ドリトル先生と二本尻尾の猫
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第一幕その五
「あの人達は」
「そうそう、どちらもね」
「日本じゃどっちの動物も人気があるね」
「イギリスでも狐は人気があるけれど」
「狸はね」
「いないせいもあるし」
それでなのです。
「あまりね」
「そう、狐程人気がないよ」
トミーはこうジップにもお話します。
「日本はそこが違うよ」
「狐も狸もね」
「君のご親戚がね」
その人達こそがというのです。
「一杯いて。化けてね」
「愛されてるよね、日本の人達に」
「そうだよ」
「そして犬の妖怪もいて」
「猫の妖怪もいるんだ」
その彼等もというのです。
「化け猫とか猫又ね」
「猫又のことは聞いたけれど」
それでもというのです、鼠のホワイティは自分達の天敵である猫のことを気にしながらこうしたことを聞きました。
「化け猫ってどんなのかな」
「猫又も化け猫の一種だよ」
先生がホワイティの質問に答えます。
「それでね」
「化け猫は妖怪なんだね」
「これまで僕達が会ってきた狐さんや狸さんと一緒だよ」
「化けて人と一緒に住んでいるんだ」
「人間としてね」
その仮の姿で、というのです。
「そうしているんだよ」
「そうなんだ」
「あれっ、けれど化け猫って聞くと」
豚のガブガブがふと思ったことはといいますと。
「猫又よりも怖い気がするね」
「あっ、そうね」
家鴨のダブダブがガブガブの言葉に応えます。
「言われてみれば」
「どうしてかわからないけれどね」
「狐さんや狸さんと違って」
「おどろおどろしい?禍々しい?」
オウムのポリネシアがこう言います。
「そんな感じがするわね」
「ただ化かして皆と一緒にいるだけじゃない」
今度は梟のトートーでした。
「襲う様な気がするけれど」
「どうしてかね」
「わからないけれど」
雀のチープサイドの家族もそうしたことを感じています。
「何かね」
「訳がわからない位に」
「怖いっていうか」
「不気味な」
「それは佐賀のせいかな」
先生は何故か化け猫と聞いて怖いものを感じている皆にこのことをお話しました。
「佐賀藩の化け猫だね」
「佐賀藩?」
「それ何なの?」
「江戸時代の日本は今の都道府県じゃなくて幕府と各藩に分かれていたんだ」
先生はオシツオサレツに応えて皆にこのことからお話しました。
「そしてその藩の一つがね」
「あっ、佐賀藩だったんだね」
猿のチーチーが言います。
「そしてその佐賀藩に」
「そう、化け猫のお話があるんだ」
「その化け猫って怖かったんだ」
老馬が応えます。
「そうだったんだ」
「そう、佐賀藩に祟って物凄く怖いことになったんだ」
「だからなんだ」
「化け猫というとね」
それこそなのです。
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