とある異世界の交差物語(クロスオーバー)
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第24話 猫の剣士、火の将軍と対峙する
前書き
やっと出来ました。G・Wを利用するはずがまさかの休日出勤!(涙)今回の更新速度もさほど変わらず…
今回あの将軍と戦うのはキリトでもタカトラでもありません!
気になる方はそのまま読んでみてください
それではどうぞ!
キリトの号令の元、いざ蝶の谷へ向かうと決まった一同だったが、一つ問題が発生した
「しまった……結構話し込んだからから時間がギリギリだ!」
かなり焦りの表情を見せるキリト。それに対し
「せっかく良い事言ったのに、いまいち締まらないな…僕たちの大将は……」
少々呆れの視線を送るソウジに耐えられなかったのかキリトは早口でユイに案内を頼んだ
「……ゆ、ユイ!走るからナビよろしく!」
「りょーかいです!」
「よし、それじゃリーファ!」
「へ?な、何…?」
突然キリトからの指名に戸惑うリーファをよそに手をやさしく掴んだ次の瞬間…
「悪い。ちょっと手を拝借」
「え?え?え?」
そう言うと、キリトは戸惑っているリーファの手を取り一気に走り出す。そして…
「うひゃぁぁぁあああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ……!?」
あっと言う間にキリトとリーファの姿が見えなくなり、彼らに遅れをとらないために
「俺達も急ぐぞ!」
「先に行きますね!」
「ま、待って下さ~い!」
キリトの後にクライン、シリカ、レコン。その後にタカトラとヤマナミが続き、ソウジとリズが走った
「ソウジ、ちゃんとリズを連れてこいよな!」
「女性をエスコートするのは紳士として当然の責務ですよ」
「分かってますよ!リズちゃん、捕まって!」
「はいはい」
そう言って全員、全力で走り洞窟を進む。途中、モンスターの群れに数遇したが、すべて無視して突っ切る。それでも襲ってくるモンスターはタカトラとソウジが斬り捨てた。気が付けば後ろにいたモンスターたちはすでに引き離されて居なくなっていた。
「出口だ!」
光が見え、キリトが叫び、全員一斉に外に飛び出す。飛び出すと同時に翅を出し、空を飛んだ。
「お兄ちゃんのバカ!寿命が縮んだわよ!」
「時間短縮になっただろ」
キリトはリーファの抗議を軽く受け流しながら後ろを振り向くと、全員無事についてきていた。
「あっ」
リーファの声が皆の耳に入ったのか、彼女の視線を合わせるとそこには高くそびえる世界樹が見えた。
無意識だったのだろう、キリトはポツリと呟いた
「あそこにアスナが…………」
今にも泣きそうなキリトを見て、さすがのソウジも冷やかしはせず、リーファに目的地である“蝶の谷”の正確な場所を聞く
「……リーファちゃん、領主会談の場所はどこ?」
「ええと、北西のあの山の奥。ケットシー領に繋がる《蝶の谷》……その内陸側の出口で行われるそうよ」
「残り時間は?」
「……!…二十分」
「くそっ…間に合ってくれ!」
―――ガシッ―――
「え?」
そう言うとキリトは再びリーファの腕を掴み、急角度のダイブを始めた。
「な、何よそれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!?」
無論リーファも絶叫しながらダイブする。若干恨みが籠っているが…
そして、今にもシルフとケットシ-がサラマンダーに襲われそうになる一触即発の中に黒い影が矢の様に突っ込んだ。
―――ドオオオオオォォォォォン……!―――
凄まじいほどの土煙が舞い上がり、シルフ、ケットシー、サラマンダー全員の視界を覆っていたが、次第に土煙が引いていき、その中心に黒い人影がいた
「双方、剣を引け!」
黒い人影……キリトがシルフとケットシーの前に立ち、サラマンダー部隊を相手に叫ぶ
そして、右からタカトラとクラインが、左にヤマナミとソウジ、レコンが立つ
シリカとリズはリーファと一緒に後方に下がってる。
「指揮官と話がしたい」
キリトの言葉に他のサラマンダーより体格が大きく、明らかにレアアイテムと分かる武器と防具を持った人物が前に出る。
「スプリガンにケットシー、ウンディーネ、そして、我らを裏切ったサラマンダーが何の用だ?どちらにせよ殺すには変わりないが、その度胸に免じて話は聞いてやる」
「俺はスプリガンのキリト。義によってシルフ及びケットシーの助太刀に参上した」
「同じく私はウンディーネのヤマナミ。此度我々はウンディーネ、スプリガンの同盟の使者としてこちら…シルフ及びケットシーの領主殿と同盟を結ぶ為に出向いた次第…」
「何だと!?」
サラマンダー部隊から焦りの色が浮かび、ざわめきが響いた。しかしサラマンダー部隊の隊長だけは違った
「ほう…つまりお前たちは……」
彼が何を言いたいのかすぐに察したヤマナミはメガネを掛け直しながらこう答えた。
「ええ、恐らく貴方が思った通りですよ。隊長殿…今ここで引かなければ、シルフ、ケットシー、スプリガン、ウンディーネの連合軍が貴方達サラマンダー領を攻める事になるということです…」
ヤマナミの言葉にサラマンダー部隊の面々は冷や汗を抑える事が出来なかった。それを紛らわすためかサラマンダーの1人が声を上げた
「ハッタリだ!そもそもお前らがスプリガンとウンディーネの使者という証拠が無いじゃないか!!」
サラマンダーのその言葉にサラマンダー部隊は何とか落ち着きを取り戻そうとするがその前にヤマナミはさらにある言葉を掛けた
「確かに、我々が使者だという証拠は今はありません。が……」
心なしかヤマナミが掛け直したメガネが怪しく光っていたが、それに気付いたのは隣にいたキリトと長い付き合いのタカトラとソウジのみ…キリトとタカトラは背筋が震えていたがソウジだけは笑顔を絶やさなかった
「此処に来る前、私たちはサラマンダーのメイジ部隊に襲われましてね。問答無用の攻撃だったので返り討ちにしました。生き残った最後の1人を拷問したら、上からの命令だと仰ってました。つまり貴方たちは既に我々とは、敵対関係になっているのです。今更関係ないとは言えない状況なのですよ」
『……………』
ヤマナミの言葉と鋭い眼光に殆どのサラマンダー部隊は戦慄と恐怖で体が動けずにいた。しかしこの部隊の隊長だけは不敵な好戦的な笑みを浮かべていた
「成程。つまり我々は貴様らに宣戦布告している…と言いたい訳か…」
「まあ、そういう事です」
続いてキリトが前に出た
「言っとくが、俺達は5人でお前たちのメイジ部隊十二人を倒した。六十人ぐらいなら、全員倒せなくても俺達9人もいれば、領主たちを逃がすぐらいの時間を稼ぐ位なら可能だ。領主に逃げられたら、お前たちの計画もうまく行かないんじゃないか?」
キリトの言葉に隊長は思案顔になる。
「確かに貴様の言う通り、ここで領主に逃げられたら計画は失敗だ」
「そこで取引だ。俺達としてもアンタ等と戦って全滅はごめんだ。だから一騎打ちをしよう。そっちから一名、こっちからも一名を出す。それで、俺たちが勝ったらサラマンダーには大人しく引いてもらうぞ」
「なるほど…なら我々が勝った場合はどうする?大人しく領主の首を差し出してくれるのか?」
その言葉にキリトとヤマナミはウインドウを操作し、それぞれ大きな革袋をオブジェクト化する。
「ここに俺とヤマナミさんの全財産、合計1800万ユルドがある」
予想外な高額のユルドを聞かされ、動揺するサラマンダー部隊。そのわずかな隙を突くようにヤマナミは交渉する
「コレを貴方達に差し上げましょう。そのかわり、領主の首は諦めていただきます」
「………いいだろ」
サラマンダー部隊の隊長からの返事を聞いたキリトは念を押して釘を刺す
「言っとくが、もし約束を反故するようなことがあれば、俺の仲間たちがサラマンダーは約束を反故にする様な下等種族だと、吹聴するぞ」
「安心しろ。俺も武人だ。この剣に誓い、約束は守ろう。こちらからは俺が出る」
「よし、ならこちらからは「僕が行くよ」って、ソウジ!?」
キリトは自分が出る前にソウジが名乗り上げた事に驚く。
「ソウジ!お前、何を言って…」
「君が出れば確実に勝てるだろうけど、サラマンダーが絶対に約束を守るって保障は無いからね。そのためにもキリト…君の手の内は見せない方がいい。それに、恐らくあの隊長はかなり強いからね。剣客としての血が騒いでね…今回は僕に譲ってもらうよ」
「…………わかった。でも、必ず勝ってこいよ?」
「フフッ!キリト……僕を誰だと思ってるの?」
ソウジの言葉にキリトはフッと不敵な浮かべ
「そうだったな………任せたぜソウジ!」
「ああっ!」
キリトの言葉に力強く返事をしたソウジは空を高く飛ぶ。
「貴様が相手か、俺はサラマンダーのユージーン……貴様は?」
「ケットシーのソウジ。君を斬る剣士の名前だよ」
そう宣言したソウジは腰に差してた刀を抜いて構えた。ソウジの言葉にシルフとケットシーは戦慄を、サラマンダーは怒りを覚えた。それもその筈…今彼の目の前にいる男はただのプレイヤーではない。サラマンダーの現領主…モーティマーの弟でリアルでも実の兄弟らしい。その為、知の兄、武の弟として名を馳せた兄弟…特にユージーンはALO最強と謳われるプレイヤーなのだ。その為ユージーンと対抗するソウジに対してシルフとケットシーのプレイヤーたちは『なんて無謀な…』と彼の身を案じていた
しかしALOプレイヤーはまだ知らない。今ユージーンと対立している男はかつてゲームオーバー=死という理不尽な世界を必死に抗い、トッププレイヤーの一人としての実力を合わせ持つ男だという事を…
そして彼はかつて…狂った幕末の戦乱を駆け抜け、本物の『戦い』を知る幕末最強の1人と恐れられた天才剣士の生まれ変わりだという事をまだ誰も知らない。
例えゲームでも武人として名と実力を合わせ持つユージーンはソウジの剣士としての気配を感じ取ったのか強敵と出会えた歓喜の笑みを浮かべながら両手剣を持ち、構えた
「ほう…見る限りかなりの腕の剣士と見える。だが…俺の敵ではない!」
次の瞬間、ユージーンの持つ両手剣がソウジ目掛けて斬り掛かってくる。対するソウジは刀…両手剣を下手に刀で受けると破壊される恐れがあるため、受け流すように刀を構える。
だがユージーンの両手剣はソウジの刀の刀身をすり抜けた。
「っ!?」
突然の現象に驚いたが、ソウジはすぐに後方に飛んだので肩を軽く斬られる程度で済んだ。
「今のは……」
「驚いたか?今のは我が愛剣…魔剣グラムの特殊効果“エセリアルシフト”だ。剣や盾で受け止めようとも剣が非実体化し、すり抜け、すり抜けると再び実体化し、相手にダメージを与える」
「なるほど…反則級だね……」
「気に食わんか?」
「別に?そんなモノよりもっと反則なヤツと戦った経験もあるし、僕が勝てばいいだけだからね!!」
5mの距離をソウジは一瞬でユージーンの背後に回り込み、ユージーンの首めがけてソウジの刀が横に振るわれた。
「何っ!?」
突然、背後からの攻撃にユージーンは驚きながらも剣を盾として防御する。
「くっ…!」
「ふっ!はぁっ!」
その隙に近づき、刀を振るソウジ
「ふん!」
それでもユージーンはソウジの攻撃を耐え抜き、ソウジの刀を腕ごと掴み、動きを止めた隙にユージーンは剣を上から振り下ろす
「な!?」
「せい!!」
「っ!?くそっ!!」
ソウジは蹴りで何とかユージーンに掴まっていた自分の腕を解放させ、彼の剣を避ける事に成功する
「ほう…やるな貴様。今の方法でやられたプレイヤーはたいがい俺の剣に斬られるんだがな」
「生憎、君みたいな戦い方をする男は君が初めてじゃないんでね…すぐに頭が冷静になったよ」
「なるほど…まぁ今のは戦術の鬼才といわれた土方歳三の戦い方を参考にしただけだがな」
「…………なんだって?」
予想外の人物の名前を聞かされ、ソウジの全身から怒りのオーラが滲み始めた。それに気付いていないのか、ユージーンは話を続け、ついに言ってはいけない言葉を口にする
「ん?その反応を見る限り…もしや貴様、土方歳三のファンか?」
―――プツン…ッ―――
そこから先はもはや地獄だった。怒りで我を失ったソウジは剣先が乱れるかと思えば逆に鋭さは増し、何度もユージーンの鎧の隙間に連撃を浴びせる。
「ぐぅっ!?がぁっ!!」
「……………………………………………」
ダメージを受け続け、苦悶の表情を晒すユージーンに対して無言無表情で攻め続けるソウジ。現在彼の奮闘ぶりに敵どころか味方の方からも恐怖の表情が浮かんでいた
ソウジの攻撃の隙を狙い、反撃を試みるユージーンだが、アッサリとソウジにかわされ、すれ違い様に片腕を斬り落とされ、斬られた腕を一瞬だけ呆然と眺めていたユージーンだったが、斬られたと理解できた瞬間、彼の悲鳴が蝶の谷全体に響いた
「っ!?ぐあああああぁぁぁぁっ!!!」
ユージーンの僅かな隙を突いて生前からソウジが得意としていた“三段突き”をユージーンに狙いを付けて鎧ごと貫いた
「ぐおおおおおおお!?」
悲鳴を上げるユージーン。貫かれながらも、なんとかスペルをつぶやき火炎魔法でソウジを吹き飛ばす。だが爆発に吹き飛ばされてもソウジは突っ込み、再び三段突き…しかも単発ではなく、何度も突きの連撃を叩き込む。
そして
「せやああああああああ!」
トドメの一撃を刀に乗せて、ユージーンの首を貫いた。
そして、ユージーンのHPは底を尽き、巨大なエンドフレイムを巻き上げ、彼のアバターは燃え崩れた
後書き
というわけで、今回活躍したキャラはソウジでした!ヤマナミさんも何気に交渉してました。あの人を敵に回すとイロイロ恐ろしいですし…
それでは次回更新までお楽しみください!
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