極短編集
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短編12「絶対、出ません!」
我が家は旅行に来ていた。今日泊まる事になっている旅館についた時、妻が言った。
「ここ、なんかヤバくない?」
古いが、決して汚い印象ではない旅館だった。でも、確かにどことなく雰囲気が変だった。
その夜の事だった。
「ね~ね~パパ起きて~!」
と、子ども達の言葉に目が覚めた。
「なんかいる」
障子のしまった窓の向こう。その向こうに気配を感じた。
「なんか変な感じする」
妻が目を覚ました。
「キャー!」
妻は窓を見て叫んだ。
「わー!」
「パパ~ママ~!」
我が家は大騒ぎになった。
ドタドタドタ!
その声に、懐中電灯を持った旅館の仲居さんがやって来た。
「どうしましたか!?」
「いっ今、窓の外に何かが!」
そう言うと仲居さんは……
「大丈夫です!本当に大丈夫です。何かの見間違えです」
と、言った。
「ほっ、本当ですか?」
と、聞くと仲居の人は、ニコニコしながら力強く言った。
「本当です!だって……
絶対、この部屋には出ませんから」
おしまい
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