入れ替わった男の、ダンジョン挑戦記
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誕生、前代未聞の冒険者
第一話
始まりは一本の電話からだった。
「はーい!『楠(クスノキ)』ですけどー?」
僕、楠英司(クスノキエイジ)は、仕事の合間の折角の休日と、ゲームに勤しんでいると、携帯に呼び出し音があり、取って応対する。その相手が、
「楠英司…だね。」
「そうですよー?どなたー?」
「…楠英司。僕は貴方だ。」
電波な人でした。切ろうと電源を押しても切れない。どうなっているのか?
「やっと見つけた。『入れ代わるの』に『相応しい次元の僕』を。」
「中二病的な遊びはよそでやってね?」
おざなりに対応しながら、バッテリーを抜く。だが電話は切れない。流石にこれは異常だ。
「もう仕込みは終わった。『僕』は散々だったけれど、貴方はきっと上手く行く。さあ、始めよう!」
電話の主が言い終わると、突如携帯の画面が眩く光る。慌てて顔を隠したら、いつの間にか、僕は紐無しバンジーを敢行していた。
「あれ!?あれぇぇ!?」
いったい何がどうなって!?
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
このままでは墜落死してしまう!嫌だ、死にたくない、飛べっ、飛べっ、飛べぇぇ!!
自由落下するなか、手足をばたつかせながら、必死に念ずる。すると、何やら僕の手足に何やら暖かな何かが集まり、ずんぐりしたグリーヴとガントレットが現れた。
グリーヴの足裏から、勢いよく炎が噴出し、落下を阻止するどころか、逆に凄いスピードで上昇して見せた。
「…おお!?いつの間にか助かって?むむむ、この状態…何なんだ?」
よくよく自らを確認すると、微妙に体躯が小さい。中学生の頃位か。着ているのも中学の制服だ。
訳の分からない事態に混乱しながらも、とりあえず、このグリーヴの炎を抑えて下りようと念じてみる。少し手こずったが、無事に着地成功。
周囲には、同じ制服の男女がちらほら。大半が細長い筒を持っているので、どうやら今日は卒業式だったらしい。
その生徒の向こうから、鬼の形相をしたジャージの男性が近付いてくる。
その後、男性に捕まり、こっぴどく怒られた。まったく起きていることが理解できない。
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