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ワールド・エゴ 〜世界を創りし者〜

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parallel world4 -『神殺し達』-

 
前書き
友夏さんの『兵藤一誠』は性格、能力にアレンジが加えられている為、神崎弓奈さんの神風和人君同様に半オリキャラと判断させて頂きます。あと、後々強化はしますが、周りのチートさに兵藤兄妹が翻弄されてます。友夏さん、申し訳ない。 

 
 兵藤一誠は、ただひたすら考えた。

 今周りにいる化け物共はなんなのか。何の為に自分達を襲っているのか。俺達を殺す事で何のメリットがあるのか。

「キシァァァァ‼︎」

「うぉらっ‼︎」

 飛び掛かってくる形容し難い化け物の心臓部に鉄拳を叩き込み、その体を消し飛ばす。
 遠く離れた空に居るカラスの形をした黒い塊が、その体内から雷撃を放ってくる。

「里奈‼︎」

「分かりました!」

 里奈の『虚無』で雷撃を一つ残らず消去する。だが、状況は全く変わっていない。

「クソッ!なんだってこうなった!」

「わかんないよ!今は兎に角耐えよう!」

「畜生……!」

 悔しいが、今は亜紗の言う通り耐えるしか無いと思われた。
 四方八方を化け物に塞がれ、逃げ道は無い。ならば道を作ればいいという話なのだが、道を作るには化け物共の再生速度は早すぎた。

 自分で言う事では無いが、自分達はかなりの実力者だ。
 下手な神なら簡単にねじ伏せられるし、雑魚程度なら何匹集まろうが一瞬で終わらせる自信がある。

 つまり、この軽く1万は超えそうな数の化け物共は、それぞれかなり強力な神クラスの実力を持っている事になる。
 位で言えば、オーディンやスルト、伊邪那岐大神などが妥当だろうか。
 全ての遠距離攻撃は里奈の『虚無』が、近距離からの攻撃は俺と亜紗が全て放たれる前に潰しているが、もしも躱して大地に直撃した時の事なんて想像したくもない。良くて地球が壊れ、悪ければさらに太陽系の惑星にも影響が出てくるだろう。

「クッソ、面倒だ……‼︎」

 立ち並ぶ化け物共の中に入り込み、一気に殲滅する。
 それでも化け物は湧き、減るどころか増えるような錯覚すら感じる。
 しかし恐れているヒマは無い。少しでも数を減らさなければ__

「……なかなかしぶといな……」

 ゾクゥッ‼︎

 身体中に鳥肌が立つ。
 味方ではない。敵なのは確定だ。殺意はこちらに向けられている。
 神か?いや、神ですらここまでのプレッシャーを放つ者は居ないだろう。

 強い。勝てない。殺される。逃げられない。

 闇が集まり、その形を生み出していく。

 その漆黒の『ソレ』は、酷く冷たい視線をこちらに向けた。

「死ね」

「…………ッッッッ‼︎」

 咄嗟に、『逃げろ』と叫ぼうとした。
 だが、声が出ない。

 筋肉が固まり、脚が震える。全身から汗が滲み出る。

 その無慈悲な闇が振り上げられ、三人を覆い__

「やれやれ……全く、なんでこんな事をしなきゃいけないんです?」

 突如現れた結界が、暗闇を抑え込んだ。

「彼らも死んでしまっては困る人材なんですよ。助かります、『タツさん』」

 二人組だ。一人は全身真っ白の少女。もう一人は茶髪と黒髪が混じったような髪の青年。この結界の主はこの二人の内のどちらかという事になるのだろうか。

「さて、『兵藤一誠』『兵藤里奈』『兵藤亜紗』ですね?一緒に来てもらいますよ」

「……は?」

「……ましろさん、連れて行くならさっさとして下さい。これでも結界を維持するの、かなり疲れるんですよ?」

「ええ、すぐに連れて行きます。もう少し耐えて下さい。……と、言う訳で話は後です。今は黙って従って下さい」

「ちょっ、待……」

 その言葉を言い終わらぬ内に、ブォン、という音と共に、目の前に現れた隙間が自分達の体を飲み込んだ。

「……ッ!そろそろ……良いですか……ッ⁉︎」

「はい、転移は成功しました。すぐに脱出しましょう」

「ッたく、面倒臭い……!」

 二つの影が、続けて消える。

 その場に残されたソレは、直前まで結界で封じられていた体から力を抜いた。

「……また、邪魔が入ったか」

 大して怒りも悔しがりもしていない顔を虚空へと向け、やがてソレは闇へと溶け込んだ。

 先程までの戦闘音が嘘だったかのように、その場に静けさが溢れかえった。

























「で、それに協力しろと?」

「はい、そういう事です」

「……あのなぁ……」

 一誠は頭を抱えた。里奈と亜紗も訳がわからないと言いたげに首を傾げている。

「いきなり『世界が危ないから、救うために力を貸してくれ』とか言われて信じる馬鹿が何処にいるよ。大体、仮に本当だったとして、さっきのから見る限り俺よりあんたらの方が強いんじゃねぇか!十分だろ!」

 耐え切れない。と言いたげに一誠はましろと呼ばれる少女に叫んだ。
 少なくとも今、この部屋には自分達を除いて五人居る。
 ましろという名の少女に、タツと呼ばれた不思議な威圧感を持つ青年。
 まだ名は知らないが、尋常ではない雰囲気を醸し出す三人組。
 彼らが一人一人、自分達よりも強い力を持つ事はすぐに理解した。

「戦いには、相性という物があります。私では今回の騒動を解決できませんが、貴方達ならば可能性があります」

「無いね。相性以前に力の差があり過ぎる。さっきのを見る限り俺はアンタに勝てないだろうさ。
 そんなアンタがどうやっても倒せない相手を、俺が倒せると思うか?」

「勿論今のまま戦えとは言いません。その前に力を付けて頂きます。目処はついてますので」

「ってか俺たちがアンタらに協力するのは確定かよ⁉︎」

「ええ、拒否権はありません」

 少女はあっさりと答える。

「こんのヤロ……」

「どの道、従った方が得だと思いますが?
 あなた方も、私達に協力するのとさっきのような戦闘を延々と続けるのでは、どちらが損か分かっていますよね?」

「ぐっ……痛いところを……」

 一誠が言葉に詰まっていると、少女はサラッと爆弾を投下した。

「心配ありません。あなた方の世界の時は今止まっています。問題なく元の日常に戻れるでしょう」

「……は?」

 __あなた方の世界?時は止まっている?

 __いや待て、どういう事だ。

「ちょっと待て!質問させてくれ!」

「どうぞ」

 どうやら質問ぐらいは聞いてくれるらしい。まず一つ目の疑問をぶつけた。

「あなた方の世界ってのはどういう事だ」

「文字通りです。ここはあなた方の住まう世界の……言うなればパラレルワールドといった所です」

「待て、もしそんなもの存在したとして、なぜアンタはそれを軽々移動できる」

「軽々も何も、ここにいる人たち全員自分の力で世界の一つや二つ渡り歩けますよ?」

「……待ってくれ、頭が痛い」

 幾ら神をも殺すと言われている一誠達とは言え、こればっかりは驚きを隠せなかった。

 世界を渡り歩くなど、自分達が言うのもなんだがどこのファンタジー小説だ。
 一誠達が知る神器の中にも、そんな桁外れの能力は存在しない。

 そんな反則級の力を、コイツらは軽々使うというのか。

 有り得ない。

「……で、二つ目。時は止まっているとは?」

「こちらも文字通り。こればっかりはマスターの力を借りていますが、あなた方の世界の時を完全に停止させています」

「……マスターとは?」

「私のマスター、『アルヴァート・ルーク・マレイド』の事です。
 恐らく彼は、このメンバー程度なら全員でかかってもまず勝てません」

「おい待て、そのマスターがやればいい話だろうが」

「それは出来ません」

「どうして?」

「マスターの中にある力こそが、今回止めるべきものだからです」




 __…………は?





 本日二個目の爆弾、投下。












 世界転生まで、あと66時間。
 《滅びの依り代》の完成まで、あと64時間。

 
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