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ドリトル先生と二本尻尾の猫

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第五幕その六

「そのことはおいおいわかるのかな」
「ううん、月に行ったからかな」 
 老馬が言います。
「月には独特の力があるから」
「ああ、お月様はね」
 月と聞いてです、お静さんは頷いてこう言いました。
「そのものに強い力があるから」
「だからかな」
「その力を受けてかしらね」
「僕達は妖力に対して耐性があるのかも知れないね」
 老馬はこう言うのでした。
「そのせいで」
「そうかも知れないわね。まあ貴方達には何もしないわよ」
 お静さんはこのことを強く約束しました。
「猫又は嘘吐かないから」
「本当に?」
「嘘言わないの?猫又って」
「ええ、そうよ」
 お静さんはオシツオサレツにも答えます。
「だって。由緒正しい妖怪だから」
「由緒正しいだ、猫又って」
「そうだったの」
「そうよ、日本に昔からいる有名な妖怪なのよ」
 そのことが誇りだというのです。
「それにそれぞれの地域の猫の頭領だから」
「そのこともあってなんだ」
「猫又は誇り高くて」
「その誇りがあるから嘘は言わない」
「そうなんだね」
「そうよ、もう千年生きた九本尻尾の長老なんて神様みたいなものだから」
 猫又の中でもというのです。
「絶対に嘘は言わないわよ、二本の尻尾に誓ってね」
「その尻尾が独特なのよね」 
 ポリネシアは今は出していないその二本の尻尾について言いました。
「猫又の」
「そうよ、猫又の誇りでもあるのよ」
「尻尾もなのね」
「この尻尾にかけてもよ」
 それこそというのです。
「私達猫又は嘘は言わないから」
「信用出来るのね」
「そうよ」
「けれど。お静さんってね」
 ガブガブが言うことはといいますと。
「猫の習性強いよね」
「何か動くものがあったら」
 それこそというのです。
「習性が出るのよ」
「じゃあ猫じゃらしとかは?」
「目の前でふりふりされたらうずうずするわ」
 実際にというのです。
「どうしようもない位にね」
「それはかえって大変だね」
「習性だから仕方ないわ、猫には猫の習性があるのよ」
「抑えられないの?」
「これでもかなりましになったのよ」
 長生きしているうちにというのです。
「百年経ってね」
「そうなんだね」
「そう、だから今も」
 虫が少し離れるとでした。
「身体がうずかないわ」
「見ないんだね」
「そうなの、我慢出来る様になったのよ」
「そうなんだね」
「それとね」
 また言うお静さんでした。
「私が喋られる人間の言葉は日本語だけだから」
「ずっと日本にいるから」
「ええ、そうよ」
 そうだとです、ダブダブにも答えました。
「まだ他の言葉は知らないわ」
「うん、僕も英語じゃなくて日本語を使っているよ」
 先生もそうしています。 
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