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自分の力で

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第七章

「いいか」
「宜しいのですか?」
「ネットだから汚い書き込みが多いか」
「スラングも多いですが」
「構わない」
 貴族の家の育ちなのでそうした下品な言葉には抵抗がある、だがそれでもジョアンはこう執事に答えたのだ。
「一切な」
「左様ですか、では」
「見せてもらおう」
 こうしてだった、ジョアンは実際にその書き込みをその目で見た。そして。すぐにだった。
 さらに怒ることになった、ソフィアは自宅でマリーからそのことを聞いて呆れて言った。
「あの、そうしたことは」
「ネットでは普通によね」
「書かれるものよ」
 こう言うのだった。
「色々とね」
「誹謗中傷が多いものよね」
「ネットの書き込みはね」
 その通りと母に言うのだ。
「それはあるものよ」
「ソフィアはそれがわかっているから」
「だから怒らないし」
「気にしないのね」
「気にしていたらきりがないわ」
 ネットでのそうした書き込みはというのだ。
「誰が何書いていてもね」
「気にしたら負けなのね」
「それ位なら練習した方がずっといいわ」
 歌のそれを、というのだ。
「私はそうした考えだけれど」
「ジョアン君はね」
「怒ってるのね」
「ブログと記事でその書き込みを出して相手を探しているわ」
 書き込んだその人物をというのだ。
「そしてその相手をね」
「決闘?」
「それを挑むって言っているわ」
「ジョアンらしいわ」
 呆れた声と顔でだ、こうも言ったソフィアだった。
「そこは」
「そうね、あの子は子供の頃からよね」
「そうしたことには我慢が出来ないのよ」
「まっすぐなのよね」
「まっすぐでね」
 しかも、という言葉だった。
「周りが見えていなくて」
「あとあんたのことになると」
「いつああだから」
 まさに子供の頃からだ、ある意味においてジョアンは本物である。いいか悪いかはまた別のことになるが。
「困ったわ」
「それでどうするの?」
「ジョアンに言うわ」 
 彼に直接、というのだ。
「落ち着いてってね」
「いつもの様にするのね」
「ネットでのそうした書き込みにはね」
 所謂誹謗中傷には、というのだ。
「実際の歌を見せればいいから」
「つまり実力ね」
「言われたの、マエストロに」
 歌の先生にというのだ。
「本当の実力があればね」
「誹謗中傷も跳ね返せるのね」
「こうしたことも歌手の常だって」
 名前を知られて妬まれ誹謗中傷を受けることもというのだ。
「言われたの、だから」
「ここはなのね」
「歌うわ」 
 そしてその実力で、というのだ。
「誹謗中傷をなくしてみせるわ」
「そうするのね」
「そうすればいいから」
「それでジョアン君には」
「私から言ってね」
「落ち着いてもらうのね」
「そうするわ」
 こう母に言うのだった。 
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