リリカルアドベンチャーGT~奇跡と優しさの軌跡~
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第百二話 ジョグレス失敗 キットコンナモン
前書き
ジョグレス失敗話。
エリオ「リリカルアドベンチャー、始まります。」
特訓の成果もあり、メタルシードラモンを難無く倒した子供達。
この調子で次のダークマスターズを倒しに向かう大輔達。
はやて「いやー、難無く倒せてもうたなメタルシードラモン」
アリサ「この調子なら究極体に進化しなくてもイケるんじゃない?」
大輔「んー?どうだろうな?メタルシードラモンに有効打を打てるスバルとギンガがいたからだからな。ピノッキモンとピエモンとじゃ事情が違うだろ」
ユーノ「確かに、言われてみればそうですね」
一輝「さあて、森と言えばピノッキモンだ。ピノッキモンは何処にいるのかねえ…」
アリシア「そう簡単に見つからないと思うけど…」
アリシアがそう言うと、子供達が異常を感じたのは、それから数十mほど進んだ頃であった。
視界の端を何かが猛烈なスピードで掠めていくことに気付き、怪訝な顔をして辺りを見回して驚愕する。
凄まじい速さで、周りの景色が流れていくのである。
足元を見てみれば、自分達が立っている地面だけがベルトコンベアのように前へ進んでいっていた。
賢「どうなっているんだ!?」
ユーノ「僕達のいる地面が、どんどん前に進んでいるんです!!」
慌てて一同は動いていない左側の地面へ飛び移る。
しかし、すると今度はこちらの地面が前へ動き出した。
逃げられない。
アリサ「ねえ、このまま進んでいったらどこに着くのかしら?」
ルカ「間違いなく、この先には敵が待っているでしょうね…」
なのは「ふええ!!?流石にこれは予想外だよう!!」
だが、このまま敵に振り回されるだけなのは悔しい。
子供達は機転を利かせ、傍の木に飛び移る。
流石に敵もそこまで考えてはいなかったのだろう、子供達がしがみついた木が動き出すことはなかった。
安堵の溜め息をつく子供達。
遼「ふう、流石にこう来るとは思わなかったぜ」
すずか「はい、この森のエリア全てに仕掛けを施していたんですよきっと」
賢「どうやら僕達の侵入はバレているようだ。今更隠密行動しても無意味。さあ、どうする?」
スバル「あれ!!?」
ルカ「スバル?」
スバル「なのはさん…消えちゃった…」
なのはが消えた。
大輔は思考を中断すると目を見開いた。
何が起きた?
敵の罠?
なのはは敵に連れ去られたのか?
大輔が考えを纏め終わるよりも前に他の子供達が消えていく。
まるで神隠しにあったかのように。
しかし、1人になったことで逆に冷静になれた。
大輔「(どうやら次の策を打ってきたようだな…それにしては、子供の遊びみたいだ。…無邪気な子供の遊び…自分が何をやっているのか理解出来ない小さな子供の遊び…。小さく無邪気だからこそ、他人の痛みが分からないからこそやっていることは残酷になれる子供の遊びってとこかな?)」
肝心の大輔も同じく消えて別の場所に移動したのだった。
そして移動を何度か繰り返され、キャロとルーテシアは偶然同じ場所に飛ばされた。
キャロ「一体何なの?これ?」
ルーテシア「分かんない。でも気をつけてキャロ」
キャロ「うん…」
ピノッキモン[あ~そ~ぼ~?]
キャロ「ひゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!?」
全員【!!?】
いつの間にか背後にいたピノッキモンに声をかけられたキャロはびっくり仰天し、ピノッキモンの森のエリアにキャロの悲鳴が響き渡った。
悲鳴が無くなった後、ルーテシア、グランス、エアは耳を押さえながらうずくまり、ピノッキモンはあまりの声の大きさにひっくり返っていた。
キャロ「びっくりしたよう……」
ピノッキモン[びっくりしたのは寧ろこっちだよ!!]
至近距離で悲鳴を受けたピノッキモンはキーンとなる耳を触りながら立ち上がる。
ルーテシア「ああ!!ピノッキモン!!」
ピノッキモン[ああ、まだ耳が痛いしキンキンするよ…遊びに来たよ。僕と戦争ごっこをするのだ。]
ルーテシア「戦争ごっこ?つまり戦うってこと?」
ピノッキモン[戦うじゃなくて戦争ごっこだよ]
ルーテシア「何処が違うの…。キャロ、キャロ。正気に戻って早く。ジョグレスするよジョグレス。」
キャロ「あうう…は、はいぃ…」
ルーテシア「(…大丈夫かなあ?)」
エア[ふふん、特訓して超パワーアップを果たした俺達に戦いを挑むとは!!]
グランス[いい度胸だね!!褒めてあげるよ!!]
ルーテシア「今の私達のジョグレス進化を見せてやる!!」
エア[くうう…やっと…やっと活躍出来るぞ…今まで他の連中が濃すぎて出番がなかったからなあ…]
グランス[うん…]
嬉しさのあまり感涙しているエアとグランス。
ピノッキモン[あ…そう…]
エア、グランス[[というわけで、待っていたぜピノッキモン!!この時を!!]]
ジョグレス進化をしていないのに見事なハモリっぷりを見せるエアとグランス。
ルーテシア「行くよキャロ!!」
キャロ「は、はい!!」
ルーテシアとまだビクビクしているキャロがD-3を構えた。
エア、グランス[[ジョグレス進化!!]]
ピノッキモン[っ!!]
ピノッキモンがハンマーを構えて警戒する。
大輔「おお!!」
キャロの悲鳴を聞いて大輔達もやって来た。
ディノビーモン降臨…。
アリシア「あ、あれ?」
ユーノ「ディノビーモン…にしては小さすぎるような…」
光に包まれているが、光の中のシルエットが気のせいか、小さすぎるような気がする。
ルカ「あ、あれは…まさか…」
ジョグレス進化を終え、光が消えた。
そしてその姿は…。
ピノッキモン[え…?]
[お前をダークエリアに送ってやるぜピノッキモン!!]
敵であるピノッキモンすら呆然とさせて偉そうなことを言うデジモンはディノビーモンとは似ても似つかない小さいカバのようなデジモンであった。
ヒュウゥ~……。
沈黙する大輔達とピノッキモンに冷たい風が吹いた。
フェイト「ああ、失敗だよ!!誰がどう見てもジョグレス失敗だよ!!」
はやて「出来損ないのディノビーモンやああああ!!!!」
ルカ「多分、ジョグレスの時、キャロさんとルーテシアさんの心のシンクロが上手くいかなかったんでしょうね。あれではディノビーモンというよりキットコンナモンですね。アニメオリジナルのアレ。まさかジョグレス進化失敗の制裁として現れるとは…」
何で知ってんの?
ティアナ「あれじゃあ一発でやられちゃうんじゃないの?」
ギンガ「格好悪いよ。ジョグレス進化やり直せば?」
賢「ジョグレス進化は一度進化すると一定時間を過ぎるまで解除出来ません」
一輝「あれじゃあ一分も持ちそうにねえけど、このままやるしかねえな」
フェイト「キャロ~…」
キットコンナモン[どりゃあああああ!!!!]
アリサ「ちょっと待ちなさい!!ストップ!!」
飛び掛かろうとするキットコンナモンをアリサが止める。
キットコンナモン[アリサ、危ないから少し離れてろ!!俺様があんな奴ぶっ飛ばして…]
アリサ「馬鹿も休み休み言いなさいよーーーっ!!そんないかにも戦いに不向きですと言っているような姿でどうやって究極体のピノッキモンと戦うつもりなのよ!!?」
キットコンナモン[フッ、俺様を甘く見るなよ!!んじゃ、行ってくんぜー!!]
アリサ「ああ!!?」
アリサの制止を無視してピノッキモンに飛び掛かるキットコンナモン。
しかしディノビーモンならともかく、並の完全体すら下回る失敗の出来損ない形態のキットコンナモンのスピードをピノッキモン程の実力者が見切れないわけもなく顔面にハンマーを叩き付けた。
キットコンナモン[ぶふぇ!!?]
ピノッキモン[ブリットマシンガン!!]
ハンマーのシリンダーから弾丸が炸裂し、キットコンナモンを吹っ飛ばした。
数回バウンドしながら岩に激突。
そしてフラフラになりながら戻ってきた。
キットコンナモン[ふ、ふふふ…この程度で俺を倒せると思ってんのか…?]
ドルモン[あ、いや…君、たったの二撃でズタボロじゃん]
キットコンナモン[ゴホン!!とにかく!!思ったより結構やるじゃないかピノッキモン!!だが、ここまでだ!!このディノビーモン様がカタをつけてやる!!]
全員【(どうやって?)】
キットコンナモンでどうやってカタをつけるつもりなのだろうか?
選ばれし子供達とパートナーデジモンズ共通の疑問である。
ピノッキモン[ブリットハンマー!!]
バキッ!!
ドカッ!!
ズンッ!!
ベキッ!!
ズギャンッ!!
ボグッ!!
ガスッ!!
ベキャアッ!!
ドガガガガガガガガガガッ!!
チュドオオオオオオオオオオオオオオオンッ!!!!!!
まるでサンドバック、もしくはもぐら叩きのもぐらの如くキットコンナモンをハンマーで殴るピノッキモンの構図は怒りを呼ぶどころか逆に笑いを呼ぶ程に非常にコミカルであった。
ブイモン[あらら…]
フレイモン[やばい。これは笑うべきか?]
一輝「どっちでもいいよ」
ピノッキモン[こいつでとどめだ!!]
ゴルフスイングの如く振るうピノッキモン。
キットコンナモン[どわああああ!!?]
スカッ
キットコンナモンは足を滑らせ、ギリギリでピノッキモンの攻撃を回避。
キットコンナモン[わたたた…]
ピュ~~~!!
ピノッキモンが再びハンマーを振り下ろす前にキットコンナモンが射程範囲から凄まじい速度で離脱。
ピノッキモン[待てーーーっ!!]
ピュ~~~ッ!!
逃げるキットコンナモンを追い掛け始めるピノッキモン。
ルカ「出来損ないが色んな意味で幸いしたようですね。いくらピノッキモンが強くても、いや強いからこそ、キットコンナモンの突拍子のない動きが読めないみたいです。」
すずか「これなら案外ジョグレス解除可能になるまでの時間は稼げるんじゃないでしょうか?」
賢「そうだといいんだけどね」
フェイト「と、とにかく助けに行かないと!!」
そして助けに向かう大輔達だが、追いかけっこのような小間抜けな戦いを繰り広げている二体にやっぱこいつら放っておこうかなと思ってしまった。
アリシア「…ほっとこうかな…?」
ルカ「いや、流石に駄目でしょう。」
ティアナ「私達に任せて!!」
ストラビモン[ストラビモン超進化!ガルムモン!!…ソーラーレーザー!!]
ピノッキモンの眼前でレーザーが通り過ぎ、レーザーが消えた時にはキットコンナモンを見失ってしまった。
賢「よくやったよティアナ。これならジョグレス解除まで…」
ティアナ「えへへ…」
キットコンナモン[ふははははは!!馬鹿め!!俺様は此処だぞピノッキモン!!]
全員【……………】
誰もが上手くいった。
ジョグレス解除までの時間を稼げると。
そう確信していた。
ピノッキモンのテリトリーで馬鹿馬鹿しいまでの大声が響き渡らなければ。
ピノッキモン[そこだーーーっ!!]
キットコンナモン[うぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!]
エリオ「…………………………………父さん」
大輔「何も言うなエリオ。虚しくなるだけだ」
キャロ、ルーテシア「「ごめんなさい!!本っ当にごめんなさいティアナさん!!!!後で二人にはきっつく言っときますから!!!!!!」」
ティアナ「あ、あの…頭上げて?別に気にしてないから…」
土下座を繰り返す二人に逆にティアナが申し訳ない気持ちになる。
大輔「流石に死なれるわけにもいかないからな。助けにいくか」
大輔が一歩進んだ瞬間。
大輔「っ!!?」
恐らくピノッキモンが仕掛けたのだろう落とし穴に落ちる大輔。
フェイト「大輔ーーーっ!!?」
スバル「わああああ!!?」
スバルの悲鳴が響き渡り、後ろを振り向くと木に宙吊りになっているスバルの姿。
ルカ「どうしたんですかスバル!!?」
流石のルカも目を見開く。
スバル「ふええん…美味しそうな木の実が落ちてたから拾おうとしたら宙吊りにされちゃった…」
アリサ「そんな古典的な罠に引っ掛かるんじゃ…きゃああああ!!?」
ネットがアリサを捕らえて宙吊り状態。
なのは「アリサちゃん…」
ユーノ「…アリサ…」
一輝「嬢ちゃん…」
アリサ「…何よ…あんた達何が言いたいのよ!!?言いたいことがあるならはっきりと言えば!!!!?」
賢「というか罠だらけだねここ…」
はやて「そやな…って…ああ!!?」
背後を見遣ると、フライモンの群れ。
はやて「まだジョグレス解除時間にならへんの!!?」
ギルモン[後7分だぞ☆]
子供達は一斉にダッシュした。
大輔「ち、畜生…」
落とし穴から出た大輔はこめかみに青筋を浮かべていた。
キットコンナモン[ゼハー、ゼハー。…今まではリハーサルだ!!そろそろ本番スタートさせるかんな!!]
ピノッキモン[へへ~ん。鬼ごっこも面白かったけどここまでだね]
キットコンナモン[くっ…ん?いい!!?]
ピノッキモン[ん?]
ピノッキモンが背後を見遣ると神々しい黄金の輝きを纏ったマグナモンがキットコンナモンとピノッキモンに対して手を向けていた。
マグナモン[消えろ、プラズマシュート!!]
怒りのプラズマシュートが炸裂。
キットコンナモンとピノッキモンは勢いよく吹っ飛ばされ、星となった。
マグナモン[しまった。キットコンナモンまで吹っ飛ばしてしまった…]
エア[痛たた…]
グランス[ほ、本気でぶっ放してくれちゃって…]
ピノッキモン[う、ううん…]
一緒に吹っ飛ばされたピノッキモンが起き上がると、エアとグランスを見遣る。
ジョグレスが解けたエアとグランスが冷や汗を流した。
ピノッキモン[…君達…誰?]
エア、グランス[[はい?]]
ピノッキモン[僕は…誰?]
エア[ま、まさか…記憶喪失?]
プラズマシュートの衝撃で記憶喪失となってしまったピノッキモン。
どうなる次回?
後書き
書いていて面白かった
ページ上へ戻る