」

何?この状況!

「是非ともそのチャクラを操る技術をお教えください」

リーが更にその頭地面にこすり付けて懇願する。

あー、どうやら三次試験予選で俺がリーさんにデコピンをかましたのを切欠にリーが念に目覚めてしまったようだ。

確かドゥーンさんも言っていた。

念には自然に起こすか無理やり起こすかの二種類があると。

ついでに言うと俺達は事故による後者にあたる。

素質の高い者に、念による攻撃をすると稀に念に目覚める者がいるそうだ。

この世界の忍者は皆チャクラを普通に扱えているので恐らく大丈夫だと踏んでいたのだが、どこにでも例外はいるらしい。

見たところ、纏は自己流で粗が目立つがそれなりに出来ているようだ。

最初はヒナタのところに行った様だが、ヒナタが師は俺たちだと口を滑らしたと言う。

「とりあえず頭を上げてください。上忍が無闇に下忍なんぞに頭を下げる物ではありません」

「いや。リーの更なる成長の為には君たちの力が必要だ。恐らくだが、君たちの異様な打たれ強さはこの技術に由来すると思われる。私にはこのチャクラを外側で操る技術をリーに教える事は出来ない。だから!」

そう言って深く頭を下げるガイ先生。

「ガイ先生;;」

リーはその言葉と、自分の為に頭を下げているガイの様子に号泣している。

「本戦への一ヶ月、君達にとっても重要な時期だということは重々承知しているつもりだ。だから本戦が終わってからでもいい、リーにその技術を教えてもらえないだろうか」

う…どうしよう。

「ソ、ソラ!」

俺はソラに話しを振る。

「アオが決めて」

「そんなぁ」
「「どうか」」

「「お願いします!」」

何だろう…凄いプレッシャーだ。

「「お願いします!」」

「わ、わかりました…」

「「いよっしゃー!」」

「誠心誠意頼めば大抵のことは何とかなるものさ」

「はい!ガイ先生!」

うお!目の前で暑苦しく青春し始める2人。

「ただし!」

俺の素の言葉に2人は熱い抱擁をやめこちらを向く。

「ガイ先生!」

「何だろう」

「リーさんに…えっとそのチャクラを外側で操る技術、『念』と言うんですが、それを教える代わりに俺とソラに忍術と体術を教えてくれませんか?主に体術なんかを」

「それは良いがどうしてだい?」

「知っての通り、紅先生は幻術は最高峰ですが、忍術や体術は得意ではありません」

「なるほどな。そこで俺に師事して欲しいと言うわけだな!」

「ええ…まあ…」

「任せて置け。本戦までの一月で立派な体術使いにしてやる☆」

サムズアップして八重歯を光らせるガイ先生。

…早まったかな。

「幸いにもうちの班からは誰も本戦には出場しないからな。リーの面倒を見てくれるならこの一月付きっ切りで教えてあげようではないか」

えぇ!?付きっ切りって。

そこまではしなくてもいいのに!

「……アオ」

う…そんな目で見ないで、ソラ。

「まあ、そういう訳ですから、明日からリーさんもこの演習場に来てください。念の事について教えてあげます」

「解りました!」

ビシッっと敬礼するリーさん。

「しかし良いのか?自分たちの練習時間が減るのではないか?」

「念の初歩はもっぱら口頭です。体を動かしたりするのは念の初歩を覚えてからの応用編からです」

「そ…そうなのか。良かったなリー!明日から早速念の修行が出来るらしいぞ」

「はい!頑張ります」

うお!目の中が燃える人初めて見たよ!


次の日から一月の間、俺とソラはガイ先生から主に体術について習っている。

体術は基礎の基礎しか習っていない。

ガイ先生から習う体術や戦闘における身のこなしは戦闘をする上で大きなプラスとなる事だろう。

流石自称だがカカシ先生より強いだけある。

リーさんの方は四大行の訓練だ。

纏のコツを教え、絶、練も問題なし。

発 の訓練である水見式をしたところその水の量が増えた。

どうやらリーさんは強化系らしい。

「強化系?」

水見式を終えてリーさんが聞いてきた。

「そう、強化系。物を強化するのに向いた系統」

「強化ですか…でも僕は忍具を使うより、その…体術を極めたいのですが…」

「強化系は何も武器を強化するだけじゃない。自分自身を強化するだけでその破壊力はとんでもないらしいよ?」

「そうなのですか?…と言いますか、らしい、と言うのは?」

「僕もソラも特質系で、後で教えるけれど六性図だと相性は最悪。俺では強化系は4割ほどしか強化できない」

「はあ…」

「そんな俺でも自分の拳を強化すれば簡単に岩くらいなら砕けるからね」

そういって俺は『硬』で近くにあった岩をぶん殴る。

ドゴンッ

「こんな感じで。これを強化系でやればその威力は押して知るべし」

「うぉおおおおおお!凄いです!軽く小突いただけで軽々と岩を砕きました!…ちょっと今までしてきた事が無駄だったように感じてしまいましたが…」

そんな感じでリーさんは念の修行に励んでいる。



そんなこんなであっと言う間に一月経ち、本戦が開始される。

会場であるドーム中央に俺達は並び、正面上の観覧席に火影をはじめ、風影や大名の姿がみえる。

そして観客席を埋め尽くす人、人、人…

まあ、一般人にしてみればこれも立派な娯楽と言う事かな。

ローマのグラディエイター見たいなものか。

「えー皆様このたびは木の葉隠れ中忍選抜試験にお集まり頂き、有り難うございます!これより予選を通過した10名の『本戦』試合を始めたいと思います。どうぞ最後までご覧下さい!」

火影の言葉で中忍試験が開始される。

そして俺とナルトを残し、他の選手は控え室へ。

「では第一回戦始め!」

リングに残った試験官から開始の合図がかけられる。

うー、どうするかなぁ…

勝ってはいけないとは思うのだけど、一応日向家の使用人としては無様な試合も出来ないし…

そんな事を考えていると、ナルトが印を組んだ。

「影分身の術」

現れる4体の影分身。

「「「「行くってばよ!」」」」

四方から襲い掛かってくるナルト。

俺は死角をなくす為に『円』を展開する。

正面から来るナルト2人をガイ先生直伝の体術でいなす。

俺の死角を突いて、後ろに回りこんだナルトの影分身2人の動きを『円』でとらえ、その攻撃を問題なく避け、豪拳の一撃で影分身を吹き飛ばす。

「まだまだぁ!」

更に影分身を増やすナルト。

その数20ほど。

…どんだけチャクラ持っているんだよ。

チャクラを平均に等分する影分身、その有用性は計り知れないが、その分チャクラ消費も半端ない。

だと言うのに平然と影分身を繰り出すその膨大なチャクラには脱帽ものだ。

とは言っても人数が多くてもその総ての動きを円で察知しているので問題なく対処できるレベルだけれども。

ナルトの体術のレベルが低くて助かった。

…とは言っても一月前の俺だと危ういけれどね。

一ヶ月間のガイ先生からの熱血指導は伊達じゃ無い!

写輪眼を使ってその動きを覚え、その動きを反射で出来るまで体に覚えこませる。

とは言え、まだまだ兄弟子であるリーさんにも遠く及ばないんだけどね。

「火遁鳳仙花の術」

口から吐き出した無数の火炎が密集しているナルトに襲い掛かる。

数が多いということはそれだけ避けづらい。

俺の一撃で数体の影分身が消える。

それでも負けじと俺に襲い掛かってくるナルト達。

ん?

なんだ?

行き成りナルトの数が一体減ったぞ?

俺は円で感じ取っているナルトの数が俺から遠いところで消えた事を不審に感じ、更に円を広げる。

気のせいか?

「木の葉旋風!」

残った最後の一体に俺は回し蹴りを放つ。

ポワンッ

「む?」

影分身か!本体は何処に?

ボコッ

俺の真下の土が行き成り盛り上がり、ナルトの一撃が俺に襲い掛かる。

俺はギリギリで円の感知に引っかかったことでその場を離脱、その一撃を何とかかわすことが出来た。

「ちぇ、これでもダメか」

危うく一発貰うところだった。

円の形状を半円にしていた為、地下の警戒をおこたってしまっていたのが原因で、ナルトが地面から出るまでその存在を感知することが出来なかったのだ。

「こうなったら本気で行くってばよ!」

ちょ!今までのは本気じゃなかったの?

結構地味に影分身の攻撃は厄介なんだけど…

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

ナルトの体から膨大なチャクラが放出される。

うわぁ…

なるほど、主人公補正か!

ピンチになれば強くなる。

この禍々しいチャクラはえっと確かナルトに封印されている九尾の…

尻尾!尻尾出てますよ!?

…これはヤバイ。

「はぁ!」

行き成り大量のチャクラを纏い、跳ね上がった身体能力で地を掛け、俺にクナイを投擲してくるナルト。

マズッ!

俺は『円』を解き、『堅』をし写輪眼を発動、迫り来るクナイにクナイを投げつけて弾き飛ばす。

寄って来たナルトと何合か打ちあう。

何発かいいダメージをナルトに与え、ナルトは吹っ飛んでいく。

しかし、すぐさま立ち直りこちらに迫ってくるナルト。

俺が投げたクナイをクナイで弾き飛ばし更に俺に迫り来るナルト。

俺は素早く印を組み。

『火遁豪火球の術』

口から大きな炎の球形状の塊を吐き出す。

しかし、その異常なまでの身体能力でナルトは直前で地面を蹴り、方向を強引に変え、直撃を免れる。

更に、術の余韻で硬直している俺に向って拳をたたき付けた。

俺は咄嗟に『流』を使い、拳によるダメージを軽減させる。

うわ、流でガードしたのにいいダメージを貰ったぜ。

ドゴンッ

壁に激突する俺。

今の一撃、相当のチャクラを込めていたようだ。

うん、そこらの下忍なら今の一撃でペチャンコなんじゃないか?

流で背面にオーラを集めたのでダメージそのものはたいした事は無い。

無いのだが…ここら辺が落としどころだろう。

「痛ぁぁぁ!お前ってばどんだけ固いんだってばよー!?」

攻撃した拳を摩りつつ俺に対して文句を言っているナルト。

このまま気を失って置くかな…

試験官が俺の所までやってくる。

俺の気絶したフリを気づいているようだが試験官は俺の意を汲んでくれたようで。

「勝者うずまきナルト」

うぉおぉぉおぉぉぉ!

ドームが歓声に包まれた。 
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