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魔法少女リリカルなのは ~Emperor of the ⅣGOD~

作者:不死廃人
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ジュエルシードの脅威

 
前書き
こんにちは、第4話目です。
なんとか少しづつですが話を長くかけるように努力しています。
では、どうぞ暖かい目でご覧ください。 

 


黒い生き物に隙を突かれ、道路を粉々にするような強力な突進されかけた俺、空野燈嗣は突進を喰らうかと思ったその時、辺りを眩く照らした一筋の光によってそれを逃れた。その光が収まった時、光の中心にいたのは幼馴染の見慣れない格好をした高町なのはであった。
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俺はまだ自分の目の前で起こった光景に頭の回転が追いついていなかった。黒い生き物に窮地まで追いやられた俺を助けたのは光の中から現れた幼馴染、その恰好は...なんというかとても綺麗だった。手には先のほうに赤い野球ボールサイズの宝石をつけた機械じみた魔法の杖のようなものを握っていて、白をベースとしたワンピースのような服の上に長袖の丈が短いベスト、こちらも白色が目立つものだった。袖や服のところどころに青色の線が入っているのも見える。胸のあたりには真っ赤なリボンが...ってあれ?気のせいかな、学校の制服を連想させるような恰好にみえてきた。
そんなことを考えているとフェレットがこっちに駆け寄ってきて膝をついている俺の身体をつたって、肩にちょこんと乗ってきた。

「ありがとう、あなたのおかげで余裕をもって彼女に換装をさせてあげることができました。お怪我はありませんか?」
「う、うん、大丈夫だけどあれはやっぱりなのはなの?」
「ええ、今はバリアジャケット...いえ、防護服のようなものを装着していますが彼女で間違いありません。ここからは危険ですのであなたはさがっていてください。」
「!?まさか、なのはに戦わせるの!!?無茶だよ、それより俺にもあのバリアジャケットっていうのを貸してもらえないの?」
「残念ながら、僕が持ち合わせているのは彼女が使っているレイジング・ハートのみ...あなたの分はありません。すみません.....。」

......なんてことだ、なのはに魔法の力を与えてもらって自分のことだけでも守れるような力を持っているだけでよかったのに、逆に戦いのために前に出てもらうことになってしまうとは。

「うそぉ、なっなんなのこれぇ!?」

ぶおおおと低いうなり声をあげ、黒い生き物がなのはに気づきその巨体を近づけている。気のせいだろうかさっきまでなかった触手のようなものが黒い生き物から生えていてうねうねと不気味な動きをしている。

「ふぇぇぇぇぇぇぇ!?」

少し情けなく聞こえるような悲鳴をあげ、なのはは後ろの壁に向かって後ずさりをする。壁に背中がついたところで

「ふぇ!?えええぇ!?こ、これなに!??」

手に杖のようなものを持っていることに気づいたなのはは驚きを声にする。今気づくことじゃないでしょ、なのは!と心の中でツッコミをいれる。
すると、黒い生き物が足のようなものをめりこませるように道路に踏み込んだ。

「!!っ来ます!!」
「え!?」

フェレットの声が上がったと思うと、黒い生き物はそのまま上空に巨体を打ち上げた。そしてそのまま重力に身を預けるように、身体をまるごとなのはのほうに落としてきた。ゴウッと音を立て雄叫びのような声をあげ、黒い生き物がなのはを襲う。

「危ないっ!!っつ!!」

さっき足をからませたとき気づかないうちに挫いたのだろう。右足首が急に動こうとしたとたん悲鳴を上げた。声を出すことしか出来ず、なのはが潰れる!!と思ったとき

《Protection.》

聞きなれない声とともに襲いかかってきた黒いのに向かってなのはを守るように半透明のバリアのようなものが張られているのが目に入った。黒いのがそのバリアにぶつかった瞬間、その身体を四方八方に飛び散らせ、道路や側面の壁につぶてのように突き刺さった。
とっさに身体をひねらせフェレットを両手で抱え、近くの電柱に自分の身を隠した。つぶてが止むと俺が隠れていた電柱が音を立てて反対側の壁に倒れ掛かるように崩れ落ちた。

「あ、あっぶなかった~。」
「とも!?ごめん、だいじょうぶ!?」
「な、なんとか~....。」

目を真ん丸とさせて驚いている俺になのはが心配そうに声をかけてくれる。いや~電柱がなければ即死だった....。

「僕らの魔法は発動体に組み込んだ “プログラム” と呼ばれる方式です。そして、その方式を発動させるために必要なのは術者の精神エネルギーです。」

方式?精神エネルギー?なにやらちんぷんかんぷんなことをいうフェレットだね。
黒い生き物との距離を離しながら走っている俺となのはは二人ともよくわかんないような顔をしている。黒い生き物は飛び散った身体の一部を元の身体に戻すように再生を始めている。まるでスライムのようだ。

「そしてあれは忌まわしい力により生み出されたしまった思念体。あれを停止させるにはその杖で封印して元の姿に戻さないといけないんです。」
「よくわかんないけど、どうすれば?」
「さっきみたいに攻撃や防御の基本魔法は心に願うだけで発動しますが、より大きな力を必要とする魔法には呪文が必要なんです!」
「呪文?」
「心を澄ませて、心の中にあなたの呪文が浮かぶはずです。」
「そんな無茶な....。」

心の中に浮かぶって、決まり文句とかじゃないの?と思っているとなのはは目を閉じて精神を集中させるような態勢をとった。
再生を終えた黒いの改め、黒スライムがこちらめがけて突進してきた。

「不死身なの、あいつは....?」
「あなたは下がっていてください。今から封印を始めます。」
「...なのは?できるの?」

心配になってなのはに問うと

「うん、よくわかんないけどなんだかできそうな気がするの。ともは下がってて。」

自信がついたような顔でこちらに頷いてみせたなのはにこちらも頷き返し、フェレットとともになのはの後方へと下がる。突進してくる黒スライムはその勢いを殺さないまま飛び上がって、身体から触手を放ってきた。
先ほどとは違い、両手でしっかりと杖を持ってそれを前に突き出したなのははさっきの謎の声とともにバリアを前方にむけて張った。

《Protection.》

向かってきた触手はなのはの張ったバリアにあたり、跡形もなく消滅した。
それを見た黒スライムは驚いたようにその目を見開き、怒ったような声をあげて次の攻撃の態勢に入った。すかさず、なのはが封印の呪文を唱えだした。続いてフェレットもサポートに入る。

「リリカルマジカル!」
「封印すべきは忌まわしき器!ジュエルシード!!」

.....ジュエルシード??なんかどこかで聞いたことがあるような......。

「ジュエルシード、封印!」
《Sealing mode,Set up.》

なにかを思い出そうとしているとなのはの封印の魔法が発動し始めた。
持っていた杖が少し伸びて、その伸びた部分から三翼の光の翼が出現した。その光の翼のまわりからリボンのような光が黒スライムに伸びてゆきその巨体を無数のリボンで縛り上げた。黒スライムは低い悲鳴を上げたかと思うと額に『ⅩⅩⅠ』という文字を浮かび上がらせた。

《Stand by ready.》
「リリカルマジカル、ジュエルシードシリアル21、封印!!」
《Sealing.》

なのはの掛け声とともに杖の宝石部分がまばゆい光を放ち、再び光のリボンで黒スライムを拘束し始める。さらに追加で杖から放たれた光弾が黒スライムの身体をザクザクと突き刺す。敵ながら少しだけ可哀そうだと思ってしまった。
すると、黒スライムの巨体が光りだし、まぶしくて目を閉じてしまった。次に目を開けた時にはあとには何も残らなくなっていた。代わりに手のひらサイズの暗い青色の宝石がそこにはあった。

「これがジュエルシードです。レイジング・ハートで触れて。」

なのはが持っている杖、レイジング・ハートでジュエルシードに触れると

《Receipt No.21.》

とレイジング・ハートの中へと吸い込まれていった。
するとなのはも元の服装へと戻り、レイジング・ハートも宝石の状態に戻ってしまった。

「あ、あれ?終わったの?」
「そうみたいだね。お疲れ、すごかったよなのは。あんな怪物を閉じ込めちゃうなんて。」
「え、えへへ。そんなすごいことしたつもりはないよぉ。」

俺が素直にほめて顔をつめよるとなのはは頬を赤くして照れくさそうに笑った。
よかった......特に怪我はしてなさそうだ。あのバリアもそうだけどバリアジャケットっていうのも中々の強度っぽいな。

「いや、すごいことですよ。あなたのおかげで、それにあなたも。自らおとりになってくれるなんて....ありがとう.........。」

そういうとフェレットはぐったりと地面に倒れてしまった。

「ちょっと、だいじょうぶ!?ねぇ?」
「やっぱり怪我が治っているわけじゃなかったんだ。早くどこかで休ませてあげないと....。」

と俺がいうとどこからともなくサイレンが聞こえてきた。おそらくこの騒ぎを近所の人が警察に通報してパトカーが駆けつけたのだろう。となると今度は俺たちが危ない。こんな現場にいたら補導されちゃうし父さんたちにも迷惑をかけてしまう。

「なのは!とりあえず、人気がないところまで逃げよう!!」
「う、うん!」

なのはがフェレットを抱えて、俺が空いているほうのなのはの手をとり二人で一刻も早くこの現場から離れるべく夜の町を二人で駆け出した。走っている中なぜかなのはの顔はずっと赤く染まっているように見えた。




「はぁはぁ。」
「ここまで来れば、大丈夫でしょう。つ、疲れた~。」

近くにあった公園まできて、なんとか一息つくことができた二人と一匹。
辺りは真っ暗で近くにある街頭が唯一の明かりだった。目の前には少し大きい池があり、街灯の光を反射している。街頭の近くのベンチに座り一休みしていると申し訳なさそうな声で

「すみません.....。」
「あっ、起こしちゃった?ごめんね、乱暴で。けが痛くない?」
「怪我は平気です。もうほとんど治っているから。」

そういうとフェレットは一つ身震いをして、身体に巻き付いていた包帯を振りほどいた。驚くことに夕方あたりまで傷があったそこには全くと言っていいほど傷がなくなっていた。

「ほんとだ。けがの跡がほとんど消えてる。すごい.....。」
「これも魔法の力なの?」
「はい、お二人のおかげで残った魔力を治療に回せました。」
「よくわかんないけど、そうなんだ。ねぇ、自己紹介していい?」
「あ、うん。」
「えへん、わたし高町なのは。小学校三年生、家族とか仲良しの友達はなのはって呼ぶよ。」
「俺は空野燈嗣。なのはと同じ小学三年生だよ。ともって呼んでくれていいよ。」
「僕はユーノ・スクライア、スクライアは部族名だからユーノが名前です。」
「ユーノ君かぁ、かわいい名前だね。」
「よろしくね、ユーノ。」
「......すみません。あなたたちを.......。」
「名前で呼んでくれてもいいんだよ?」
「なのはさんたちを巻き込んでしまいました。」
「あ、その......。」

どうやらこのフェレットもといユーノは責任感がとても強いらしい。さっきから何度も謝ってくるのをみると、本当に申し訳ないと思っている気持ちが伝わってくる。

「えと、たぶんわたし平気!ともだってあなたに迷惑かけられたなんて思ってないよ。」
「そうだよ、ちょっと驚いたりはしたけど俺たちたいして怪我はしてないから大丈夫!」
「そうだ!ユーノ君怪我してるんだしここじゃ落ち着かないよね。とりあえずわたしの家に行きましょう。あ、とももだからね。」
「え?いや、おじさんやおばさんに迷惑をかけるわけにはいかないし...。」
「だいじょうぶ!お父さんとお母さんはともならいつでも大歓迎で迎えてくれるから。後のことはそれから!ね?」

ユーノに言い聞かせるようにしてなのはの家に向かって歩き出す。

「ほらぁ、とも!早くぅ~!」

本当に強制らしい。まあ、こんな夜に女の子一人じゃ危ないし家の前まで送っていくと考えてついて行こうかな。
そうして俺は、先に歩くなのはとユーノを追った。




なのはの家の門まで来るとなのはは戸に静かぁ~に手をかけこっそり玄関まで行こうとしていた。

「.........ねぇ、なのは何やってるの?」
「!?と、とも!いいからこっちきて!」

小声で俺を呼ぶなのは。いや、俺はあくまで送り届けるだけで家の中までついて行くとはいってないんだけどな~。しかも、なのはさんあのですね。右側をご覧いただくとわかると思うのですが...。

「...おかえり。」
「!?」

突然かけられた声になのはは肩をびくっと震わせ、ユーノをとっさに後ろに隠し、おそるおそる右側をみると、そこには。堂々と仁王立ちしたなのはの兄、高町恭也がそこにはいた。

「お、お兄ちゃん」
「こんな時間に、どこにおでかけだ?」
「あの、その、えぇ~っと...。」

何を言おうかしどろもどろになっているなのはちらっとこちらをみて助けを求めるような目線を送ってきた。すかさず俺は助け船をだそうと門をくぐろうとしたが今度はなのはの後ろから

「あら、かわいいぃ~!」
「お、お姉ちゃん!?」

と出てきたのはなのはの姉、高町美由希。美由希姉ちゃんもいたんだ。恭兄に気を取られて気づかなかった。

「あ~?なんか元気ないね?なのははこの子のことが心配で様子を見に行ったのね?」
「えぇ~っと、あの、その。」
「ほう、それはホントかな?門の外で覗き見している燈嗣クン?」

うぇ、やっぱりばれてた。相変わらず鋭いなぁ。恭兄には一生敵わなそうだよ。
がらっと門を開けなのはの家の敷地内に入った俺はなるべくなのはをフォローしようと口を動かす。

「こんばんは恭兄、美由希姉ちゃん。一応、俺もその場にいたんだけど父さんのおつかいで町まで出歩いてたらなのはを見つけて、それについていったらフェレットを迎えに行く途中だって聞いたから、俺も一緒に行くことにしたんだ。フェレットを見つけたからそのまま帰ってきてなのはを家の前まで送ってから帰ろうと思ったんだけど、あとはまあ今の状態みればわかると思うよ?」

うん、よし。嘘はついていないぞ。ただ魔法とかジュエルシードとかユーノが喋るとかだけを少し飛ばして話しただけだからなのはにもお咎めはないはず、たぶん。

「とも、あんた居たのね。全然気づかなかった~。」
「ふぅ、気持ちはわからんでもないが、だからといって内緒でっていうのは戴けない。」
「まあまあいいじゃない。こうしてともに送ってもらって無事に戻ってきてるんだし、それになのははいい子だからもうこんなことしないもんねっ?」
「うん....そのお兄ちゃん?内緒で出かけて心配かけてごめんなさい。」

ぺこりとお辞儀をして恭兄に謝るなのは。恭兄はまあいいだろうと言うように腕を組んで、「ん。」と一言だけ告げた。こちらも安心したのでふぅと一息つくと美由希姉ちゃんが

「はい、これで解決♪」

ぱんっと手を一拍打ってこの話はおしまいという合図をした。なのはと目が合い、どちらも安心したように笑顔で笑いあった。
姉ちゃんが「でも、かわいい動物ね~。」とユーノを愛でてる間に恭兄が

「手間をかけたなとも、ありがとうな。」
「?俺は送り届けただけだよ?」
「足怪我してるのにか?」
「そこもお見通しなのね、恭兄は....。」

敵わないなぁと再度認識して俺は寄ってけばいいのにと言ってくる高町兄妹たちをなんとかなだめて高町家をあとにした。
帰ったらお風呂に入りたいなぁ。あと明日なのはとユーノにお話し聞かないと。これからのことについてとかね。それにしてもジュエルシードどっかで見たことあるんだよなぁ。いつか思い出せるかな。
気長に思い出そうと安直に考えてしまった俺であった。




___________to be continue_______________
 
 

 
後書き
最後まで読んでいただきありがとうございます。
最初のジュエルシードの終わりまで書けました。
どうかこれからも続けて読んでいただけると嬉しいです。 
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