ソードアート・オンライン~雷皇の狩人と双棍の闘士~
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新たなる戦、新たなる剣
「……ログイン率八十%、稼働率九割以上」
右手で展開したゲームマスターウインドウを覗きながら、俺は言う。
「……悪魔のゲームとされ、そしてあまたの人間の魂を奪ったゲームを、まさか再び来ようとはな」
「お前も好きだよな、アインクラッド」
第一層<はじまりの街>、その低級カフェテラスに相対する世界の管理人が言う。
「……此処に居座っていて良いのか、神様?」
「ジェイダに投げ捨てて来たから平気。俺より、管理については詳しいからな」
まぁ、本来の管理人が遊び呆けてるからな、と管理人が言うと、俺は呆れるしかない。
「……此処数年、お前が本当に何がしたいのか分かってきた気がするぜ」
「そりゃ、人生を楽しみたいからだな」
と言うと、急に真剣な顔付きになる。
「それとな、なーんか嫌な予感がするんだよな……」
「嫌な予感?」
聞き返すと、管理人が頷く。
「ああ、例の時空間の歪みかな?」
「そうそ……う?」
管理人が頷きそうになり、横を向くと。
「やあ」
「……アルマ」
そこにアルマが立っていた。
「久しぶり、聖影の管理人」
「……ワールドエゴ事変で会ったと思うがね」
ワールドエゴ事変。突如としてアルマの能力が暴走した事件全体の事を指す名前だ。管理人が言うには、俺も居たと言う話だが、俺は知らないと言うしかない。
「あれ、そうだっけ?」
「とぼけるなよ。テメェのせいで此方がどんだけ面倒な敵に相対したか知ってるか?ああ?」
「知らないし知る必要もない」
「テメェは征服王か何かか?」
俺は純粋にそこら辺に興味が在るので疑問系に言う。
「アッハハ。イスカンダルと一緒にしないで欲しいね。……と言うか、ダーク?その『エタニティドライブ』の使用を止めてくれないかな?甘んじて受けてる訳だけれど」
飄々と言うアルマに対し、ダークは言う。
「テメェのチート能力の暴発を防ぐ為だ。<エクスカリバーン>を使えれば最も使う必要性は皆無だが」
「言うね。嘘の王の力を忘れた訳じゃ無いよね?」
「知ってるさ。ルーシクス・ハルヴァイド、真偽の神よ。……でも、今の俺に勝てるか?」
ダークの眼に、黄色と黒の光が灯る。それを見たアルマは、やがて首を振る。
「……やれやれ、喧嘩腰は直ってないね」
「お前なら尚更だ」
途端、俺の体が動かなくなる。
「……アルマ」
「あれ?ゼロの体にも効くんだ、コレ。どういう原理だい?」
「……知りたいなら後で幾らでも教えてやんよ。悪戯に使わないならな」
「とか言いつつ教えるのが君だよね~」
途端、ダークが頭を押さえる。
「……」
「……大変だな」
それから暫く話していると。
「オーイ!」
白黒のコートを纏う二人の男が現れる。
「ライト、リン。遅かったな」
「ワリィワリィ」
「ちょっと用事が……って、アルマかよ」
「やぁ、人間」
「殴るか?」
「……敢えて止めておく」
ダークの質問に、丁重にお断りするライト。……万が一ダークに攻撃が言ったとして、能力の衝撃反射が発動した場合、何処に飛んでくか分からないからな」
「あ、そうだ。ゼロ、リバースド正式サービス開始おめでとう。これ、タツから」
「ん?おお、サンキュー」
貰い物をストレージに入れる。
「後ダーク。タツから報告。あれ以来時空間の歪みは観測されていない。ジェイダさんと一緒に汲まなく捜索はしてみます、だって」
「そうか……。なら、此方に居残ってるっう可能性が在るのか」
「ゴア・マガラ……か」
俺達がお泊まり会を決行したときに訪れた先に現れたモンスター、ゴア・マガラ。目的は不明で、今もこの世界に居座っているらしいとの情報が有る。
ダークはそれを見越して降りてきていて居るのか、はたまた唯の遊びに来ただけなのか……。知ったことではないが。
「……アルマ。所で帰らなくて良いのか?」
「ん?ああ、暫くはこの世界に居させて貰うよ。楽しいからね」
「……俺の管理区域はテーマパークじゃねぇっうの」
ダークが愚痴を言うと、揃って笑う。
アルマと別れた後、俺達四人ははじまりの街『転移門前』に移動していた。
「お前ら、ギルド申請はしたか?」
と、思い出したようにダークが言う。
「ああ」
「一応はしたぞ」
「ゼロは?」
「管理者権限でオリジナルを持ってるけど……たぶん、使わないと思う」
「あー……」
ライトが言うと、顔を欠く。
「別に気にする必要は無い。俺にとっては、アレは希望の象徴みたいなものだしな」
そう言うと、転移門前に到着していた。
「ジン、レウス。どうだ?」
すると、子供たちに遊ばれていた二匹が口を開く。
『遊ばれている以外は問題無しだ。アイタタタ』
『此方も同じく』
「了解」
すると、リンが言う。
「……なぁ、何でコイツら圏内居るんだ?」
「アレ、俺らのパートナーだし、圏内入れたら入れたで強力な守り人ならぬ番獣として機能するしな」
「……」
途端、リンが黙りこくる。
「……どうした?」
「気にするな」
ライトが言うと、俺は首をかしげながら頷く。
「さて、次は……」
と、ゲームマスターウインドウを開こうとしたとき。
ドンッ!
「グハァッ!」
「キャッ!」
背後から誰かがぶつかり、顔面から地面に倒れた。
「いってぇ……」
「アイタタタ……」
俺は起き上がると、少女を見る。
「周りをちゃんと見て走りなよ?」
「……貴方、雷鳴の勇者様……ですか?」
「キョウリュウゴールドじゃねぇぞ」
と言うボケにダークが踵回し蹴りを放って俺を吹っ飛ばしツッコミを放った。
「ガブッ!」
「……彼奴がその雷鳴の勇者もとい雷鳴の狩人だ」
「案外容赦ねぇな……」
「タツも技能は称賛してるからな」
ライトがリンに言うと、俺は戻って少女に言う。
「……で、俺に何のよう?」
「……助けて、下さい」
「助ける……?」
途端、空が赤く染まる。
ワーニング、緊急警告の文字が周り、そこから黒い穴が大きく現れた。
「なっ……!」
「どうやら、彼女が今回の原因みたいだね」
上空を見た所に、アルマが戻ってきた。
「アルマ!」
「状況は把握している。問題は……」
と、紡がれる前に、遠吠えが辺りを震わせる。
「……最悪のパターンだね。コレは……」
黒い穴から出てきたのは、ゴア・マガラ。……あの時の、乱入獣だ。
「ゴア・マガラが、どうして……!アレはデータか?」
「質量が在る。現実的質量が。アレは紛れもないオリジナルだ……!」
すると、少女が震え出す。
「来た……!また、始まる……。世界の崩壊が……再生が……人類の、消滅が……」
途端、少女は気を失い、倒れた。
「っ!おい!!」
「そいつよりまずはゴア・マガラが先だろ!?」
ダークは言うと、闇を放つ。それは一直線にゴア・マガラへと飛んでいきーーーーーーー直前で砕ける。
「なっ!?」
「……効かない、と言うことかな?」
アルマが観測した事を口に出すと、俺は歯をギリリと噛む。
「荒らすんじゃねぇよ……人の庭を!!」
少女を地面に起き、地面を踏みしめて飛ぶと、データの渦を構成。それに飛び込むと、ウォーグレイモンX抗体にクロスインし、バーニアを噴射する。
「オラァアアアアッ!!」
手を拳にし、ガイアフォースZEROを叩き込む。叩き込まれたゴア・マガラは、地面に墜落。上空の俺を睨む。
途端、ゴア・マガラの横に炎が吹き出た。ライト達の攻撃だ。アルマも、それに参加している。
バーニアを噴射し、加速蹴りを放つと、ゴア・マガラは吹き飛んで空に浮かぶ。
「……ふぅん。神としての力とか、全く持って効いてないね、あの黒いの」
アルマが興味深そうに言う。
「興味があるなら喰えば良いんじゃないか?お前の嘘の王の楽園なら、俺の捕喰が使えるぞ?」
「冗談。アレは使わないよ」
ダークの言葉にアルマが返すと、ゴア・マガラの黒い玉が放たれる。それを全員が一刀両断にすると、俺が前に出る。
「来い、ZERO-ARMS:グラニ!」
データの渦が横に展開し、そこから馬の様なデータが現れる。
『……呼んだか』
すぐにデュークモンにクロスインすると、叩く。
「行くぞ。クリムゾンライジングモード!」
『……普通にクリムゾンモードと言え、若造が』
途端、デュークモンの体が紅蓮色に染まる。そして、手には光の神槍『グングニル』と光の神剣『ブルトガング』を持つ。
「イャアアアアッ!」
体内のパワーを全放出すると、背部から五対の光輝く天使のような羽状のエネルギーが照射、ゴア・マガラを貫く。
ゴア・マガラは触角を出すと、飛行して突進してくる。
「ブルトガング、力を貸せ!」
地面を踏み抜き、ゴア・マガラに接近すると、ブルトガング振るう。
「無敵剣!」
羽を切り裂き、墜落したゴア・マガラを通り抜き、ゴア・マガラにグングニルを構える。
「光の矢となれ、グングニル……っ!」
光を纏ったグングニルを限界まで振り被ると、全力で投躑した。
「クォ……ヴァディス……!」
ゴア・マガラは避けられず、グングニルを食らうと、吠えて、穴を形成して消えた。
「……これで、逃げてくれれば恩の字だが……」
クリムゾンモードを解除すると、今後の事を話すべく、皆のところに移動した。
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