転生赤龍帝のマフィアな生活
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番外編:パラレルワールドに行きます ~その四~
前書き
もう、カオス。とにかくカオス。
何かいたのか分からんぐらいにカオスです。
それではどうぞ。
(野郎ども宴の準備じゃァァァ‼)
(姉御の再臨じゃァァァ‼)
(姉御化キターー!!)
(黒タイツ履いてその蒸れた足で踏んでくだちゃいいいいっ!!)
再び女の姿になってしまった俺は変態達の声を無視して頭をフル回転させて何が原因だったのかを探る。女体化は薬によって引き起こされる物だったと記憶している。つまりは俺が姿を変えることになったのはさっき飲んだ薬のせいに違いない。
そして、その薬を渡したのはどこのどいつだったかを思い出してみる。……“カス猫”だな。俺が“カス猫”の方に目を向けると“カス猫”は額から汗を流しながら目を右往左往させながら口笛を吹いていた。俺はそんな様子に死ぬほどムカついたので近づいてその頭を鷲掴みにする。
「おい、カス猫。てめえ、分かっててやっただろ? コラ」
「ほ、本当に出来心だから許して欲しいにゃ! 私も一回位見てみたかっただけにゃ!」
「そうか、冥途の土産にそんな物、選ぶたあ、随分と殊勝な心構えだな」
「や、やめるにゃ。それ以上やったら頭が本当に割れちゃうにゃ!」
女になったせいでいまいち力が入らねえが、その分指が細く長くなっているので頭を掴む分にはやりやすくなっている。俺はそんなことを考えながら必死に俺の手から逃れようとしてもがくカス猫を見つめる。いい加減こいつの相手をするのも面倒になったきたことだ。このまま消すか? 俺は掴んでいない方の手に憤怒の炎を宿す。すると―――
(ふむ、つまりは黒歌様もドMにして一誠様のドM製造機としての力を見せつけるわけですね)
「ち、今回は見逃してやる。次はねえからな」
俺は歴代赤龍帝の一人がそんなことを呟いたので即座にカス猫から手を離す。こんな奴らの目論見通りに俺が動くわけにはいかねえからな。すると、カス猫が驚いたように俺の方を見て来る。文句あるのかと言った目で睨み返すとカス猫の方が以外そうな顔で口を開く。
「……もしかして、イッセーちんって優しい人?」
「な、何言ってんだてめえ!」
思いがけない言葉に思わず、顔を赤らめて否定してしまう。だがそれが不味かった。
(姉御のツンデレじゃああああっ! 我が人生に一片の悔いなし!)
(俺っ娘で顔を赤らめる様は眼福以外の何物でもない)
活性化を始める歴代赤龍帝の動きは止まらない。狂気の宴を行うように俺の精神世界の中で存分に暴れまわっていきやがる。俺はそんな状況から現実逃避するためにカス猫に背を向けて親馬鹿とヴァーリの方を見る。
するとこの世界の奴らは全員が全員馬鹿みたいに口を開けて俺の方見ていたのでため息が出る。因みにユニ達はどこからか用意した女物のコスプレの服の準備を進めていたがそれは見なかったことにした。取りあえず、毎度のように胸が苦しいので胸元のボタンを大きく開ける。
「ぶはあああっ!?」
「イッセー君!?」
すると何故か、この世界の俺が鼻血を吹いて倒れ伏した。そんな様子にこの世界の木場祐斗が驚いて介抱しているが俺には一体全体何が起きているのかがさっぱりだ。ついでに後ろの“カス猫”とこの世界のカス猫が私よりエロいと言っているがそれは全力で無視する方向に決めた。
「何が……どうなっている? しかし……美しいな」
「嘘っ!? あのヴァーリが誰かに惚れた!」
「俺は男だ! 今は偶々女になってるだけだから気色悪い目でこっちを見んじゃねえよ、ドカスが!」
非常に気色悪いことにこの世界のヴァーリが俺の方に見とれている。それに対してこの世界のカス猫がプライドを傷つけられたように驚愕の声を上げている。そんなカオスな状況に取り敢えず、俺は銃をぶっぱなしながら怒鳴りつける。
(姐さんの魅力は止まることを知らないっすからね。こうなるのも当然のことかと)
(姉御の魅力は世界一ィィィィィッ!!)
そんな事態においても変態達は平常運転だった。ああ……胃が痛い。カストカゲの奴も吹っ切れたせいか変態の暴走を見ながら高笑いしてやがる。誰でもいいからこのカオスを止めてくれ……。
「まさか、あの糞野郎は、本当は女だったのか?」
「我が同胞よ。この場合、我々はどうすればいいのだ? 女なら別に同棲位は許してもいいのではないのか」
「だから、俺は男だって言ってんだろうが! 親バカ共がああああっ!!」
俺は顔を赤くしながらむちゃくちゃに銃を乱射しまくって親バカ共を星に変えていく。すると俺のそんな姿に興奮した変態共が、俺が当たる、いいえ私です。などとこの上なく醜い争いを繰り広げ始める。そんな中、焼き鳥女が率先して俺の攻撃に当たろうとして来たときは背筋が冷たくなったが、結局、無理矢理軌道を曲げて当たらないようにした。
これで変態の思い通りにならなくてすんだと俺がホッと一息ついたときに『ここに来てまだ焦らすなんて……さすがですわ! 一誠様』と聞こえてきたのはきっと幻聴だったのだろうと無理矢理自分を納得させる。な、泣いてなんかいないんだからな!
(その涙があっしらの力になりやす!)
(“イッセーたん”可愛いよォォォッ!!)
(姉御の為にこの世界も我々の色で染め上げて行くぜえええええっ!)
((((既にもう一人の我々は懐柔した!))))
待て! なにさらっと恐ろしいことを言ってんだ、変態共は。赤トカゲの方の歴代赤龍帝も既に変態になったっていうのか。俺はすぐに事実確認をするために鼻血を噴き出して倒れているこの世界の俺の方に目を向ける。
「なんだ!? 急に先輩達が『姉御に蹴られ隊』とか言い始めたぞ! ドライグ、一体全体どうなってるんだよ!?」
『もう……全てお終いだ。この世界は奴らに蹂躙され…る……』
「……ドライグ? ドライグ! 目を醒ませドライグゥゥゥゥッ!」
ああ……既にあいつの精神世界もカオスな状況になってやがる。というか、お前らはこの世界の俺に執着しろよ。なんで、俺の方に執着してきやがんだよ、糞がっ! それとだ、赤トカゲの奴何勝手に戦線離脱してやがんだ。てめえもこの苦境に対する生贄になりやがれ。カストカゲの奴がこれでもかとばかりに舌打ちする音がウザくて仕方がねえんだ。そんなにこれ以上の苦しみを味あわせられなかったのが悔しいのかよ。
『相棒、エルシャが実体化するために何やら儀式を行い始めたぞ』
「なん……だと?」
そして、俺の中から声が聞こえてくる。いや、俺の中だけでじゃねえ。赤トカゲの方からも聞こえてくる。
神はおっしゃった。その者らは痛みにより快楽を見出し、罵倒も、蔑みも、暴力も、あらゆる加虐を持ってしても滅ぼす事は出来ない。故に汝は問うた、我らは何者か? 愚問なり、無知蒙昧、知らぬならば答えよう。我らは永劫、貴公らの下僕だと―――
『顕現! 変態教祖エルシャ!』
強烈な光が辺りを包み込むと同時に一人の女が姿を現す。整った顔立ちに豊かな女性の象徴。流れるような綺麗な髪の毛。これだけなら間違いなく美人だと言えるであろうがそいつの内面は美人とは到底言えないものだ。それは―――
「ご主人様、私の完全なる復活のお祝いにどうかこの棘の鞭で私を思う存分に痛めつけてください」
ドMだという事だ。
……もうお終いだ。“イリナ”と“焼き鳥女”以外には決して知られることのなかった俺の精神世界にいる歴代赤龍帝の存在がバレちまう。しかも、エルシャの奴さっき完全復活って言いやがったよな。そうなってくると考えられるのは変態エネルギーとかいう謎のエネルギーをエルシャが一手に受けてエルシャだけが完全なる肉体を得て復活してしまったというわけだ。……もうダメだ、お終いだ。
「ご主人様、早速ですが私を叩いて喘がせながら『豚が人間の言葉発するんじゃねえ、人間の方が赤面すんだろうが、豚は豚らしく啼きな』と罵倒してくださると私が満足します」
「誰がそんなことをするかってんだよ!」
「出来れば、ボンテージを着用してくださると嬉しいです」
「ダメだ。これ以上は俺がもたねえ」
少しの会話だけで俺の胃はガリガリと音を立てながら削られていく。俺は軽く涙目になりながら本物の胃薬を隠し持っているであろうカス猫に縋り付く。もう、こうなったら恥も外聞もねえ。とにかく俺の胃を守ることだけに集中する。
「頼む…頼むから胃薬をくれ……」
「え? “イッセーちん”がまるで捨てられた子猫のような目で見つめてくるなんて……可愛すぎるにゃ!」
「もう一人の私! こっちにもその可愛いものを愛でさせるにゃ!」
「そっちも来て一緒に愛でればいいだけにゃ。ほーら、いい子いい子にゃ」
何故か、胃薬を貰いにいったら二人のカス猫から頭をよしよしと撫でられる俺。その事に顔を真っ赤にして怒鳴りつけるが二人共微笑ましそうな顔を浮かべるだけで相手にしようとしねえ。それどころか、他の奴らも全員微笑ましい気に見つめてるか、羨ましいそうにカス猫共を睨んでいるだけだった。ちくしょう! いいから胃薬を寄越しやがれ!
(黒歌様が二人だと!? ヨッシャ! キタァァァァァァァアアアアア! ウワヤッタァァァァァァアアアアアア!)
(小動物な姐さん…だと!? ブシャアアアアアアッッ!)
カス猫が好きな変態はこの状況にこれでもかとばかりに狂喜の叫びを上げて他の変態は鼻血を噴射している。因みにユニ達もエルシャと一緒にボタボタと鼻血を垂れ流している。なんだ、この状況? カオス過ぎてこの世界のグレモリー眷属共がこれでもかとばかりに口を開けてポカンとしてんじゃねえか。
『赤いの、これは一体どういうことだ! なぜ、女性最強の赤龍帝であるエルシャが変態になっているのだ!?』
『相棒のせいだ。それとだ。いつからそちらには変態がいないと錯覚していた?』
『はっ! まさか、歴代白龍皇が最近おかしかったのは―――』
『『『『“ヴァーリたん”のおパンツクンカクンカ! それから“イッセーたん”に踏みにじられたい!』』』』
ああ……ついに“ヴァーリ”の方も変態が発生したのか。俺は突如として聞こえてきた変態発言に混乱して目をグルグルと回している“ヴァーリ”を同情の目線で見つめながら現実逃避する。もう、この世界に全部置いて帰れねえかな……まあ、変態なら世界の壁を軽々しく超えてこっちに来そうだけどな。
「ふふふ、ご主人様の魅力がこの世界にもどんどんと伝わっていっているようですね。早速、布教の用意をしなければ。レイヴェル、行きますよ」
「はい、お師匠様」
「勝手にどっかに行くんじゃねえよ! 頼むから傍に居てくれ!」
これ以上の変態の増殖だけは許したくないので俺は若干涙目になりながら焼き鳥女とエルシャに縋り付く。そして、懇願するように下から二人を見上げる。これ以上俺の胃を脅かす勢力が増えたら今度こそ俺の胃が崩壊しちまう。そんな想いを込めて頼み込むと―――
「ご、ご主人様の……涙目上目遣い! これがあればご飯が何杯でもいけます!!」
「一誠様の上目遣いなんて……ああ、鼻から赤き情熱が止まりませんわ」
鼻血を垂れ流しながら感動の涙を流された……何故だ! 俺が何をしたというんだ。どうして、目の前の二人だけでなく未だに俺の中に居る歴代赤龍帝まで鼻血を流したり吐血したりしてるんだ! ああ……俺の安息の地はこの世界にもないのか……。
「安心してください。ご主人様の傍から離れる気はありませんわ。その代わりですがコスプレをお願いします。ユニ様!」
「はい、準備は整っています」
「なっ! 俺はそんな服着ねえからな!」
「それなら無理やりにでも行かせてもらいますよ、洋服破壊!」
「お、俺の服が! なんだ、そのふざけた技は!?」
ユニから押し付けられたへそだしカウボーイコスプレを突き返そうとしたところで突然、エルシャがそんな技を使ってきて、俺の技が木端微塵に砕け散る。裸になった体に対して慌てて胸と下を手で隠す俺に対してエルシャが鼻を押さえながらこの世界の俺の技をこの世界の歴代から聞いて真似をしたと酷く満足げな顔で言ってきた。俺は顔を真っ赤にしながらカス馬鹿の方を見るがカス馬鹿がこの上なく気持ち悪い目で俺の方を見ていたので俺は泣く泣くカウボーイ服を着る。下は勿論と言ってもいい程にミニだった。
「……もう我慢の限界だ……何もかもカッ消えろおおおおおおっ!!」
俺は目から涙をこぼしながら全ての怒りを発散されるべくカウボーイ姿のまま『龍 帝 銃』を乱射しまくる。このままこの世界の俺達もカッ消してやる。もう誰にも俺は止められねえ!
「アアンッ! もっと、もっと下さい、ご主人様!」
「体が焼け付くこの甘美な快感……流石です、流石ですわ、一誠様!」
…………ドMを除いてだがな。俺は全ての攻撃を受け止めて喜びの喘ぎ声を上げるエルシャと“焼き鳥女”を見つめながらガックリとひざを折る。もうやだ……家に帰りたい。
後書き
ここら辺で番外編終わらせないと収拾がつかない気がする。
でも、姉御の活躍()も見たい。うーん、どうすれば。
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