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美しき異形達

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第四十四話 薊達の決意その四

「そういうことでね」
「それで色々わかればいいな」
「そうだね」
「ああ、そういえば錬金術っていえば」 
 ここでだ、薊は話題を少し変えた。今度の話題はというと。
「あれだよな」
「あれとは」
「サン=ジェルマン伯爵とかさ」
 まずはこの人物の名前を挙げた。
「パラケルススとかカリオストロ伯爵とか」
「そういう人達のことをだね」
「ああ、そうした人達って実在か」
「そう言われてるよ」
「それでサン=ジェルマン伯爵は不老不死か」
 薊は腕を組み真剣に考えている顔で智和に話した。
「あらゆることを知っていて」
「そしてそれはどうやらね」
「本当にことなんだな」
「僕はそう思ってるよ」
「実際にその人と会ってみたいな」
 薊は智和に真剣そのものの顔で言った。
「そんな凄い人ならな」
「そうだね、僕もね」
「先輩も会いたいんだな」
「どれだけ凄い人かね」
 知りたいというのだ、それで彼はこうも言った。
「お祖父さんも会いたいって言ってたよ」
「先輩のお祖父さんの」
「実はお祖父さんはオカルトについても研究していたんだ」
 智和はここで新たなことを話した。
「科学一辺倒じゃなくてね」
「じゃあ錬金術もか」
「そう、研究していたんだ」
「先輩がそっち方面を否定しないこともか」
「お祖父さんの影響もあるんだ」
 実際にそうだというのだ。
「科学は万能でないし科学だけのものではないっていうこともね」
「お祖父さんに教えてもらったんだな」
「そうだったんだ」
 この真実も話すのだった。
「それでサン=ジェルマン伯爵にも」
「会いたいんだな」
「そう思っているよ」
「それでその人は」
 裕香もだ、智和にサン=ジェルマン伯爵について尋ねた。
「何処におられるかは」
「全くわからないよ」
「神出鬼没の方なのですね」
「かつては屋敷を持っていたよ」
 フランスの宮廷に出入りしていた時にはだ、このことは確認されていて訪れた貴族もいた。そこで彼についての話を聞いたのだ。
「けれど今はね」
「何処におられるかは」
「わからないよ」
 そうだというのだ。
「それで急に思わぬ人のところに出て来るんだ」
「急にですか」
「ナポレオンの前にも姿を現したと言われているし」
 それに、というのだ。
「チャーチルも会ったとか」
「本当ですか?」
「伝説、歴史の表では話されないことだよ」
「表では」
「そう、裏でしかね」
 話されないことだというのだ。
「決してね」
「けれど公式にですよね」
「実在は確認されているんだ」
「フランスにいた頃は」
「死んだとも言われていたけれど」
 これが、なのだ。この人物については。 
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