リリカルアドベンチャーGT~奇跡と優しさの軌跡~
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第百二十四話 消失
前書き
闇の書編という名のオリジナルストーリー。
そろそろクリスマスの時期。
はやてに何のプレゼントを買おうかと頭を悩ませながら部屋の掃除をしていた時…であった。
賢「?」
ワームモン[賢ちゃん?]
本棚を見つめている賢を不思議そうに見つめるワームモン。
賢「闇の書がない…」
ワームモン[ええ!!?]
ワームモンの絶叫が響き渡る。
シグナム「闇の書が無くなっているだと!!?」
ヴィータ「ち、ちゃんと探したのかよ!!?」
ワームモン[ちゃんと探したよ!!家の中を隅々まで!!]
シャマル「そんな…」
シャマルの顔が真っ青になっていく。
遼は安心させるように肩に手を置いた。
はやて「何処に行ったんやろ…?」
物心つく前からあっただけにはやても不安そうに呟く。
ドルモン[はやての足が良くなってきた日にこれか…]
遼「…嫌な予感がするな」
シグナム「どういうことだ?」
遼「シグナム、闇の書ってのは魔力を蒐集することで完成するんだよな?」
シグナム「そうだが?」
疑問符を浮かべるシグナムに遼は自分の考えを述べる。
遼「しかし闇の書は主…つまりはやてしか使えない。もしかしたら闇の書の力…というか魔力を蒐集する闇の書の特性を利用するつもりなんじゃないか?」
シャウトモン[例えば?]
遼「そうだな。闇の書に蒐集させた魔力を吸収して自分の物にするとか…そんな膨大な魔力に耐えられる奴がいるのかかなり疑問があるけどな」
賢「大輔達を呼んでみよう。もしかしたら、力を貸してくれるかもしれない」
遼「そうだな。俺達だけで行動するくらいなら大輔達の協力を仰いだ方が良さそうだ。」
そして賢達の連絡を受けて全員が集まったのは一時間後であった。
全員が集まり、事情を聞いた大輔達。
大輔「闇の書?何か不吉な感じのするネーミングだな」
ヴィータ「悪かったな不吉なネーミングで!!」
さらりと酷いことを言う大輔に噛み付くヴィータだが、大輔はあっさりとかわした。
なのは「闇の書って何なの?」
シャマル「そ、それは…」
どう説明すればいいのか、いや、説明してもいいのだろうかと悩むシャマルだが、ルカが口を開く。
ルカ「闇の書というのは、ロストロギアの一種で、膨大な魔力を蒐集することで完成し、所有者に絶大な力を与える代物…。管理局としては管理しなければならない代物です。多分彼女達は闇の書に内蔵されたプログラムが人の形をとった守護騎士…と言ったところでしょうか。」
シグナム「っ!!」
ルカの発言に守護騎士全員が警戒を始める。
それに気付いてか、ルカは苦笑を浮かべる。
ルカ「警戒しないで下さい。僕はまだ管理局の人間ではありませんし…仲間を売るような非道な真似は絶対にしません」
ヴィータ「本当だろうな…?」
不審そうにルカを見つめるヴィータ。
ルカは真剣な表情で口を開く。
ルカ「勿論です。ルカ・ハラオウンの名にかけて、そして選ばれし子供の誇りにかけて誓いましょう」
その言葉を信じることにしたのかは分からないが、シグナム達は警戒を解いてくれた。
大輔「はやてが闇の書とやらを悪用するなんて考えられないし。ここは俺達で何とか解決しようぜ。クロノ達には悪いけど…な…。」
少し申し訳なさそうに言う大輔に、全員が頷いた。
アリシア「はやてが捕まっちゃうのは嫌だもん。」
すずか「うん。」
大輔「エリオ、未来の俺からこういうの聞いてない…よな?」
エリオ「いえ、父さんも母さん達も子供時代のことは何も教えてはくれませんでしたから…」
大輔「成る程、未来の自分は自力で解決したんだからズルは駄目ってことか」
キャロ「(ケチ…)」
心の中でボソッと呟くキャロであった。
ルカ「えっと…守護騎士には剣の騎士、湖の騎士、鉄槌の騎士、盾の守護獣の計4人らしいですが…」
シグナム「ああ、私が剣の騎士、シグナム」
シャマル「湖の騎士、シャマル」
ヴィータ「鉄槌の騎士、ヴィータ。」
ザフィーラ「盾の守護獣、ザフィーラ。」
アリサ「犬が喋った…フェイトのペットのアルフと言い、魔法の世界は不思議で一杯ね」
ブイモン[いやいや、デジモンに比べれば遥かに常識的じゃないか?]
普通の世界の常識も、魔法界の常識も簡単に覆すデジモンに比べればザフィーラやアルフは遥かに常識的ではなかろうか?
賢「まあ、どちらが常識的かどうかは置いといて。何とか闇の書を探そう。ロストロギアなら余計にそのままにはしておけない…管理局にバレない内に何とかしなくては」
大輔「お前らは闇の書の一部なんだろ?闇の書の居場所とか分かんねえか?」
シグナム「すまない、私達も探してはいるのだが…」
シャマル「ごめんなさい」
大輔「そうか…」
ザフィーラ「今まで、闇の書が主の元を去ることはなかった。我々にとってもこれは初めてのことなのだ。すまないが力になれそうもない」
ヴィータ「何とか見つけられねえかな?」
全員がうーんと頭を悩ませるが、次の瞬間、ゲンナイからの通信が来た。
すずか「ゲンナイさん?」
ゲンナイ『大変じゃ、選ばれし子供達よ。異世界でデジモンが出現したのじゃ、しかもただのデジモンではない。暗黒の力と不思議な力で生み出されたコピーデジモンじゃ』
大輔「不思議な力?」
ゲンナイ『うむ、突如異世界に現れた妙な書物から発せられた力で生み出されたようじゃ』
全員【書物!!?】
“書物”という単語に反応した全員にゲンナイはうろたえた。
大抵軽く流されるから、この反応は予想外だったらしい。
大輔「もしかして闇の書じゃねえか!!?」
フェイト「その可能性が高いね!!」
ユーノ「ちょっとまずいんじゃないんですか?異世界にあるなら管理局に察知される可能性が!!」
賢「確かに。急ごう!!」
シグナム「私達は…」
遼「お前達はここにいろ。危ないから」
シグナム「私達が足手まといだと言いたいのか?」
少し不機嫌になるシグナムに遼は首を横に振る。
遼「相手が魔法生物なら連れて行ったさ。でも相手はコピーとは言えデジモンなんだ。いくらベルカ式が強力でも危険すぎる。」
なのは「ルカ君、ベルカ式って何?」
ルカ「僕も噂でしか聞いたことがありませんが。その昔、ミッド式と魔法勢力を二分した魔法体系です。遠距離や広範囲攻撃をある程度度外視し、対人戦闘に特化した魔法。優れた術者は騎士と呼ばれます。シグナムさん達は正にそれですね…」
フェイト「ベルカ式…か…」
ティアナ「それより急ごう!!管理局に知られる前に!!バレたら私、兄さんに叱られちゃう!!」
スバル「うん、早く行こう!!」
ギンガ「行ってきます!!」
大輔達が転移し、闇の書のある世界に向かうのだった。
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