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ドリトル先生と二本尻尾の猫

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第四幕その七

「思いですからこちらで包装させて頂きますね」
「じゃあ今から」
「あっ、そこでお待ち下さい」
 行こうとしたトミーにこうも言います。
「また戻りますので」
「そうですか」
「はい、何でしたらお車に」
「いえ、それはいいです」
 そもそも車がありません。
「僕が持って行きます」
「左様ですか」
「はい、それでは」 
 トミーとの応対も穏やかでしかも隙がない感じでした、先生達もお店の外にいる動物達もその間ずっと女の子を見ていました。
 そして、です。買いものの後で。
 先生は荷物を老馬の背中に乗せてご自身は今度はオシツオサレツの背中に乗って進みながらです、こう言いました。
「あの娘だけれど」
「うん、応対もよくてね」
「いい感じの人でしたね」 
 王子とトミーが先生に答えます。
「別にこれといってね」
「悪いところは感じないです」
「穏やかで優しくて」
「いい人だと思います」
「うん、僕達もね」
「そう思うわ」
 動物達も先生に答えます。
「ああいう娘はね」
「問題ないと思うわ」
「細かいところまで見ていたけれど」
「匂いとかもね」 
「悪い人の匂いは感じなかったし」
「お付き合いしている人達も悪い人じゃないみたいだよ」
 そうしたことも調べていたのです。
「もう少し調べてみる必要があるけれど」
「今のところはね」
「悪い人とはね」
「感じないわ」
「君達もそう言うんだね」
 先生は動物の皆の言葉も受けて言いました。
「それじゃあね」
「特にだよね」
「悪い人じゃない」
「あの人ならね」
「相手の人も困らないね」
「うん、あの娘ならね」 
 また言う先生でした。
「大丈夫じゃないかな」
「それじゃあね」
「お世話をね」
「約束して」
「そうしてね」
「それじゃあ」
「今の時点ではいいと思うよ」
 先生は頷きつつ言いました。
「それじゃあ引き続き」
「僕達もね」
「あの娘を見ていって」
「そうしてね」
「調べていこう」
「悪い娘だけじゃないことも確かめて」
 そしてなのです。
「どういう娘かも確かめて」
「そうしてだね」
「それからだね」
「どうするか考える」
「そうだね」
「そうしよう、とりあえず今日は帰ろう」
 先生はこう言ってでした、お酒を手にお家に帰ります。ですがここで、です。王子は先生と自分が持っているお酒を見て言いました。
「絶対にあの娘はいい娘だよ」
「王子はそう思うんだね」
「だってさ、見てよ」
 そのお酒を見つつの言葉です。
「このワインも先生のウイスキーも」
「どちらもだね」
「丁寧に紙で包装してあって」
 そして、でした。
「中にはスポンジまで巻いてくれていて」
「うん、若し割れてもね」
「大丈夫な様にしてくれているじゃない」
「多少だとね」
「ガラスはうっかり手を滑らして落としたらね」
 その時こそ、です。 
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