美しき異形達
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第四十三話 街道での死闘その十五
「江田島もまた同じといいますか」
「横須賀以上にだよな」
「そうです、海軍さんの街です」
そうだというのだ。
「あの場所は」
「そうだよな」
「薊さんは江田島に行かれたことは」
「まだないんだよ」
「そうですよね」
「いい場所って聞くけれどな」
だが今は、というのだ。
「ないんだよ」
「行かれるといいです」
「合宿先はさ」
拳法部、そしてモトクロス部のだ。
「どっちも江田島じゃないからな」
「だからですね」
「まだ行く機会ないんだよ」
「では機会があれば」
その時は、と言う桜だった。
「行かれて下さい」
「そうさせてもらうな」
薊は桜のその言葉に頷いて応えた。
「絶対に行きたいって思ってるしな」
「それで、ですね」
「楽しみたいな」
江田島という場所を、というのだ。
「観てみてな」
「いい場所ですから」
「海軍さんのことがわかってか」
「それだけではなくです」
歴史的なものを学べるだけでなく、というのだ。
「風光明媚な場所でもあります」
「凄く奇麗なの、海がね」
裕香も江田島について目を輝かせて話す。
「何もかもがね」
「そんなにか」
「そう、凄く奇麗だから」
それで、というのだ。
「泳いでも凄く気持ちいいの」
「いいな、あたし泳ぐの好きだしさ」
薊は水泳も得意だ、運動神経のよさと持久力はそちらでも活きているのだ。
「一回本当に行ってみたいな」
「ホテルに泊まるの、合宿の時は」
夏休みのその時はというのだ。
「旅行前に行って来たけれどね」
「ソフト部はそうだったよな」
「凄くよかったから」
「拳法部は六甲でさ」
薊は自分の部活の合宿場所のことも話した。
「それでモトクロス部は淡路だったからな」
「江田島で合宿しない年もある部活もあるのよね」
「どの部も江田島って訳じゃないからな」
「だから薊ちゃんはね」
「次の機会だな」
「そうなるわ」
江田島に行く時は、というのだ。
「その時に楽しんできてね」
「そうさせてもらうな」
「食べものも美味しいから」
「牡蠣に広島焼きに柑橘類です」
桜はこの三つをだ、薊に紹介した。
「どれも素晴らしいです」
「そこで絶対にお好み焼きって言わないよな」
薊は広島焼きという言葉に反応した。
「関西の人は」
「お好み焼きは大阪のものだけですから」
「どうしてもね」
裕香も行って来る、関西人として。90
「そこは引けないわ」
「広島焼きも確かに美味しいです」
桜はこのことは認めていた。
「お酒にも合います。ですが」
「お好み焼きは大阪のものだけよ」
「ですからそこは」
「何としてもね」
「そこは難しいな」
薊は関東生まれの人間として言うのだった。
「何か凄いこだわりだな」
「まあね、お好み焼きについてはね」
「どうしてもですね」
「引けないものがあるわね」
「そこは」
「そうか、まあ仕方ないな」
また言う薊だった。
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