戦え!!正義の兄弟戦士ジャスティスカイザー
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第十六話 町田大尉!!路線変更はどうなる!その十
「三十なら俺達守備範囲内ですよ」
「リアル人妻はないですけれど人妻風ならいいです」
「アラサーもアラフォーもオッケーです」
「例え七十でも外見三十ならいけます」
「そうだな、いい方だ」
悪田部の言葉は何時の間にか現在形になっている、そのうえでさらに言うのだった。
「交際してから二十年、今は三十五に見えない」
「いや、今その人九十ですか」
「それで悪田部さんその九十の方ともですか」
「お付き合いしているんですか」
「それで、なんですね」
「私の守備範囲は無限だ」
俺の胃袋は宇宙だ、と同じリズムでの言葉だ。
「素晴らしい女性なら九十でも百でもだ」
「ですか、負けました」
「やっぱり悪田部さんは凄いです」
二人は悪田部の言葉にがっくりと肩を落とした。完全に敗北を認めた姿だ。
「俺達は流石に九十ですと」
「幾ら外見が若々しくても」
「ちょっと以上に無理です」
「もう守備範囲外です」
「まさに場外ホームランです」
「捕れません」
「そこが私と君達の違いだな」
DTと千人以上の女性と関係してきた男のだ。
「私は普通に大丈夫だがな」
「ううん、もう言葉もないです」
「九十ですか」
「冗談抜きに老衰する年齢ですよ」
「殆ど漫画じゃないですか」
「らんぽうじゃ百三十二歳で子供産んだ婆ちゃんいましたけれど」
「漫画ですから」
週刊少年チャンピオンで長い間連載していた、内崎まさとし原作だ。
「それでも普通は」
「やっぱり四十代までじゃ」
「まあ俺達の基準ですけれど」
「それが限度ですね」
「そうか、尚この方はフランス人でだ」
そして、とだ。悪田部はこんなことも言った。
「ディアヌ=ド=ポワティエの末裔らしい」
「ええと、ディアヌ?」
「何かややこしい名前ですね」
「フランスのヴァロワ朝の頃の美女で国王アンリ二世の愛人だった」
それがそのディアヌ=ド=ポワティエである。
「老け込まない美貌で二十歳も年下の国王の心を永遠に虜にした」
「二十歳年下の、ですか」
「それはまた凄いですね」
「六十の時に三十代にしか見えなかったという」
「それで悪田部さんはですか」
「その末裔の方とですか」
「お付き合いしたんですね」
二人はその事情も理解した。
「それで今も」
「その方が九十になられても」
「資産家の未亡人だ」
この黄金の設定まで加わるというのだ、その美女には。
「顔もスタイルも絶世の美女だ」
「一回その人とお会いしたいですね」
「超絶美魔女じゃないですか」
「何か俺達も」
「お会いしたくなりました」
「その九十で三十五にしか見えない人に」
「是非共」
二人は悪田部に目をギラギラと煩悩で輝かせて頼み込んだ。
「それで悪田部さんさえよかったら」
「本当によかったらですよ」
「その時はです」
「是非俺達に」
「私は交際しているが恋人ではない」
これが悪田部の返答だった。
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