極短編集
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短編54「パパそこ、ゴミ入れるんだよ!?」
息子が6歳の時の話しだ。息子とスーパーに買い物に出かけた。二人で自転車に乗ると、後ろの子ども用の席から……
「あっあの看板は……」
と、最近になって、ひらがなを読める息子が読んで言っていた。その声を聞きながら、そうこうするとスーパーについた。スーパーではママに頼まれたものを買った。もちろんパパはビールとつまみだ!
買うものをカゴに入れてレジに行った。ここのスーパーは買い物カゴが二つあり、品物を入れるカゴをレジに置くと、店員が、レジを済ませた物を次の黄色いカゴに入れるのだった。
『きっと万引き防止のためだよなあ』
と、思っていると……
「ねえパパ大変!」
と、僕のシャツのすそを引っ張った。
「このカゴ、ごみって書いてある!」
と、息子は黄色いカゴを指差し、慌てて言っていた。
「パパ間違えてるよ!そこゴミ入れるんだよ!?」
息子がしきりに言っている。その間にも黄色いカゴには、どんどん品物が移される。
「パ~パ!大変だってば~!!」
しかしまあ、息子の慌ててようは可愛いものだ!さてさていったい何を勘違いしたんだ?と思っていると……
「ほらここ!ご・みって書いてあるよっ」
息子は黄色いカゴの側面に書かれた、文字を指差しそれを追った。
「ご・みって」
息子はまた言って、僕を見て目で同意を求めてくる。
「本当だね!でもこれ、ごとみの間は漢字なんだよ」
僕が言うと……
「???」
息子は頭をひねっていた。でも自分が間違ったのが分かったようで、恥ずかしさを隠すように……
「そっかあ、まだ僕、漢字読めないからさあ」
と、言っていた。その様子を見たいた店員さんはもちろんの事、周りの買い物客はみな、微笑んでいた。
「ところでパパ、なんて書いてるの?」
「ああ、これかい」
真剣な表情の息子に僕は言った。
「ご清算済み!って、書いてあるんだよ」
おしまい
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