大陸の妖精
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仲間を踏み越えて進め
ナツたちが術式にはまっている一方
マグノリアの街に出たフェアリーテイルの魔導士たちはラクサスたちを探すため、街中を歩きまわっていた
「手がかりなしか・・くそォ・・あいつ等・・・よくもビスカを・・・」
銃弾魔法を使う魔導士アルザックはラクサスたちを見つけるため、マグノリアの街をでたらめに探しまわっていた
「アルザック」
同じく、ラクサスを探すアルトがアルザックに声をかける
「ラクサスの居場所は?」
「いや・・・まだ見つからない」
怒りに燃えるアルザックは近くの木箱を蹴飛ばす
「許せねえ!!!ラクサス!!!」
「落ち着けよアルザック、焦ってもラクサスは見つからない」
「落ち着いてられるかよっ!!!3時間以内にラクサスを倒さねえと!!!」
次の瞬間、地面と空中に文字が現れる
「何だ!?」
「これは・・フリードの術式!!」
そう言ったアルトが空中に浮かびあがる文字を見る
【ルール・この中で一番強い魔導士のみ術式の外へと出る事を許可する】
「一番強い魔導士・・・!?」
「要するに仲間同士で戦えって事か・・・」
ルールを読んだアルトが首を横に振りながら言う
「バカバカしい、何か他の手を考え―――」
「ごめん、アルト」
アルザックがアルトに銃を向け、言う
「僕はビスカを助けたい、こんなトコでじっとしてる訳にはいかない」
「アルザック・・・!?」
同時刻、フェアリーテイルのギルド内
「どーなってんじゃあ、ナツ!!お前80歳か!!?石像か!!?」
「知るか!!何で出れねえんだよォォォ」
マカロフとナツが術式に悪戦苦闘していた最中、空中に新たな文字が浮かび上がった
「バトル・オブ・フェアリーテイル途中経過?・・・ん?」
浮かび上がった文字を読み取るマカロフは驚愕の表情を浮かべる
【ジェットvs.ドロイ 相討ちにより両者戦闘不能 フェアリーテイル残り82人】
「な・・何じゃこれは!?」
「何でこいつらが戦ってんだ?」
すると、ジェットたちの結果に続くように次々と新たな文字が浮かび上がる
【マックスvs.ウォーレン 勝者 ウォーレン】
【クロフvs.ニギー 相討ちにより両者戦闘不能】
【ワンvs.ジョイ 勝者 ワン】
【ミキィ4人抜き!】
【ワカバvs.マカオ 戦闘開始】
「よせ!!!やめんかガキども!!!」
「街中に術式の罠がはってあるんだ・・・それにかかった皆が戦いを強制されて・・・これがラクサスの言ってたバトル・オブ・フェアリーテイル」
「くっ・・・!!」
マカロフが黙って文字を見ていると、更に新しい文字が浮かび上がる
【アルトレアvs.アルザック 戦闘開始】
「アルト!!?」
「アルトも同じように戦わされてるんだ・・・」
浮かび上がるアルトの文字を見たマカロフが考え込む
「(マズい・・・こんな状況でアルトは自分の仲間を倒すことが出来るのか・・・下手すれば攻撃せずに黙ってやられるかもしれん・・・!!)」
「オレも混ざりてえっ!!!何なんだよ!!!この見えねえ壁は!!!」
マカロフの隣で見えぬ壁に顔を張り付けるナツ
いくら力を入れようと壁を通ることが出来ないようだ
「まざってどうする気じゃ、バカタレ!!!」
「最強決定トーナメントだろ これ!!!」
「どこがトーナメントじゃ・・・仲間同士で潰し合うなど・・・」
「ただのケンカだろ?いつもの事じゃねーか」
「これのどこがいつも通りじゃ、仲間の命がかかっておる!!!皆 必死じゃ!!!正常な思考で事態を把握できておらん!!!このままでは石にされた者たちが砂になってしまい二度と元には戻らん・・・」
深刻な表情のマカロフが言う言葉を黙って聞いていたナツ
するとナツは笑みを浮かべて言う
「いくらラクサスでもそんな事はしねーよ、ムカつく奴だけど同じギルドの仲間だ、ハッタリに決まってんだろ?」
「ナツ・・・」
マカロフは意外そうな目でナツを見た
「これはただのケンカ祭りー・・・っつーか何で出れねえんだ!?」
「オイラはフツーに通れるよ」
「80歳超えてたのか・・・オレ」
「そんな訳ないと思うけど・・・」
「(お前はあのラクサスを仲間だというのか?そこまではやらない・・・と、信じられるのか・・・?ワシは・・・)」
ナツの言葉を聞き、深く考えるマカロフ
ふと、空中に浮かび上がる文字に目を向ける
そこにはバトル・オブ・フェアリーテイルの参加人数と残り時間が書かれていた
【残り時間 2:18 残り人数 42人】
「(42人!!?仲間同士の潰し合いで・・・もう人数が半分以下に・・・)」
その頃マグノリアの街の一角
アルザックがアルトへ一方的な攻撃を仕掛けていた
次々と発射される魔法弾をかわすアルト
一方でアルザックは、攻撃の手を休めようとはしない
「銃弾魔法(ガンズ・マジック)!!」
「くっ・・!!」
魔法弾がかなりの速度で飛んでくるのを見たアルトは横へと飛び退いてかわす
「おい、やめろよアルザック!俺たちが戦う必要なんてないぞ!!」
「君を倒すことで僕は術式から出られる!そうすればビスカを助けることができる!それが僕の戦う理由だ!!」
魔法弾を連射しながらアルザックが叫ぶ
「ここで俺たちが戦えばそれこそラクサスの思う壺だ!」
「それでもいい、ビスカを助けるためならば何だってする!!」
アルザックの怒涛の攻撃をかわすアルト
しかし、一向に魔法弾の弾が切れる様子はない
「(くそっ・・どうすればいい!?石化した皆を助けるには早くラクサスを見つけなきゃならねえのに・・・かといって、味方のアルザックを倒すなんて・・・)」
「どうしたアルト!?戦わないのか!!?」
「俺はお前と戦いたくねえ!!」
「ならこのまま制限時間が無くなるまでずっと何もしないって言うのか!!」
目を見開いたアルザックは攻撃の手を止め、アルトへ叫ぶ
「君なら分かるはずだ・・・大切な人が死ぬかもしれない不安と怒りが・・・」
「!!」
不意に、アルトの脳内にルーシィやエルザの姿が過ぎる
どちらも死ぬかもしれない境地に陥った二人であり、その度にアルトはナツたちと共に不安と怒りを抱きながらも助けてきた
今、アルザックもその時の自分と同じ気持ちなのだろう
「僕と戦えアルト!皆を助けるためにも!!」
再び放たれた魔法弾をかわしたアルトは、鋭い眼光を向ける
その瞳に一瞬ひるみながらもアルトへ銃口を向けるアルザック
「・・・分かったよ、アルザック・・・この戦いどっちが勝っても恨みっこなしだ!」
「行くぞ!!!銃弾魔法・台風弾!!!」
旋風の魔法弾が一直線に放たれる
アルトは魔法弾の中へ飛び込み、両腕を思いきり振って旋風をかき消した
「風の魔法弾が・・かき消された!!?」
「うぉおおお!!!」
自分の魔法が素手で弾かれ、驚くアルザック
それを見たアルトは即座にアルザックをその場に殴り倒した
「ぐほっ!?」
アルザックが吐血し、倒れこむと同時に術式が解除された
術式が解除された事を確認したアルトは倒れているアルザックの元へ歩み寄る
「アルザック・・・」
「ま・・まいったよ・・・僕の魔法が・・・素手で防がれるなんて・・・」
倒れているアルザックがアルトに視線を合わせて言う
「頼む・・ビスカを・・・助けてくれ・・・」
「あぁ、約束するよ!石化した皆は必ず助ける!!」
アルトはそう言って頷くと、アルザックに背を向け走り出す
ラクサスを見つけ出すため、再びマグノリアの街を探しまわったのであった
【アルトレアvs.アルザック 勝者 アルトレア】
後書き
アルザックとアルトレアって名前の出だしが「アル」だから二人のバトルは書きにくいと感じた
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