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ドリトル先生と二本尻尾の猫

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第六幕その四

 オシツオサレツがです、先生に二つのお口で言いました。
「ちょっといいかな」
「一つ気になったことがあるけれど」
「何かな」
「うん、彼のお顔ね」
「先生知ってるの?」
「あっ、言われてみれば」
 先生もオシツオサレツに言われてはっとなりました。
「そのことはね」
「そうだよね、知らないよね」
「僕達もだしね」
「その子のお顔は知らないよ」
「外見のことはね」
「あの娘の外見は見たけれど」
「彼のことはね」
 そちらはなのでした。
「知らないからね」
「学校に行ってもだよ」
「ちょっと仕方ないんじゃないかな」
「今はね」
 オシツオサレツがこう言ったところで、でした。その先生のところにです。
 お静さんが猫の姿で出て来てです、こう言いました。猫又とはいっても後ろ足で立っていて人間の姿の時と同じく服を着ています。
「あら、予想通りね」
「あっ、若しかして」
「ええ、気配を感じたから。ここに」
 まずはこのことからだったというのです。
「それで相手の人のことを調べてるって思ったけれど」
「その通りだけれど」
「それでもよね」
「うん、彼のことをね」
 それは、だったのです。
「外見のことも知らなかったから」
「そうよね、私も言い忘れていたわ」
「どんな子なのかな」
「はい、これ」
 お静さんは猫の姿のまま懐からあるものを出してきました、それは。
 写真でした、クラスの集合写真の様であの娘も写っています、そして。
 最後列の右から二番目の眼鏡をかけて髪を短くしている背の高い子を指差してです、先生に対して言いました。
「この子がよ」
「その彼だね」
「そう、このお家にいるね」
「その想われ人だね」
「この写真あげるから」
 お静さんは先生にこうも言いました。
「じっくり見てね」
「わかったよ、それじゃあね」
「実際にその目で見てね」
 お静さんは猫のお顔でにこりと笑って言うのでした。
「それで確かめてね」
「そうしてくるね」
「じゃあね、私はお店に戻るから」
「今回また急に出て来たね」
 老馬がお静さんに言います。
「瞬間移動とか出来るの?」
「いえ、猫の道を使って来たのよ。お店からね」
「猫の道って屋根とか壁の上とか」
「そう、そうした場所を通ってね」
「そこは猫ならではだね」
 先生も感心して頷いています。
「僕にはとても無理だよ」
「ちょっと。先生はね」
 お静さんは先生のスタイルを見てくすりと笑って返しました。
「無理よね」
「うん、運動神経悪いからね」
「それに身体も大きいしね」
 先生の大柄さも指摘するのでした。
「だからね」
「君達みたいには動けないね」
「ええ、それに先生はね」
「まだあるのかな」
「忍者でもないし」
 このこともです、お静さんはお話するのでした。 
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