ソードアート・オンライン 蒼藍の剣閃 The Original Stories
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ALO編 Running through in Alfheim
Chapter-13 仲間との絆
Story13-6 不思議な精霊
シャオンside
約一時間の休憩のあと、ルグルーの町を出発した俺たち。
空で飛行を楽しんでいた。
「うーん……俺は走るの好きだけど、こうやって飛ぶのもいいなぁ」
「ALOの最大の魅力だもん。楽しまなくちゃ損だよー」
「そうだな。しばらくは空の旅を楽しむか」
そんな俺ののんびりムードを遮るように出てきた、7匹の羽が生えた単眼の大トカゲ。
「セイ兄、気をつけて。こいつら、1匹でも初級ダンジョンのボス級の戦闘力を持ってるから。
あと、厄介なところは一ツ眼から放たれる邪眼。
カース系の魔法攻撃で食らうと一時的だけど、大幅なステータスダウンを強いられるから」
基本戦術で言えば、距離を取って1人が援護に、もう1人が攻撃を行うらしいが……
「セオリー通りなんて、楽しくないだろ」
あの世界でも、俺はセオリー破りをやってみせた。最低限ないといけない防御力を、俺はすべて敏捷力に注ぎ込んだ。敵が攻撃するより速く敵を倒す……それが俺のスタイルだった。
かつての相棒だって、俺のスタイルに慣れている。防御や回避など俺の辞書にはない、と言わんばかりのバーサークっぷりを見せつけ、次々とトカゲを叩き落としていった。
尾を使って遠距離攻撃をするトカゲ? そんなん知らん。
とにかく強力な一撃で、7匹いたトカゲはあっという間に消滅し、その数を減らした。
5分経たないうちに、最後の一匹になり、その一匹もHPが残り二割ほどに減らしたところだったのだが、情けない悲鳴を上げて、そのトカゲは逃走に走ってしまった。
「あ、こら、待て!!」
俺はトカゲを追って行く。
「セイ兄待って~!」
マリンの声など、その時は聞こえてなかった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
トカゲを追いかけて倒した時には、どこぞとも知れぬ祠の近くにいた。
「はぁ、はぁ……セイ兄速いよー」
「あー、わりぃ。追いかけるのに夢中になってさ」
「それにしても、セイ兄の戦い方……強いんだけどムチャクチャだよね」
「そうかー?」
「普通なら、もっと回避を意識してヒットアンドアウェイを繰り返すものなのにセイ兄のはヒットアンドヒットだもん」
「その分早く片付いていいじゃないか」
「今みたいな一種構成のモンスターならね。
近接型と遠距離型の混成だったり、プレイヤーのパーティーと戦闘になった場合は、魔法で狙い撃ちされるから」
「魔法ってのは回避できないのか?」
「セイ兄さっき避けてたじゃん」
「そういえばそうだったな」
「セイ兄、眼はすごくいいし身体能力高いからホーミングも避けちゃうんじゃないかな」
「さすがにそれは無理だ」
「でしょうねー……」
そこでマリンは言葉を切り、辺りを見回す。
「で、ここはどこだろう……?」
「祠かなんかだろ。とりあえず入ってみよーぜ」
「う、うん」
とにかく、中に入ってみたかった俺は入った。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
中に入って数分後、俺たちは一つの宝箱を見つけた。
「これって……?」
「ワナじゃないとは思うけど」
「なら開けるか」
ガチャ ヒュン
「うおあっ!?」
「ひゃっ!?」
中から勢いよく飛び出してきた何かにびっくりする俺たち。
「やっと出られましたー」
飛び出してきた何かに目を向けると、わずかに透き通る水色の少女。
8歳ぐらいだろうか。レイと同じぐらいだ。
「箱を開けたのはあなたですかー?」
「あ、はい、そうです」
「ありがとうございますー。たまたま入った箱に閉じ込められちゃったんです」
「あ、そっすか……で、君は誰?」
「ミリシャ・ディオーネ・ディ・サラヴィマーナ……ミリシャかミリーと呼んでください」
はぁ……なんかよくわかんない。
「セイ兄、これ、多分精霊だよ?」
「精霊?」
「サーバーに9つしかない、超レアなものなの。
祠の位置が著しく変化するし開けてもその人のステータスが精霊と合わないと話すら出来ないんだから」
「私たちの力は相応のステータスでないと扱えませんからー」
ドシン ドシン
響く足音。これは……
「岩系のモンスターか」
「私を閉じ込めたのはこのモンスターです」
「セイ兄、ヤバいよ。HPゲージが2本ある」
確かに2本ある。だが、あの世界で俺はこんなモンスターの比にならないようなモンスターを相手にしてきた。
「相手のHPゲージなんて、知ったことか。
さぁ、ひとっ走り……付き合えよ!」
メテオレイヴァーからのサークリング・クレッシェンドで相手の懐で弱点を突き続ける。
「よし……これで!」
「パパ、まだです!」
レイの叫びが聞こえる。
「なにっ!?」
俺がサークリング・クレッシェンドを出し終わったそのタイミングに合わせて、強烈なパンチ攻撃。
固すぎてHPを削りきれていなかったことに俺は気づいていなかった。
「くっ…………あれ?」
剣を構えて防御体勢をとったが、いつまでたってもこない衝撃。
目の前を見ると薄い水の膜があった。モンスターはその薄い水の膜にパンチを撃ち込んだらしい。
「なんだ……これ?」
「私の能力ですー。限界突破しても体が壊れないように水流で守るんです」
「と言うことは?」
「あなたは今、自分の意思で加速できます」
「へぇー……まるで俺のスキルみたいだ。
んじゃま、いきますか!!」
再び剣を構え直す。
「星の光よ……すべてを越えて降り注げ」
これはあの世界で放った連二刀流スキル最強技……
「スターライト・ライジングアクセレア!」
星の光が降り注ぐように放たれるこの75連撃は俺がソードユニゾンを使う前に使っていた技。
ミリーの加護もあってか通常の数十倍の速度で放たれる。
「せぁぁぁぁあっ!!」
弱点をぶち抜くとモンスターは四散。
俺は背中の鞘に剣をしまった。
「とりあえず、ここから出るか」
「あ、ちょっと待ってください」
「ん? どした?」
ミリーが開けられた宝箱の中から剣を2本取り出す。
「これは私が守護する人にしか扱えない剣アストラルコンダクターとデスティニークリエイターです。
受け取ってください」
「あ、ああ。分かった」
俺は背中の剣のうち、スターライトクリエイターを外してデスティニークリエイターを装備すると、スターライトクリエイターとアストラルコンダクターをしまった。
ミリーが少女から小さな妖精の姿に変わると俺の肩に座る。
「へー、レイみたいな妖精サイズにもなれるんだ」
「はい。多分、これからはほとんど妖精サイズです。
じゃあ、これからよろしくお願いします」
「よろしくな、ミリー」
「よろしくお願いしますね、ミリシャさん」
「じゃあ、しゅっぱーつ!!」
不思議な精霊、ミリーを仲間に加えた俺たち。アルンに向けて祠から飛び立った。
Story13-6 END
後書き
Askaさんのコラボのプレゼントとして、提供されたミリシャ、ここで使わせてもらいました!!Askaさんありがとうございます。
シャオン「にしても不思議な精霊だな」
これからだよ、これから。ミリシャが活躍するのは。
てなわけで、次回、ようやくキリトはルグルーの町かな?
シャオン「遅いなー。まぁ、いつか合流出来るだろうし気長に待っとくさ」
じゃあ……
シャオン「次回も、俺たちの冒険に! ひとっ走り……付き合えよな♪」
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