大陸の妖精
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BEST ERIEND
週刊ソーサラー
毎週水曜日に発売される魔法専門誌の名称であり
毎回、新しい魔法商品やホットなギルドの紹介、美人魔導士などのグラビアなどで人気を博している
フェアリーテイルのミラジェーンも週刊ソーサラーのグラビアモデルを何度かやった事がある
そのおかげもあって今ではミラジェーンはフェアリーテイルの看板娘として知られるようになった
今回はフェアリーテイル大特集って事でギルドに取材が入る
つまりこの取材で目立つことが出来れば自らの存在を世界中にアピールする事が出来るのである
「うわー、ありえないくらいゴチャゴチャしてんじゃん・・・」
「皆取材なんて気にしてないんじゃない?・・・ていうか、気合入ってるねルーシィ」
目一杯のオシャレを施しているルーシィに目を向けるアルト
すると横にいるエルザが騒がしい光景を見て微笑みながら言った
「まぁ、この方がフェアリーテイルらしくていいんじゃないか?」
「・・・・・」
ルーシィがエルザに向かって笑みを向ける
「エルザ、変わったね」
「そうか?」
「だって前のエルザなら、こんな様子を見たら『片つけろー』とか『仕事行けー』とか言ってたハズだもん」
「今は新装パーティー中のようなものだろう?少しくらいハメをはずすのも若者の特権だ」
その時、アルトがエルザを見てある事に気づく
「その鎧・・・」
「うん・・・やはりこの方が落ち着くんだ、ハートクロイツ製の新しいモデルだ」
「へぇ、前の鎧よりオシャレで良いな」
「ふふっ、そうだろう」
そう言ったエルザが誇らしげに鎧の説明をし始める
その最中、突然何やら騒がしい男がエルザに声をかける
「Ohー!!!ティターニア!!!」
カメラを首にかけながら、地面を滑り来る男
「ヤッベ・・本物だ・・クール!COOL!!クゥール!!!本物のエルザじゃん!!!クゥゥゥール!!!!」
かなり興奮した様子のこの男こそが週刊ソーサラーの記者、ジェイソンであった
「週ソラの人?テンション高っ!!」
「今、木材の床を〝滑って〟きたぞ!?」
「もう来ていたのか・・・申し訳ないな、こんな見苦しい所を」
「ノープログレム!!!こーゆー自然体を期待してたんですヨ!!!」
目を輝かせるジェイソン
「あたしルーシィって言いまーす♪ エルザちゃんとはお友達でぇー」
「よかったら二、三質問答えてくれないかい?」
「かまわないが・・・」
ルーシィの売り込みを無視してエルザへの取材に集中するジェイソン
「・・・・・」
「ま・・まぁ、エルザはフェアリーテイル内でもかなり有名だし、しょうがないよ!」
落ち込むルーシィをアルトが必死に励ましていた
「換装できる鎧は全部でいくつあるんです?」
「100種類以上だ」
「COOL!!!」
エルザの換装できる鎧の数を聞き、ジェイソンは更に声を荒立てる
「一番お気に入りは?」
「バニーガールだな」
「バ・・・バニー!!?」
「あの耳が可愛いんだ」
「COOOOOOOOOOOL!!!!」
その後しばらくしてエルザの取材を終えたジェイソンは取材を続ける
「こ、今度こそ・・・」
ルーシィは再びジェイソンの元へと飛び出す
「グレイだー!!!本物のグレイがいるー!!!」
しかし、見事に無視されるルーシィであった
「くぅぅ・・・あたしの知名度ってやっぱ こんなモンか」
それを見ていたアルトは同情の眼差しを向け、ハッピーは小馬鹿にした様子で笑っていた
「ぷっ・・」
「アンタに笑われたくないわ!!!」
笑うハッピーを見たルーシィが怒鳴る
「オー!!!ハッピー!!!君は何故青いんだい?」
「ネコだからです」
「負けた!!!」
魔導士ですらないハッピーに先を越され、がっくりと肩を落とすルーシィ
そんな様子を見たアルトが、にこやかな顔で言う
「げ、元気出しなよルーシィ・・俺もエルザと一緒に居たのに取材されてないし」
「アルト・・ありがとう」
「Oh!!!アルトレアァァア!!!サラマンダーのナツと肩を並べる相棒!!!やっべ、超超超COOOOOOOOOOL!!!!」
「うわっ・・ど、どうも・・」
「アルトの裏切り者ぉ!!」
自分を励ました直後に取材を受けるアルトを見て思わず叫ぶルーシィ
その後アルトの取材を終えると同時に、ナツが大声で叫びだした
「だーーーらぁーーーっ!!!記者ってのはどいつだーーー!!!」
テーブルをひっくり返しながらの派手な登場を果たすナツ
それを見たジェイソンの興奮は最頂点に達し、急いでナツの元へ駆けつける
「ナツ!!!サラマンダーのナツ!!!!オレが一番会いたかったまどうひびがぼぁクォーーール!!!!」
「コーフンしすぎ」
ジェイソンを見て的確なツッコミを入れるルーシィであった
「やいやい!!!!いっつもオレの事悪く書きやがって!!!!」
「YES!!!」
「オレが何か壊したとか、壊したとか、壊したとか!!!!」
「COOL、COOL、COOL!!!!」
ナツが言葉を発するたびにテンションを上げるジェイソン
「会話が成り立ってない」
ナツとジェイソンのやり取りを見ていたアルトがそう言う
「ヤッベ・・・本物だ・・・超カッケェ!!!!あ・・握手してください!!!」
「うっせぇ!!!!!」
ナツに握手を求めるジェイソンだったが、豪快に殴り飛ばされて終わった
「ヤッベ!!!カッコよすぎ、さすがヒーロー!!!『こんなクールな握手は初めて』・・・と」
ジェイソンは吹き飛びながら今の自分の心境を書き留める
「プロね」
「いやすげぇな、この人」
そんなジェイソンの姿をルーシィが呆れた様子で見つめ、アルトが感心した様子で見ていた
「あ・・あの・・記者さん?あたしに質問とか・・」
「エルフマンだー!!!!COOL!!!!」
「ああん」
負けじと記者に直接取材を求めるルーシィ
しかし、またもや無視され、ルーシィはあまりのショックにその場に座り込んだ
その間、ジェイソンはエルフマンを始め、ほとんどのギルド主要メンバーに取材を求めた
「エルフマン、あなたにとって漢とは?」
「漢だな」
「そんなくだらない質問と答えよりあたしは下なの!!?」
ジェイソンに向かって必死に叫ぶルーシィ
「カナー!!!今度グラビア出てよー」
「いいからここ座って呑め!!!」
「カナ、記者に酒を呑ますなよ・・・」
「なんならアルトが付き合ってくれてもいいんだよ?」
注意するアルトの頬を撫でて言うカナ
「エンリョしまーす」
アルトは嫌な予感を察し、冷や汗を流しながら逃げるようにカナから離れた
「チームシャドウギア!!!リーダーのレビィがアルトに片思いしてるって本当!?」
「えぇっ!?いや・・あの・・そ、それは・・・/////」
「「ノーコメントだ!!」」
顔を赤くし、戸惑うレビィの横からジェイソンを怒鳴り散らすジェットとドロイ
「マスター!!!新しいギルドの抱負を」
「あ・・えーと・・愛と正義を胸に日々精進」
「うわっ・・・マスター、嘘くさいよ」
「うわーん、ぜんぜんあたしになんか かまってくれないー!!やるしかない!!恥ずかしいけどアレやるしかない!!」
まったく相手にされないルーシィは泣き出した後、ギルドの裏部屋へと入った
そして、その数分後・・・
「みんな注目ー♪あたし歌いまーす!!!!」
バニーガール姿のルーシィがステージの上に立つ
「ルーシィ!!?」
「ええ!!?」
「バニーちゃん!!?」
突然登場したルーシィの姿を見て驚くフェアリーテイルのメンバーたち
「(バニーちゃん萌えなのは調査済みよ、フフフ)」
ルーシィが歌おうと準備をすると、ギルド全体の照明が落ち、辺りが暗くなる
そしてステージの幕が開け、そこにはギターを構えた人の影が見えた
「何?何ー!?」
「ミラちゃんだ!!」
「ミラちゃんの歌が始まるぞ!!!」
ギルドにいるほとんどの人間がステージに視線を向ける
そしてステージの真ん中にいる人物に照明が当てられる
「えっ・・!!?」
ステージに注目していたアルトが驚愕の表情を浮かべる
スポットライトに照らされて現れたのは白いスーツを身に纏い、オシャレなギターを構えたガジルだったからだ
「ガジルーーー!!?」
「ええーーー!!?」
誰も予想してなかった事態だけに、ギルドメンバー全員が驚く
「ぶぶっ」
「・・・・・」
あまりの驚きにナツは食していた物を吹き出し、エルザは大好きなケーキを床に落とした
「オレを雇ってくれるギルドは少ねえ♪」
「うわ!!!何か語りだしたぞ!!!」
「飢えた狼だって拾われたらなつくモンだぜ♪ たとえかつての敵だとしても友と思い歌ってみせよう♪」
「ギター下手いけど何気にいい事言ってるじゃねーか」
「あははは!!!ガジルってこんなに面白いヤツだったのか!!?」
「がんばれガジルくん」
部屋一帯が白ける中、アルトだけは腹を抱えて笑っていた
「オレが作った曲だ、『BEST FRIEND』聴いてくれ」
聞き入れがたいギター音を鳴らすガジルは、曲名を言い終えるとそのまま歌いだした
「カラフル カラフル シュビドゥバー♪」
意味不明な歌詞と共に、ガジルは不条理な音楽を奏でる
ギターの下手さも然る事ながら、ガジル本人の歌唱力もひどく、歌を聴いたギルドメンバーはもれなく硬直状態に陥った
運悪くガジルの傍に立っていたルーシィは踊り子を強要され、挙句の果てにはハモリまでやらされる始末であった
「COOOOL!!!不条理な詩にスキャットが響く!!!今年最大のヒットソングだ!!!」
「あんた大丈夫か?」
ガジルの歌でテンションを上げるジェイソンを呆れた様子で見るマックス
「サイコーだフェアリーテイル!!!」
その後日、週刊ソーサラーが発売された訳だが・・・
予想通り、フェアリーテイルの名をさらに悪名高くする結果になったのであった
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