ドリトル先生と二本尻尾の猫
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第五幕その三
「確か」
「そうだよ、実際に歩いて見て回ってね」
「調べるのね」
「それも学問の必須だから」
「そうでしょ、先生はそれをしただけだから」
別にというのです。
「私の言ったことを信じてないとかそういうのじゃないから」
「いいんだね」
「私でもそうするし」
お静さん自身もというのです。
「だから今相手の彼のことを調べているのよ」
「猫の皆と一緒にだね」
「そう、そうしてるから」
同じだというのです。
「気にしないでいいわ、それでね」
「うん、これからのことだね」
「そうよ、今日ここに来たのは」
それは何かといいますと。
「相手の彼のことがわかったのよ」
「どういう人か」
「お嬢さんと同じクラスなのよ」
通っている学校の、です。
「同じ高校のね」
「それで相手の人を見ているうちになのかな」
「いやいや、これがね」
「これが?」
「もっと縁が深いのよ」
ただ同じクラスにいるだけではないというのです。
「これがね」
「というと」
「お嬢さんとその人何とずっと同じ学校で」
「小学校や中学校の時から」
「あと幼稚園の時からもなのよ」
「ああ、幼馴染みなんだ」
「その縁でね」
「相手の人のことを想ってるんだ」
「そうなのよ、これが」
「それはまた深いね」
「長年ね」
それこそというのです。
「一緒にいるうちに好きになっていって」
「そういう関係だね」
「イギリスでもこうしたことってあるわよね」
「うん、あるよ」
先生は微笑んでお静さんの今の言葉にも答えました。
「そしてそれはね」
「日本でもなのよ」
「こうしたことはどの国でもあるね」
「そうね、それでだけれど」
先生はこのこともお話してさらに言いました。
「その人は実は私も知ってたの」
「お嬢さんの幼馴染みだから」
「そういえばよく子供の頃一緒に遊んでたわ」
「それでどういう人かな」
「テニス部にいて性格は明るくてね」
お静さんは先生にその人のことを細かくお話しだしました。
「理系の科目が得意で趣味はスマホでゲームをすることね」
「現代っ子っていうのかな、所謂」
「そうね、そう言っていいわ」
「その人とあの娘を一緒にするには」
「それよ」
まさにと言うお静さんでした。
「お嬢さん子供の頃は闊達で男の子ともお話出来たけれど」
「今はなんだ」
「他の子とはお話出来ても」
「その人とはだね」
「ついついね、意識して」
そうしてというのです。
「喋べることが出来なくなるのよ」
「そうなんだね」
「そうなのよ、これが」
「内気な娘なんだね」
「その彼には特にね」
「子供の頃はそうじゃなかったのに」
闊達だったというのです。
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