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ドリトル先生と二本尻尾の猫

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第二幕その二

「君は猫又に会ったことがあるのかな」
「あるよ」
 実にあっさりとした返事でした。
「何度もね」
「そうなんだ」
「うん、僕はこの家の猫だけれど」
 猫はここで自分が今上にいる壁の内側にお顔をやりました、そこには奇麗な少し大きめのお家があります。
「この辺りにもいるよ」
「へえ、そうなんだ」
「うん、それでその猫はね」
 ここで猫がさらに言おうとしたところで、です。
 猫は不意にです、こう先生に言いました。
「御免御免、時間だよ」
「時間?」
「うん、うちの坊ちゃんが帰って来る時間だよ」
 だからだというのです。
「迎えに玄関まで行って来るよ」
「そこは僕達と一緒だね」
 老馬は猫ににこりとしてその猫に言います。
「先生が一人で出た時はね」
「そうそう、玄関まで行ってね」
「迎えるんだね」
「そうしてくれたら喜ぶから」
 だからというのです。
「僕もね」
「そうするんだね」
「そうだよ、じゃあ悪いけれど」
「うん、またね」
 先生がにこりと笑ってその猫に応えます。
「ここを通った時はね」
「僕がいればね」
「お話をしよう」
「先生はね」
 それこそというのです。
「僕達皆が知っているから」
「何かあれば」
「うん、お話をしよう」
 こう先生に言ってでした、猫はひらりと壁の下、お家の方に降りてです。そのうえでお家の玄関の方に向かいました。
 その猫を見送ってからです、老馬は先生に言いました。
「残念だけれど」
「うん、猫又のことはね」
「詳しく聞けなかったね」
「そうだね、けれどね」
 それでもと返す先生でした。
「この八条町にもいるみたいだね」
「猫又がね」
「そういえばこの町には」
 先生は考えるお顔になって述べました。
「妖怪変化もね」
「いるね」
「特に八条学園には」
「そうそう、気付いてる人もいるね」
「あそこはかなり妖怪が多いよ」
「色々な妖怪が出入りしているね」
「そして住んでいるよ」
「あの、何歳かな」
 老馬はここで考えるお顔になって述べました。
「百五十歳だったかな」
「あの博士だね」
「うん、あの博士の周りはね」
「妖怪が集まっているね」
「そしてあの博士も多分」
「身体的にはね」
 それこそとです、先生もそこはわかっています。
「妖怪になっているね」
「そうだよね、けれど妖怪もイギリスの妖精も」
「そう、心だよ」
「心は僕達と変わらないね」
「魔物ではないよ」
「妖怪と魔物は違うね」
「化けものって言葉があるけれど」
 その言葉はと言う先生でした。 
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