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美しき異形達

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第四十五話 博士その十四

「その生年月日は」
「ほっほっほ、まあ言わぬ約束でな」
「わかりました」
「とりあえずじゃ」
 また言う博士だった。
「君達のことは調べさせてもらう」
「頼むな、色々とな」
「怪人のこともな。あとな」
「あと?」
 薊は博士の言葉にまた問い返した。
「あとっていうと?」
「わしは君達のことは調べてもらうがスリーサイズ等には興味がない」
「そうなのかよ」
「服の趣味等にはな」 
 そうしたことにはというのだ。
「一切な」
「下着の色とかか」
 薊は博士に目を瞬かせつつ自分から言った。
「そういうのはか」
「うむ、そういうことにはな」
「全くか」
「若い頃は吉原にも行ったが」
 何時の吉原かは言わない、あえて。
「百歳を超えるとそうしたことには興味がなくなる」
「何か枯れたな」
「仙人みたいなこと言うな」
「そうしたことは若い頃の話でな」
 年老いると、というのだ。ましてやそれが百歳を超えるまでになるとだ。
「今はじゃ」
「そうした話はか」
「一切興味がなくなった」
「うちのクラスの男連中見てたら信じられない話だな」
 高校二年生の彼等を、というのだ。中学生や高校生の頃がそうした方面への欲求が最も強い時代だからだ。
「けれど百歳超えるとか」
「完全に落ち着く」
「だからか」
「君達のそうしたことには興味がない」
 全く、というのだ。
「錬金術だの医学関係で調べていく」
「そういうことか」
「とりあえず今日はこれからな」
「調べてくれるんだな」
「細かいところまでな、医学部の方に来てもらう」
 八条大学のその学部の棟にというのだ。
「わしはあそこの医学部にも顔が利く」
「博士はお医者さんでもあるんですね」
「そうじゃ、内科に外科に色々出来るし漢方医学や薬剤師、歯科医の資格も持っておる」
 こう菖蒲に話した。
「だからな」
「医学にもですか」
「造詣がある」
「それではお願いします」
「ではのう」
 こうしてだった、裕香を除いた八人は博士にも調べてもらった。それが終わってから少女達はそれぞれ別れた。
 薊と裕香は寮に戻った、そこで夕食を食べ風呂に入ってだ。二人は湯舟の中に身体を浸しながら話した。
「不思議な博士だったな」
「色々とね」
 まずは博士のことを話すのだった。
「凄い人ね」
「仙人みたいな人だな」
「ええ、ただね」
「ただ、だよな」
「あの人に調べてもらってな」
「そこからね」
「何がわかるかだな」
「色々わかるといいわね」
「そうだな」
 こう二人で話すのだった。
「あたし達のことがな」
「科学以外の方面からもね」
「あの怪人連中科学にしても普通の科学じゃねえしな」
「どう考えてもね」
「それであたし達自身な」
 薊は湯舟の中から自分の右手を出した、そして。
 その右手の平に炎を出してだ、そのうえで裕香に言った。
「この力な」
「それは気っていうけれど」
「ちょっとな」
「不思議ではあるわね」
「気にしてもな」
「それのことも調べてくれるのよね」
「博士そう言ってたな」
 その炎を見つつだ、薊は裕香に答えた。 
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