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ドリトル先生と二本尻尾の猫

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第一幕その九

「先生の奥手さは酷いから」
「そうよ、ここは一気によ」
 それこそというのです。
「先生からアピールしないと」
「その為にもダイエットをね」
 是非にというのです、ですが先生はです。
 やっぱり今一つ浮かない顔で。こう返すだけでした。
「そうしないと駄目かな」
「だから何時まで独身なのか」
「一生?」
「サラさんもう結婚してるよ」
「それで子供さんも二人いるのに」
 お兄さんの先生はというのです。
「ずっと独身なんて」
「そんなの駄目に決まってるじゃない」
「人生は結婚してから本当のはじまりっていうし」
「そもそも先生日常生活はさっぱりだから」
「世事には疎いから」
 それもかなりです。
「確かに僕達やトミーはいつも一緒だけれど」
「先生世の中のことは何も知らないから」
「私達がいても心配で見ていられない時があるのよ」
「それに子供もいて家庭がないと」
「先生も充分じゃないわ」
「だからね」
「もうそろそろ」
 ダイエットして女の人に受けるスタイルになって、というのです。
「結婚しよう」
「相手の人が来てくれる為にも」
「ここはダイエット」
「少しスリムになろう」
「僕もやっぱり」
 トミーも先生に言うのでした。
「その方がいいかなって」
「トミーも思うんだ」
「はい、先生なら大丈夫ですよ」
 こうも言いました、先生に。
「いい人見付かりますよ」
「そう言われると急かされているみたいだよ」
「実際急かしてます、本当に日笠さんは」
 あの人はというのです。
「どうでしょうか」
「そうそう、あの人ね」
「あの人性格いいわよ」
「奇麗だしね」
「女性的で料理上手だし」
「それじゃあね」
「いいんじゃ?」
 動物達もまた言います、とかく結婚のことは色々と言われる先生でした。ですがそうしたお話はいつも通りです。
 何か気付いたら終わっていてです、先生は枝豆を食べつつ焼酎を楽しんでいました。そしてその焼酎を飲みつつ皆に言いました。
「いや、美味しいね」
「焼酎美味しいですか」
「うん、飲みやすいよ」 
 見ればお湯割りの焼酎を飲んでいます、お顔がもうほんのりと赤くなっています。
「この焼酎もね」
「それ芋焼酎です」
「薩摩芋から作ったものだね」
「はい、鹿児島の」
「九州の一番南にある」
「あそこで作られたものです」
 それが今先生が飲んでいる焼酎だというのです。
「スーパーで買ってきました」
「へえ、スーパーでこんな美味しいお酒が売っているんだ」
「そうなんですよ」
「いいね、日本は何処でも美味しいものが入るね」
「お酒屋さんでもいいお酒が売っていて」
「そこでも買っているんだね」
「お酒屋さんだと日本酒とか凄いですよ」
 どう凄いかもです、トミーは先生にお話しました。 
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