ソードアート・オンライン~狩人と黒の剣士~
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最終章:地を駆ける英雄
前書き
まずは一本目!
三百年の停滞の幕引きであり、同時に剣戟と殺戮の世の幕開けでもあるその現象は、ソルスの朱い輝きが地平に没すると同時に訪れた。
五千の人界軍も、五万の侵略軍も、一様に息を潜め、ただただ目を見開いた。
創世の時代より地上に立ち続けた大門は、無限に等しい天命の最後の一滴がこぼれ落ちた瞬間、まるで死に抗う様に巨獣の雄叫びに似た地響きを轟かせた。
数秒後。
二枚の岩板の中央に、天辺から根元まで一直線の亀裂が音高く走った。その内側から光がほとばしる。
そして、遂に東の大門は上部から崩壊し始めた。
「うわ~、すっごいねぇ……」
ウィザードラゴンに跨がり、銃撃眼『遠距離眼』でその崩壊を見ていた。
「遂に始まるのね……人と人との殺し合いが」
「そうね……」
その後ろで、ユイリ、ユリアが言う。
それを聞くと、再び遠距離眼で大門を見る。
既に半ば近くまで無数の瓦礫になり、消えていく。ご都合主義と言えばそこまでだが、何よりもラース連中のコレをロードは許しておける筈もない。
(……帰ったらライトの分までなぐってやる!)
ロードは右手に持つ『騎士王達の両手銃』の握り手を更にきつく握ると、フィナティオの声が聞こえる。
「第一部隊、抜剣!戦闘用意!!術師隊、治癒術詠唱用意!!」
「んじゃ、俺達も行くよ!!」
マッハドライバー炎を着けると、二人もそれぞれドライバーを着ける。
『シグナルバイク!』
『キンキンキンッ!』
「レッツ『変身』!」
『ライダー!マッハァ!!』
『タカ!クジャク!コンドル!タ~ジャ~ドル~!!』
マッハ、オーズ、龍騎が戦場に立つと、前方から、津波の様な轟きが凄まじい高速で迫る。
大門から二百メル手前の防衛線に並ぶ、三百の衛士に加わった心理的重圧は恐るべき物だろう。
が、それでも逃げ出さないのは、一重に等間隔で並ぶ、騎士達の背中だろう。
左翼にエルドリエ。
中央に指揮官のファナティオ。
右翼をデュソルバート。
全身鎧を纏う彼等を前に、逃げ出すものは居ないだろう。
「……まぁ、俺達も戦闘が始まり次第、高威力攻撃開始、ここの兵士達を死なせるなよ!」
『任せて!!』
オーズは右翼のデュソルバートの方へ行き、龍騎は左翼のエルドリエ。俺は中央のファナティオの護衛に入る。勿論、出来るなら真正面突破をしたい物だ。
「来たか、ロード」
「どーも、ファナティオさん」
何時になく本気の俺に、ファナティオが言う。
「……あまり貴様の力を過信するなよ?死んでは元も子も無いのだから」
「鬼の副長に言われると頭が痛い……」
言うと、ファナティオは少し笑う。
「……で、本気で実行する気か?アリスの神聖術に寄る広範囲の消滅など」
「ああ……。でなければ勝ち目が薄い……」
「成る程な……ま、ウィザードラゴン置いてくから好きに使ってくれよ」
「済まない」
俺はウィザードラゴンから降りると、そこにライドマッハーが現れ、それに乗り込む。目の前の軍勢はジャイアント族。ファナティオはすぐに剣を構え、狙撃銃を持つ様な格好になる。
「うっし……頼むぜ騎士王の両手銃……?」
ライドマッハーに乗り込んで、騎士王の両手銃を構えると、途端、夜闇に光が灯る。
途端、ファナティオが叫ぶ。
「リリース……リコレクション」
そして、放つ。
「貫けーーー光!」
「ブラスターマグナムッ!」
ズバァアアアアッ!
熱線が同時に放たれ、ジャイアント族を吹き飛ばしていく。
「フィナティオ、ジャイアント一人転けて右胸ヒット!あと、その背後にいたジャイアントは全損!!」
「済まない!頼む!!」
フィナティオの言葉通りにライドマッハーを発進させると、ゼンリンシューターを構える。
前に出ると、同族を追い越し、ゴブリン達を潰しながら凄まじい勢いで突進してくる。
「お前の相手はーーーー俺だ!!」
ライドマッハーから飛び上がり、巨大な戦鎚を振り回すジャイアントに……
『ヒッサツ!フルスロットル!トマーレ!』
ゼンリンシューターにシグナルトマーレをセットし、打ち込んだビートマッハーの効果で、ジャイアントは動きを止める。
『ヒッサツ!フルスロットル!マッハ!!』
「フッ!」
そのまま何回転もの前方宙返りをすると、急降下してジャイアントを貫く。
「でっ、でっ……」
何かしら言うと、ジャイアントはポリゴンと化して消滅した。
「さぁ……次の奴は誰だぁああああああっ!!」
叫びながら、シフトデッドヒートを装填する。
『シグナルバイク!シフトカー!ライダー!デッドヒート!!』
デッドヒートマッハになると、そのまま大軍に突撃していく。
(守る!ライトの様に……皆を!!)
「イャアアアアアアアッ!!!」
ゼンリンシューターを何度も叩き込み、ゴブリンと追い付いたジャイアントを吹き飛ばしていく。
「ハァアアアッ!」
『シグナルバイク!シグナルコウカン!カクサーン!!』
すぐにゼンリンシューターにセットすると、放つ。
『ヒッサツ!フルスロットル!カクサーン!!』
「ラァアアアアアッ!!」
阿修羅か鬼か、はたまた悪魔か。
ロードはたがが切れたように目の前の敵を殲滅していく。
「うぉおおおおっ!」
遂には重加速を引き起こし、吹き飛ばしていく。
彼はもう、全てを壊す鬼と化した。
「くっ……不覚……!」
「済みません!気付いていれば……!」
デュソルバートとオーズ……ユイリがうめくと、前に出る。
「……行きます!」
『プテラ!トリケラ!ティラノ!プットッティラ~ノザウルース!!』
プトティラコンボにコンボチェンジすると、メダガブリューを取り出す。
すると、デュソルバートが言う。
「何をする気か?」
「決まってます……私達の戦いは、守る為の戦いです!」
プテラアイに見えている敵を捉え、数少ないセルメダルを入れて砕く。
『ゴックン!プットッティラ~ノヒッサーツ!!』
「皆さん、離れてー!!」
ユイリの声に合わせ、全体が動くと、ストレインドゥームを放つ。
途端、全てを飲み込み、ゴブリン達を吹き飛ばしていく。
「ユイリ・エルステール!……私は、あなた達を倒す!!」
そう宣言すると、金色のコアメダルをセットしてスキャンする。
『スーパー!スーパー!スーパー!スーパータカ!スーパートラ!スーパーバッタ!ス・ゥ・パー!タトバ!タットッバッ!スーパー!!』
スーパータトバコンボにコンボチェンジすると、飛翔する。
「くっ!ユリア!!」
「任せてっ、下さいぃいいいいい!!」
『シュートベント』
メテオバレットを放ち、周囲の煙を吹き飛ばしていく。
「エルドリエさん!後方部隊が!!」
まず最初に見たのは第二に配置されている筈の整合騎士が姿を消していること。それは不幸の何物でも無かった。
「レンリは何をしている!!」
エルドリエが叫ぶと、ユリアが動く。
「後方は任せてください!!前方をお願いします!!」
「済まない、頼む!!」
エルドリエに頷くと、トリックベントで分身。そして、二枚のサバイブカードを手渡す。
「お願い!!」
分身は頷くと、サバイブ・疾風と無限でそれぞれ変化し、ドラグレイダー、ドラグフェニックスを呼び出してそれぞれに対処させる。
『アドベント』
「来なさい、ドラグランザー!!」
途端、ドラグランザーが現れ、バイクモードになる。
それに乗り込み、暫く走っていると、ゴブリンの軍勢が現れた。
「ま・ち・な・さぁあああい!!」
『シュートベント』
メテオバレットを放つと、道が出来、そこを通ってそこに居たレンリの真横に停める。
「レンリさん、ここに居たんですか!?」
「ゴメン……」
ユリアは呆れると、その回りにあるポリゴンを見る。
「……まぁ、二人を守ってくれた事には感謝します!ドラグランザー、ブレス!!」
再びモンスターモードになったドラグランザーがブレスを放つと、何体ものゴブリンらが焼き付くされる。
そこに、分身達も現れる。
「あんたたちは後方の支援!出来るなら被害を最小限に押さえて!!」
ドラグレイダーとドラグフェニックスに乗る分身が頷くと、飛んでいく。
「レンリさん!行きますよ!!」
「ええええっ!?」
「アンタそれでも整合騎士かぁあああああ!」
鉄拳制裁を食らわせると、ユリアは言う。
「整合騎士なら!人を守らなくてどうすんの!!先輩達も命かけてんのよ!?アンタが縮こまってどうすんのよ!!」
すると、レンリが何かを決意したかのように、頷く。
「……解った、行こう」
「よし!……キリトはお願いね!二人とも!!」
ユリアは言うと、ドラグランザーに乗って、レンリと共に前に出た。
「ふざけんなぁああああああああっ!!」
『ヒッサツ!フルスロットル!カクサーン!!』
無数の打撃を放ち、ロードは進軍を塞いでいた。
まさに修羅と言うべきか。時折、フィナティオの遠距離攻撃が在るとは言え、その数割は殆どロードによる攻撃が原因だった。
「そろそろ……か!!」
ライドマッハーに乗り込み、一気に下がると、そこに光の熱線が落ちてきた。
「うぉおおおおおっ!!」危うく巻き込まれる所だったロードは、完全に冷や汗をかいていた。
(あ、危ないだろこれ!!本当の戦争なら、地球壊れてるぞ!?)
ロードはアリスに恐怖しながらも、称賛した。
前線に戻ると、そこにはアリスとそれを囲む整合騎士、そして、オーガが居た。
「なっ!」
ライドマッハーから降り、様子を伺うと、アリスがオーガを斬った。
(おっふ……怖いなアリス)
変身を解くと、アリスに近付いて行く。
「アリス!」
「ロード……先程のオーガから重要な話が聞けました」
ロードはそれを聞くと、頭を押さえてしまった。
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