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小さな信頼

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2部分:第二章


第二章

「まさに化け物だよ」
「じゃあ絶対にやっつけないとね」
 ダビデはすぐに言った。
「いけないよね」
「おい、簡単に言ってくれるな」
 兄は彼の今の言葉にだ。呆れた顔で返した。
「御前ゴリアテがどういう奴かわかってるのか?」
「だからペリシテ人の敵だよね」
「ああ、そうだよ」
「それで物凄く大きくて力が強いんだよね」
「わかってるじゃないか。そういう相手なんだぞ」
「だから勝てないっていうんだね」
「誰もあいつには勝てないんだよ」
 こうだ。自分の顔を見て問う弟にだ。真剣な顔で話すのである。
「絶対にな。勝てないんだよ」
「絶対ってないよ」
 ダビデは兄の言葉をこう言って否定した。
「そんなことはないよ」
「ないっていうのか」
「どれだけ大きくて強い奴でも」
 どうかというのだ。ダビデは確かな言葉で話す。
「勝てるよ。方法はあるよ」
「本気で言ってるんだな」
 兄は真剣な顔を険しくさせて弟に尋ねた。
「その言葉は。本気なんだな」
「本気だよ。僕は嘘は言わないよ」
「ふん、嘘でなくてもな」
「嘘でなくても?」
「できることとできないことがあるんだ」
 兄はあくまでこう言ってだ。弟の言葉を否定する。肯定しようとはしない。
「それは絶対に無理なことだ」
「そう言うだね。それじゃあね」
「それじゃあ?」
「僕がそのゴリアテをやっつけてあげるよ」
 ダビデは胸を張ってだ。そうしてだ。
 兄に対して言う。自分がゴリアテを倒すとだ。
「そうするよ。それじゃあいいよね」
「おい、ゴリアテを倒すのか」
「だから倒すよ。僕がね」
「本当にとんでもなく大きくて強い奴なんだぞ」
「だから。大きさや力の強さの問題じゃないから」
「それで負けても知らないぞ」
「負けないよ。僕は勝つよ」
 満面の笑顔で言い切るダビデだった。
「まあ見ていてよ」
「言ったな。じゃあ鎧と剣を持って来るからな」
「ああ、そういうのはいいよ」
 兄がすぐに兵士の鎧や剣を持って来ようとしればだった。
 ダビデはそういったものはいいとした。そしてこう兄に話すのだ。
「だって。動きにくいから」
「動きにくい!?」
「そうだよ。鎧も剣も銅でできていてとても重いからね」
 それでだというのである。
「いらないよ。そういったのはね」
「じゃあどうして戦うんだ」
「スリングがあるよ」
 ダビデは腰のところから布を出してきた。石をそこに入れて相手に向かって投げる。ごく簡単な誰でも扱える武器である。それを出してきたのだ。
「これがね」
「御前まさかそれで」
「そうだよ。ゴリアテをやっつけるよ」
 屈託のない笑顔で兄に話す。
「そうしてやるんだ」
「全く。御前という奴は」
 兄はほとほと呆れ果てた声でだ。彼に言う。
 
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