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美しき異形達

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第四十四話 薊達の決意その十四

「相手が一人なら」
「いや、あたしもな」
 薊も向日葵に言う。
「またやりたいけれどな」
「薊ちゃん最近ずっと戦ってない?」
「そうか?」
「何かね」
 それこそ、というのだ。
「そんな感じがするけれど」
「言われてみればそうか、けれどな」
「それでもなのね」
「戦うさ」
 こう言うのだった。
「連中の数が尽きるまでな」
「そうするのね」
「ああ、それじゃあな」
 薊はあらためて言った。
「やるか」
「うん、じゃあね」 
 薊と向日葵が頷き合い他の少女達は二人に言った。
「それじゃあ」
「勝ってね」
「今度の戦いも」
「任せときなって」
 薊は笑ってだ、仲間達に返した。
「また勝つからな」
「じゃあね」 
 向日葵も言う、そしてだった。
 二人は一行の中からすっと前に出た、そのうえで。
 あらためてだ、こう言った。
「それじゃあな」
「はじめよう」
「いるのはわかってるからな」
「出て来てね」
「うん、じゃあね」
「はじめましょう」
 若い男女の声が来た。
「そっちもわかってるのなら」
「話が早いわ」
「まあ君達ならね」
「気付くと思っていたわ、私達に」
「よし、じゃあな」
「やろうね」
 二人も相手の声に応える、そのうえで。
 怪人達を待った、その怪人達はというと。
 前から来た、一体はカミキリ虫の怪人でありもう一体は蛾だった。薊はその怪人達を見てそのうえでこう言った。
「今度は虫か」
「両方ね」
「蛾とカミキリ虫か」
「どっちも癖が強いね」
「うふふ、そうかしら」
 蛾の怪人が二人の言葉に入って来た、こちらが若い女の声だ。
「私はそうは思わないけれど」
「僕もね」 
 カミキリ虫の怪人は男の声だった。
「別にね」
「そこは貴女達の主観でなくて?」
「主観って言えばそうだろうな」
「やっぱりそうなるわね」 
 二人もその通りだとだ、怪人の言葉に応えた。
「蛾とかカミキリ虫が癖が強いとかな」
「結局私達の主観よ」
「そいつはそうだな」
「まさにそうよね」
「まあけれどな」
「私達から見ればなのよ」
 二人は主観だと認めつつもその主観を肯定した、そのうえであらためて蛾の怪人に対してこう言ったのだった。
「やっぱりカミキリ虫とか蛾とか癖強いよ」
「虫の中でもね」
「見解の相違ね」
「そうなるな」
「結局のところはね」
「そうね、ではこれ以上お話しても仕方ないわ」
「そもそもお話をしに来てはいないよ」
 カミキリ虫の怪人も言って来た。 
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