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魔法少女リリカルなのは 絆を奪いし神とその神に選ばれた少年

作者:レゾナ
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第十四話 戻る記憶、戻る絆

「え……?」

全はるいの放った一言に思わず呆然としてしまった。

今、るいは何と言った?全が……東馬なの……?

それは……つまり……

(るいの前世と、俺の前世には……繋がりが、ある?)

それは全の考えを混乱させる。

なぜなら……全の関係者は殆ど、全に関する記憶を削除されているからだ。

殆ど、というのは暗殺者として活動していた際の仲間達はなぜか記憶が無くならなかったのである。

それは今でもかはわからないが、少なくとも全が生きていた間は記憶が無くなる事はなかった。

ならば、るいはその内の誰かなのか、となるとそうとは思えない。

るいの雰囲気はあの仲間の女性陣の誰とも合わない。

だとすれば、いったい誰なのだろうか。

「た、確かに……俺の前世の名前は東馬、だが……」

「やっぱり、そうだったのね……」

全が自分は東馬だと告げると、るいは嬉しそうにそう言った。

「そうだと嬉しかったんだけど……そうか、全が東馬だったんだ……」

「ま、待ってくれ。そもそも、俺はるいとどういう関係なんだ?」

「……わかんないんだ」

るいはむすっと頬を膨らませている。

「私はわかったのに……全は、そんなに他人を信用してなかったんだね」

「べ、別にそんな事はない。それじゃ話してくれるんだろ、るいの前世の名前」

ここまでのやり取りで全はるいの記憶が戻ったと判断し、以前と同じような呼び方に変えている。

そして、るいも全のその質問に答える。

「うん、わかった、私の前世の名前はね……智。茅場(かやば) (とも)だよ」

「え…………」

そして今度は、開いた口が塞がらなかった。

全はその名前を知っていた。いや、小さい頃から知っていたし、片時も忘れた時はなかった。

なぜならば、その名前は……自身の、幼馴染の名前なのだから。

「智……なのか?」

「うん、上月東馬の幼馴染で……最後に、東馬と手を繋いで安心しながら死んでいった、茅場智だよ」

「で、でも……智の記憶は、あの時には確かに無くなっていて……」

それは全もわかっていた。あの時、東馬と再会した智は東馬の事を忘れていた。

だから、それはこの世界でも変わっていないと思っていた。

「うん、私も前世の一部の記憶だけが曖昧になってたんだ。小学校の虐めを受けていた時の記憶が特に曖昧だったんだけど……さっき、全の言葉を聞いて思い出したの」

「え。俺の言葉で?」

「うん、あの言葉……あの時、泣いてた私に言ってくれた言葉だよね?多分、それが切っ掛けだったんだと思う」

そうだったのかと全は思った。確かに、あの時と似たような状況だったから同じ言葉を掛けたが……まさか、あの時の言葉で思い出すとは思っていなかったから驚いていた。

「それにしても……全はホント、変わってないよね。小さい頃から、それと前世からも」

「そうかな……少なくとも、前世の小さい頃からはかけ離れてると思うが……」

智と会わなくなってから、すぐに東馬は師匠と出会い暗殺者としての技能を磨き始めた。

それから少し経って、今のような雰囲気を出すようになったのだ。

「そうかな?全然変わってないと思うよ……他人の為なら自分の事のように悩めるのは変わってないと思う。そんな東馬だったからこそ、私は好きになったんだし……(ボソッ)」

「ん?最後、なんて言ったんだ?」

「っ!な、何でもない、何でも!」

「???まあ、いつまでもここにいたらあれだし」

全は立ち上がると、るいに手を差し出す。

「ほら、帰るぞ」

「あ…………うんっ」

全の手をとったるいの顔には、笑顔が溢れていた。



るいSIDE

あの後、私と全はそれぞれ自分のカバンを持って家に帰った。

家に帰って、私は両親に「全との記憶が戻った」と告げた。

それを聞いた両親は一瞬驚いていた。

驚いた後

「そうか、戻ったんだな……よかった、よかったよ」

「ええ、ホント。記憶が戻ってよかったわ……」

二人とも、祝福してくれた。

何でも、二人とも私とは違って私と全が遊んでいた記憶をきちんと持っていたらしい。

記憶を保持出来ていた理由として……全に記憶の事を説明された際に脳内の記憶を司る部分に一種のバリアのような物が出来て、それが記憶が消えなかった要因らしい。

「ふふっ……」

ベッドの上で枕を抱いて、柄にも無い微笑を浮かべてしまう。

前世で大好きだった東馬……なんで記憶が無くなっていたのか,全は説明してくれなかったけど、いつかは言ってくれると思う。その時まで、私は待つ。

そして、私は子供の頃、一緒に遊んでいた全に確かな好意を抱いていた。これは間違いない。

そして、その好意に前世の東馬に対する好意も相乗されているから、凄くやばい事になっている。

さらに、今になってわかった事がある。

アリサとすずかの事だ。

ここ最近、アリサとすずかの全を見る目が変わっていたけど……記憶が戻って、わかった。

アリサとすずかは、全に好意を抱いている。多分、聖に対する好意がそのまま全に変わっているんだ。

私もそんな感じだからよくわかる。という事はアリサとすずかの過去にも全は関わっているという事で……

「ぶぅ……」

何か、面白くない。

というより、この勢いのままだと他の皆とも関わりがあると思えてしまう。

「でも、負けたくないしね……」

私の手には、両親がくれた写真がある。

その写真は思い出にという事で撮った写真だという。

その中の私は全にキスをしていたんだけど……あの時はホント、大胆な事したわねって感じね。

「いつかは……唇にしたいな……って、私何言ってるのっ!!??////」

ううぅぅぅ……絶対に今、顔が赤いよ……!

「ね、寝よう……!」

当然、顔が赤いのが収まるまで眠れる事はなく、それから一時間ほど布団の中で悶えてしまった。

SIDE OUT 
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