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ドリトル先生と二本尻尾の猫

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第五幕その十

「桁外れっていうか」
「阪神どころじゃないんじゃ」
「それこそね」
「そうでもないとなのよ」
 それこそというのです。
「阪神は優勝出来ないのよ」
「そうしたチームってね」
「ある意味凄いよね」
「本当にね」
「有り得ないね」
 動物の皆も呆れて言います。
「イギリスにもないよ」
「多分他の国にもね」
「国を護れるだけの力が必要って」
「そこまでしないと優勝出来ないなんてね」
「阪神って何かあるのかしら」
「悪魔でも憑いてるの?」
「キリスト教の悪魔は憑いていないわ」
 お静さんはこのことは否定します。
 ですがそれでもです、こうも言うのでした。
「けれどね」
「けれどなんだ」
「それでもなのね」
「そう、阪神はここぞという時に負けるジンクスがあるのよ」
 それがあるというのです。
「甲子園には魔物がいるともいうし」
「あと日本一になった時だね」
 ここで先生がこのことをお話します。
「カーネル=サンダースの呪いがかかったんだったね」
「そうなのよ、あの時調子に乗ってね」
 お静さんは阪神を愛する立場から先生に答えました。
「ケンタッキーのおじさんを道頓堀に入れたら」
「浮かんで来なかったんだったね」
「そうだったのよ、二十年位経ってから引き揚げたけれど」
 つまりその間ずっとケンタッキーのおじさんは道頓堀にいたのです。
「その呪いとも言われてるのよ」
「阪神が勝てないことは」
「実際に甲子園には禍々しいものを感じるわ」
 お静さんは真剣にです、先生達にお話しました。
「阪神を容易に勝たせない何かを」
「阪神って凄いね」
「そんなの憑いてるなんて」
「ちょっとないよ」
「普通のチームじゃないよ」
「そう、阪神には何かがあるのよ」
 お静さんはまた動物の皆に言い切りました。
「魔物にケンタッキーのおじさんに」
「そもそも何でケンタッキーのおじさんあそこに入れたのか」
「そのこと自体が訳がわからないね」
「ちょっとね」
「何でそんなことしたのかな」
「いや、バース様に似ていたからよ」
 お静さんは首を傾げさせていぶかしむ皆に敬称付きでお話しました。
「ケンタッキーのおじさんがね」
「ああ、当時阪神の外国人選手だった」
「そう、オクラホマから来られたね」 
 お静さんは先生にここぞとばかりにお話します。
「あの偉大な方なのよ」
「あの人の活躍でその年阪神は優勝出来たんだったね」
「日本一になったのよ」
 まさにバースのお陰でというのです。
「だからね」
「お静さんも尊敬しているんだね」
「代々のご主人と阪神の為に貢献された方々をね」
 お静さんは尊敬しているというのです。
「それでバース様もなのよ」
「尊敬しているんだ」
「そうなの、大尊敬よ」
 それこそというのです。
「あの方がおられてこそだったから」
「阪神が優勝出来た」
「そういうことなのね」
「そこまでしてくれた人だから」
「お静さんも尊敬しているのね」
「それで、そのケンタッキーのおじさんがね」
 あのお店の前に飾られているお人形がというのです。 
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