剣の世界で拳を振るう
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SAO-HF
聖剣をとりに行く筈が、何故か別世界
「今日の午後って暇か?」
起床してから数分後、突然和人から連絡が来た。
内容は最近見つかった聖剣、エクスキャリバーを取りに行こうと言う事だった。
「別に構わんが」
「よっし!じゃあ1時に集合な!」
そう言って帰って行った和人。
つうか俺にメリットが無さすぎる。剣使わないし疲れそうだし。
とまぁ、そんな感じで考えていたらいつのまにか集合時間五分前。
仕方なくログインすることに。
「リンク・スタート」
毎度お馴染みの電子音がキュィィンと鳴る。
そしてそこからバチバチと………へ?バチバチっておや!?
「おわぁあああ!?」
アバターが選択されたと思ったら目の前には巨大なブラックホール。
俺はなすすべもなく吸い込まれ、意識を失ったのだった。
ドサッ!
「げふぅ!?」
急に背中に痛みが走り、目が覚める。
背中を擦りながら起き上がってみれば―――
「何処だ…ここ?」
見渡す限りに木が生い茂り、直ぐに森の中であると理解できる。
しかしそれはおかしいのだ。何故ならば
「昨日はスイルベーンでログアウトした筈なんだが…」
ログアウトした場所とは似ても似つかないその場所は、誰もいない事を物語り、何より道すらもわからない。
飛ぼうとしてもフライトエンジンが作動せず、仕方なくコントローラーで試しても出てきもしない。
「どうなってんだよ……」
俺は近くの木にもたれ掛かりながらウインドウを開こうとして―――
『グジャアァ!』
「は?……んなぁ!?」
目の前に怪物系モンスターが現れた。
しかし俺が驚いたのはそこではない。俺が驚いたのは…
「スカーレット・ボア……LV92……?レベル!?」
そう。ALOには無い筈のレベルが表示されているのだ。
理解の追い付かない現状に戸惑っている俺を他所に、モンスターは襲いかかってくる。
「ちょま!俺は聖剣取りに来ただけだぞ!っとぉ!
お前みたいな初対面のやつに切りかかられる覚えはねんだよ!」
突進してきたスカーレット・ボアをジャンプで回避して、頭上を通過する際に蹴りを打ち込む。
しかし、流石はLV92。ダメージも余り入ってないようだ。
「だあぁぁぁ!キリトの野郎!覚えてやがれよ!」
俺は行き場の無い怒りをキリトに向けて、スカーレット・ボアに突貫した。
幸いスカーレット・ボアは俺を見失っているようで、俺は直ぐに肉薄することが出来た。
「我が心!開戦自虐なり!飛来至高の拳を受けろ!」
掌呈に始まり、地面に叩きうち、数激の連打を加えて距離をとった。
スカーレット・ボアは技を受けながら怯んでおり、動こうとはしていなかった。
「奥義即ち!天衣無縫!!」
最後の一撃に力を込めて突貫。
青いライトエフェクトが加わり、スカーレット・ボアを引きずりながらその進行方向にあった木に叩きつけた。
スカーレット・ボアはHPを全損させ、硝子の欠片が舞い上がるように消えていった。
「おいおい…今の消え方って……嘘だろ…?」
本来、ALOではモンスターを倒すと光の粒子が拡散するように消えるのだ。
しかし、今のスカーレット・ボアの消え方は過去の…そしてまずあり得る筈の無い消え方をしたのだ。
「…そうだ!ストレージ!」
俺はシステムウインドウを開き、ステータス画面を表示した。
そして俺は更に驚愕する。
PN ken LV142
「142……以外と高いな……じゃねぇよ!
何だよこれ!まんまSAOじゃねぇか!」
そう。ステータスの表記やその他の字並び。
全てがSAO時代のそれと同じなのであった。
「くっそ……こんなことになったのも聖剣のせいだ…」
俺は愚痴を溢しながら取り合えず歩くことにした。
「それにしても…元々はキリトが誘ってきたからこんなことになったのではなかろうか?」
ちょっとした場違いな結論にたどり着いた。
自分でも違うと分かっていながらも言わずにはいられない。
「キリトぉぉぉぉぉ!」
そう言った俺の叫びは森全体にこだました。
その時、後ろの方で草のオブジェが揺れ動き、そちらの方を向けば一人の女性プレイヤーが立っていた。
「ねぇ……今キリトって…言った?」
少女はそう言った。
言い回しからしてキリトと知り合いだと伺える。
アイツもホンとに垂らし込んでるよな…リア充め。
「あ、ああ。
君はキリトをしってるのか?」
俺は取り合えずそう返した。
この時から面倒ごとに巻き込まれていたのだろうと、そう思う始めていた。
後書き
すみません。今回は短いです。
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