| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

魔法少女リリカルなのは 絆を奪いし神とその神に選ばれた少年

作者:レゾナ
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第十話 るいへの虐め

アリサ達が記憶を取り戻してから何が変わったかと言えば……昼休みにアリサとすずかはなのは達とは離れて全と一緒に昼食を食べるようになった事だろう。

これに関してはなのは達も驚いて理由を聞こうとするのだが、アリサ達はのらりくらりと質問を躱す。

というのも、アリサとすずかは記憶を取り戻す方法を全から聞いており、なのは達も過去に全と出会い大切な時を過ごした事。そして、出来ればその時の事を全は思い出して欲しいという事。

これにはアリサ達もすぐさま了承した。というのも皆仲良しが一番だと考えたからである。

しかし、まずは彼女達に記憶との齟齬を感じてもらえなければならない。

そのためにアリサ達はどうすればいいのかと考えたが……これといった事が思い浮かばなかった為、普通に過ごすという選択肢しか取れなかった。

しかし、アリサ達は全と過ごしたい。失った記憶を思い出した為、今までの高宮への好意が全への好意に変わった為、いつもより全と過ごせるようにお昼休みには一緒に昼食を食べる事になった、という訳だ。

このお昼を一緒に過ごすという事に関して高宮は全に詰め寄るが全自身には何が何なのか分からないためこちらもはぐらかす、というより訳が分からないと言うしかない。

それでもしつこいので全としては甚だ迷惑なのだが。

そんな日々が過ぎていき……今は秋。衣替えの季節であり、制服も今日から冬服に変わる事になる。

「ふぅ……後で夏服はクリーニングに出さないとな」

『そうですね。その方がいいでしょう』

そう決めた所で、学校へと向かう。教室につき、読書する。

ここまではいつも通りだった。

しかし

「おはようっ」

「「「「……っ」」」」

るいが教室についた瞬間、教室の雰囲気が変わった。

「……?」

全は教室の異変にいち早く気づいた。

(何だ……?何か、雰囲気が変わった……?)

全は先ほどまでとまるで違う教室の雰囲気に疑問を持つ。

そして、先ほどまでと違う点を探す。

そして気づいた。るいが登校してきているのだ。

(るいが来た事が原因?でも、何で……)

そしてその事実にるいは気づいていない。

「?おはよう」

「お、おはよう……」

「……??」

るいにおはようと挨拶された女子は何だか嫌々挨拶したみたいな感じでせっせと離れていく。

るいに何かがあるのか。しかしるいにその自覚はない。

るいは訝しげながらも自身の席につく。

この異変が後に大問題になる事をこの時、全は気づかなかった。
































それからというもの、次々と異変が起きていった。

まずるいの筆箱が無くなった。これはすぐに解決された。

今度はるいの教科書が無くなった。これは教室のゴミ箱の中から発見された。

そして……今度はるいと話す女子や男子の数が減っていった。

それも徐々にである。

これに関しては全は昼食を食べる時にアリサ達に聞いてみた。何か変わった事はなかったかと。

「いえ?別に無いわよ。ねぇ?」

「うん。特に変わった所とかなかったけど……」

そして二人からの解答は何もない。

しかし、全はこんな感じを知っていた。それも前世で。

「二人共、俺は……るいは今、虐めを受けている可能性があると思っている。それも同性である女子にな」

「「えっ!?」」

二人は全の言葉に驚きを隠せない。

全が虐めを受けている可能性があると考えた理由は二つ。

まず、るいだけが狙われている事。これに関して言えば別に単なる嫌がらせという可能性もあっただろう。

もう一つの理由は……全の前世に関する。

実は全の前世の幼なじみが小学生の時虐めを受けていた。それも今回と同じようなパターンでである。

虐めていたのは、何と女子。理由は「誰にも愛想笑いして気持ち悪いから」という身勝手な理由である。

この虐めも女子からの物だとすれば全てが一致する。

「ちょ、ちょっと全。虐めって何でるいがそんなの受けないといけないの?」

「多分、理由としては虐めを受けても自分達に何も被害が来ないと思ってるから……」

「被害が来ない?」

「ああ、例えばアリサやすずか。アリサは大財閥の長女。すずかも当然結構裕福な所の次女。フェイトやアリシアは留学生という立場だから迂闊に手を出せない」

そんな大財閥のご息女を虐めてしまえば自分達に何かしらの報復が来るかもしれない。

そう考えたのだろう。

「なのははこの海鳴で有名な翠屋を経営している家族の次女。そんな子に手を出せば店の経営に影響してしまうしね。ここも女子が虐めをしているという理由の根拠の一端」

「となると残っているのははやてかるい。るいが選ばれたのは多分……珍しい髪色をしていて目立つから」

「そんな理由でっ!?」

「ひどいよっ!」

アリサとすずかはそう非難するがそれも仕方ないと全は思う。

人間というのは自分とは違う存在を受け入れようとしない。

あそこまで目立っていればそのような対象になる可能性だって充分にある。

「一先ず、俺たちに出来る事はできるだけ目立たないように相手の正体を探る事。それ位しか出来ない」

「ちょっと待ってよ。私達はともかく何で他の女子とかも無視したりするの?」

アリサがそんな疑問を全にぶつける。

確かにそこもおかしい。主犯の女子達だけがやればいい筈なのにクラスの女子さえも無視したりするのはおかしいのだ。

「そこも分かってる。多分女子達には何かしらの脅迫メールを送ってるんだ」

「脅迫メール?」

「ああ、何かしらの弱みを握っているか……それとも……」

「それとも……?」

「先輩としての命令か……」

それも全が考えている予想の一つ。目立っているるい達を妬んだ先輩の仕業、という可能性だ。

「最っ低!先輩として礼儀という物がないのかしらっ!?」

「落ち着け。俺はあくまで可能性の話をしているんだ。これが真実だ、という証拠が何一つないし、断定するのは難しい」

全はアリサを宥める。このままではアリサは一人で突っ走ってますます虐めの主犯の思うツボになると思ったのだ。

「全……」

「全君……」

アリサとすずかが呟く。やはり親友の事が心配なのだろう。

(どうにかしてやらないとな……)

全はそう固く誓った。

るいSIDE

最近、クラスの皆が私と話さなくなった。

こんな思いを私は前世でも受けていた。

あの時は確か……主犯は同じ女子だったと思う。

誰かが助けてくれたのは覚えてる。でもそれが誰かを思い出せない。

「大丈夫か、るい?」

「え?ええ、大丈夫よ」

聖が心配そうに私に話しかけてくる。

多分聖にはそういうのはいっていないのだろう。それもそうだ。聖は正義感が強い。こんなのは絶対に許さない。

だからこそ、私は聖に惹かれているんだと……

(…………?何、今の……?)

その時、私には変なビジョンが見えた。

そこは教室。でも今着ている制服じゃない。前世で通っていた小学校が指定していた服だ。

そこでも私は虐めを受けていた。

沈んでいる私に話掛けてくれた人がいた。

『大丈夫か、○○?お前一人じゃないんだからな。俺だってついてる』

『○○……うん、ありがとう。私、負けない。虐めなんかに、絶対に』

『うん、その意気だ!俺も協力する。絶対に打ち勝とう!!』

『うんっ!』

その時の私は本当に……いい笑顔をしていた。

そういえば……あんな笑顔をしたのって……いつからだっけ……?

それと……何であの笑顔を……忘れていたんだろう……?

「どうかしたか、るい?」

「い、いえ。何でもないの……」

聖はそこまで私を心配していないのだろうか……今見えた妙なビジョンにいた男の子と聖を比べてそんな事を思っていた。

私は、今度も負けないんだろうか……いや、負けちゃいけないんだ。

私は……絶対に……負けないって、誓ったんだ……!

SIDE OUT 
 

 
後書き
ここまでくれば、るいの前世が分かるでしょう。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧