長命鎖
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第二章
「あれじゃ」
「ああ、祭りか」
「村の祭りは変わらないか」
「それはか」
「変わらないか」
「そうじゃ、あれは変わっていない」
こう若者達に言うのだった。
「本当にな」
「あの時は女の子も民族衣装着るしな」
「俺達百苗族の」
「この小さな村だけれどな」
「女の子は可愛いしな」
「それは変わらん」
祭り、そして民族衣装はというのだ。
「全くな」
「爺様と祭りはか」
「昔から変わらない」
「そういうことか」
「だからわしは百歳もいっておらん」
長老は自分のことについてはまたこう言った。
「しかし祭りは何百年も前から変わっておらん」
「それで民族衣装もか」
「そっちもか」
「変わっていないか」
「そうなんだな」
「そうじゃ、その祭りが近い」
長老はここでは少し喜んで嬉しそうに言った。
「御前さん達も楽しみだろ」
「ああ、やっぱり祭りは楽しいさ」
「楽しくない筈ないさ」
若者達もそれぞれ笑顔で答えた。
「飲めるし食える」
「それに女の子だって奇麗だしな」
その彼等もというのだ。
「祭りが変わるとな」
「やっぱり嫌だな」
「じゃあ今度の祭りも楽しむか」
「それも盛大にな」
「うむ、わしも見て楽しむ」
非常にというのだった。
「それが長寿の秘訣じゃ」
「祭りがか」
「爺様の長寿の秘訣か」
「そうだったんだな」
「目で見てな」
そしてというのだ。
「そうして楽しんでじゃ」
「年の一回の祭りがか」
「爺様にとってそれだけいいものなんだな」
「そういうことじゃ、では楽しむとしよう」
祭りのことを楽しみとしてだ、長老も若者達もその時を待った。そしてだった。
その祭りの時が来た、すると。
紫の上着に丈の長い足首までのスカートは黒地で何段にも彩られておりそれぞれ赤や黒、青に白で草や花、蝶の模様が描かれている。それは紫の上着から出ている袖も同じだ。
銀色の冠、頭花、首飾り、腕輪に耳飾りと全て豪奢なまでに飾っている。紫の上着にスカートに袖の中にその銀がある。
少女達はめいめいそうした着飾っている、その彼等の民族衣装を見てだ。
若者達は笑顔でだ、こう言うのだった。
「やっぱりいいな」
「ああ、民族衣装はな」
「違うな」
「普段の洋服は動きやすいけれどな」
本当に人民服の者はいない、最早。
男は洋服だがだ、女の子達はだ。
誰もが民族衣装で着飾っている、若者達はその少女達を見て言うのだ。
「いいよな、紫の上着でな」
「あの派手な柄のスカートもな」
「俺靴も好きだぜ」
若者の一人が靴、黒いそれについて話した。
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