戦え!!正義の兄弟戦士ジャスティスカイザー
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第十七話 南雲大尉!ハンドボールやってる!?その十三
「そして杯の」
「畏まりました」
「ではこれより」
二人も西郷に応えて言う。
「出陣の儀に入ります」
「そして勝利を願いましょう」
「勝利はただ勝つだけではありもうさん」
ここでこう言うのが西郷である。
「それは正々堂々としてこそでごわす」
「それで、です」
「勝ってこそです」
「卑怯、卑劣な行いで勝ち何が勝利でしょう」
「それは武士の為すことではありません」
「卑怯、卑劣に基づく勝利はただ勝っただけでごわす」
西郷はこうも言った。
「心技体で勝つこと、それこそがでごわす」
「はい、勝利ですね」
「真の勝利です」
「だからこそ我等日帝衆は正々堂々とします」
「そして戦います」
「そのうえで勝ち」
「真の勝利を祝うのです」
ジャスティスカイザーとは正反対の考え方である、勝てばそれでよく卑怯卑劣なぞ何とも思わない彼等とはだ。
「今度こそそそうなりましょう」
「必ずや」
こう話してだ、日帝衆はその出陣の儀に入り奈良公園に出陣した。そしてその決戦の地である奈良公園では。
既にハンドボールの競技場がセッティングされていた、周りには芝生と木々、そして鹿とギャラリーがいる。
その鹿達を見つつだ、ジャスティスカイザーの二人は言うのだった。
「でかいだけでな」
「ああ、全然可愛くねえな」
これが奈良県のマスコット、春日大社の神様の使いへの言葉だ。
「東大寺の時もいたけどな、こいつ等」
「すげえ偉そうだな」
「ふんぞり返って公園の中我がもの顔で歩き回ってな」
「もう傍若無人じゃねえか」
「しかも何でも食うしな」
「子供の弁当も雑誌もな」
鹿は草食である、しかしなのだ。
「弁当の肉や魚までな」
「子供から奪ってでも食うからなこいつ等」
「しかもちょっとちょっかいかけるとやり返すしな」
「仕返しは忘れないんだよな」
しかも隙を見せた時に仕掛けて来る。
「ったくよ、こんな悪質なマスコット何処がいいんだよ」
「好きな奈良県民いないからな」
ソースは奈良県で生まれ育った作者である。
「家で甘やかされまくってる猫かよ」
「それレベルの酷さだろ」
「ちょっと何とかならねえのか?」
「もっとましなマスコットいねえのかよ」
「ったくよ、こっからあの妖怪じゃなかったゆるキャラ生まれてな」
「小坊主の頭に鹿の角生やさせたな」
あの究極の可愛くなさを見せているマスコットである、悪いことは重なるもので一家まで生まれてしまっている。
「あいつも生み出したしな」
「本当にふざけた奴等だぜ」
「他にいねえのか」
「他にましなマスコットいねえのか」
こう鹿達を見つつ悪態を衝く。
しかしこの鹿達は馬鹿ではない、それでだった。
「・・・・・・・・・」
無言で二人に気配を殺して近寄りだ、それから。
二人が隙を見せた時に角のある頭で頭突きを浴びせた、その頭突きを受けた二人がここで怒らない筈がなかった。
「何しやがるこの糞鹿!」
「油断したら仕掛けるとか上等じゃねえか!」
「おいやるんだったらやるぞ!」
「今夜は鹿肉のステーキだ!」
新兵器である火炎放射器を出しつつの言葉だ。
「レアで美味しくいただいてやる!」
「塩胡椒で味付けしてな!」
「上にバターを乗せると美味いぜ!」
「熱いうちに食わせてもらうぜ!」
「いいから早くはじめろ!」
「毎回毎回試合前にいらん喧嘩するな!」
例によってここでギャラリーからの抗議が来た。
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