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オズのベッツイ

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第三幕その四

「私は貴方達のことを考えるとね」
「気球をですね」
「借りるべきだと思うわ」
 そして山脈を越えようというのです。
「是非ね」
「ううん、それじゃあ」
「図々しいとは思いますけれど」
「折角のご好意ですね」
「羊飼いさんが言って仰ってくれるなら」
「僕達としては」
 これが五人の返事でした。
「お願いします」
「そうして頂けなら何よりです」
「気球使わせて下さい」
「是非」
「お借りさせて下さい」
「わかった、ではな」
 羊飼いさんは五人の返事に笑顔で応えました、そしてです。
 皆にです、こう笑顔で言いました。
「わしの家に行くか」
「はい、そしてですね」
「そのうえで」
「わしが気球を出すからな」
 そしてというのです。
「一旦来てくれ」
「わかりました」
 五人は羊飼いさんに応えました、そして。
 ベッツイ達も一緒に行きます、羊飼いさんのお家に入った時にです。
 ベッツイは羊飼いさんにです、こう言いました。
「久しぶりにお会い出来ましたし助けてくれますし」
「何かのう」
「お昼ご馳走しますね」
「いやいや、そんなのはいいよ」
 笑ってです、羊飼いさんはベッツイに答えました。
「別に」
「それではお昼を一緒に食べませんか?」
 羊飼いさんが遠慮したのを受けてです、今度はこう提案しました。
「どうでしょうか、それなら」
「お礼じゃなくてかい」
「はい、ご一緒になら」
「ふむ、好意を断るのはな」
 お友達のそれをです。
「失礼じゃしな」
「それではですね」
「わしも一緒に食べさせてもらっていいか」
「はい、是非」
「それではな、これからな」
「一緒に食べましょう」
「あのテーブル掛けから出すのじゃな」
 羊飼いさんもこのことを知っているのでした、テーブル掛けのことを。
「そうじゃな」
「はい、そうです」
「それでは羊を出すか」
「マトンですか?ラムですか?」
「ラムがいいのう」
 羊飼いさんが食べたいのはこちらでした。
「今日は」
「ラムですね」
「最近オズの国も料理が増えた」
 それで羊飼いさんもというのです。
「わしも色々食べる様になったがな」
「そうですね、私が最初にこの国に来た時よりも」
「料理が増えたわ」
「食材も」
「それでわしも色々食べる様になったが」
「羊料理もですね」
「シシケバブも好きでな」
 そして、というのです。
「ジンギスカン鍋も好きじゃ」
「和食ですね」
 恵里香がその料理の名前を聞いて言いました。
「あのお料理ですね」
「あれは確か元々日本の料理じゃったな」
「はい、そうです」
 恵里香は羊飼いさんに日本人として答えます。
「北海道の方のお料理です」
「北海道?」
「日本の北の方にあります」
 北海道と聞いて首を傾げさせた羊飼いさんにです、恵里香はにこりと笑ってそのうえで説明したのでした。 
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